ストレートネックを考える~胸鎖乳突筋との関係、頸椎ヘルニアとの類似点~
首のアライメントとして、大半のクライアントに当てはまるのがストレートネックです。一部の医師からは、「日本人の約8割がストレートネック」という驚きの話も聞きます。ストレートネックは文字通り、頸椎の弯曲がなくまっすぐになることで、頭部が前突している状態を指します。ストレートネックになることで、肺が圧迫され呼吸が浅くなってしまいます(正しいアライメントでの呼吸が100とすると、ストレートネックで80まで減ってしまうという説もあるとか)
今回は、そんなストレートネックに関連する2つのテーマをご紹介しましょう。
ストレートネックと胸鎖乳突筋との関係性
胸鎖乳突筋は頸部の筋肉の一つです。起始・停止や主な作用は次の通りとされています。
身体を横(前額面)から見たとき、胸鎖乳突筋は頸椎の屈伸軸(中央より前面)と進展軸(中央より後面)の両方に走行しています。屈伸軸に存在する下部と進展軸に存在する上部では、作用が異なると言われています。とはいえ、実際の作用はかなり細かい話なので、教科書や実用書では「頸椎の屈曲」のみ記載されていることが多いですね。
上にも記載しましたが、胸鎖乳突筋の支配神経は第11脳神経である副神経です。副神経は、延髄と密接な関わりがあると考えられています。胸鎖乳突筋や同じく副神経支配の僧帽筋を活性化させると、伸展筋群の抑制が起こり、全身の屈筋を有意にすることができると言われているんです。前屈記録を伸ばしたい、腰椎伸展時に腰痛がある場合などは、こうした知識を生かしたアプローチが有効かもしれませんね。
胸鎖乳突筋が原因でストレートネックになるのか?
よくちまたでは「ストレートネックや首こりには、胸鎖乳突筋のアプローチが有効だ」という説を耳にします。胸鎖乳突筋が首回りのケアの「王道」とされがちですが、これは実際に正しいアプローチなのでしょうか?
私たちは、トレーニングフォーム、ランニングフォーム、普段の姿勢と各シチュエーションによって、姿勢を受ける要因が異なります。
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