見出し画像

選手を変えるには、指導者の「愛」と「熱量」が必要だ。

みなさま、こんばんは。半人前コーチ@東北新幹線です。先週も今週も、水曜日だけ仙台。それ以外は東京。週2往復はちょっとしんどいですね。

ここ数日、例の感染症の影響で学校行事やスポーツが一斉にお休みとなりました。私のミニバスも例に漏れず月曜日からおやすみ。宮城県は6年生の地区選抜同士の試合も3月に予定していたのですが、それも中止に。そんなことが先週木曜日に決定したため、地区選抜の解散式的なものを急遽この前の土曜日に執り行いました。

今年の我が地区の選抜のチームは、スタートは本当にレベルが低かったです。人数も15人程度しかおらず、選抜と言っても誰一人落ちることなく、地区の6年生を全員参加させました。技術のレベルに差があるのもそうなのですが、それよりも意識のレベルの差が大きかった。返事もしない選手もいれば、ボールを持ってもパスを出すだけの選手もいる。そういう状況からのスタートでした。

1月から毎週練習をするようになったのですが、そんな折、私は”ボールを持ってもパスをするだけ”になってしまっていた選手の保護者から2つの話を受けました。

1つは「攻めて、シュートを外したりミスをすると、怒られることがあるのでどうしても消極的になる」ということ。
もう1つは、「指導者の視点や指導に対する取り組み方で、納得できない部分がいくつかある」ということでした。

1つ目の”選手が消極的になってしまう”というところには、以前から思うところがありました。

私がメンバーに残したいなと思っているのは、「最後までやりきる力」や「全力でやる」「頑張る」ということを、チームでやりきるという「体験」です。そして、バスケに限ったことではなく。私が最も伝えたいことは、自分の夢や目標に向かってどんどん挑戦してほしいということです。挑戦が増えれば、当然失敗も増えますが、挑戦を続けていれば、失敗の分だけ次への引き出しが増えると思います。最も恐れるべきことは、失敗ではなく、失敗を恐れるあまり、何もおこさず、子どもたちの成長が止まってしまうことです。

だから子どもたちには、失敗のリスクを負ってでも、挑戦することを奨励し、失敗の仕方とそこからの立ち上がり方を覚えて、次の挑戦に進んでほしいのです。だから子どもたちには、全力で攻めることを覚えて、ミスしたらすぐに取り返すことを覚えてほしいのです。シュートが入る入らないとか、相手に勝てる勝てないは、結果論です。でも、挑戦するかしないかは、自分でコントロールができます。ならば、自分でそのスイッチをONにできるようになってほしいのです。

試合に勝とうとすると、技術が低い選手がボールを持ったときには「上手な選手に回せ」となることが多いです。確率論からすれば、勝つためにはそれは正当な選択です。ただ、それは選手のためになる選択なのでしょうか?

私は自分のチームでも選抜でも、求めることは<全力で闘っているか>ということです。まずは逃げずに闘うという選択を取ったのかということ(闘おうとした上で、状況判断をしてパスをしたのはOK)。そして、闘って駄目だったとき、それを自ら全力で取り返そうとしたのかということ。そして、ディフェンスやリバウンドなど、見えないところでもダッシュで戻ったり飛び込んだり、チームのために全力でやりきったかということです。

なので、ボールを追いかけない選手や、自分で攻めない選手には、めちゃくちゃ叱ります。「やらなくていいの?だったら、なんのために選抜に来てるの?」と厳しく問いかけます。自分のミスを取り戻そうとして追いかけた結果追いつかないのと、諦めて追いかけなかったのは、ぜんぜん違うのです。リバウンドを取りに行って取れなかったのと、取りに行かなかったのはぜんぜん違うのです。他の人が抜かれたのを全力でカバーをしようとしたのと、知らないふりをしていたのはぜんぜん違うのです。
そしてこれは、技術の問題ではありません。上手な選手だろうが、下手くそな選手だろうが、ここに書いたことは誰にでも出来るはずなのです。でも、大抵の選手は、そこをやりきれないのです。

そういうのを頑張れる選手に、チームを代表して試合に出てほしいのです。そういうのを頑張れる選手に、チームを代表してシュートに行ってほしいのです。だから私は、自分でリバウンドを頑張った選手には、そのままシュートに行く権利をあげるのです。ディフェンスを頑張ってボールを取った選手には、自分で攻める権利を与えるのです。
(いつも「頑張ったやつにやらせろ!」と言ってますね。と、色んな人から言われます。)

今年の選抜の選手はみんな素直だったため、それがまっすぐに伝わりました。みんなが攻めるようになり、ダッシュで戻るようになり、カバーし合うようになりました。上手だけどわがままに見えた選手も、誰よりも走って味方のシュートをリバウンドしてくれる選手になりました。まったく攻めなかった選手も、まずはチャレンジするようになりました。1月の試合と2月末の試合では別チームのような積極性で、見ていた保護者が涙するような、そんな輝くプレーを全員が見せてくれました。

それを見ていた、選抜を一緒に教えていたコーチが、こんなことを言ってくれました。
「多分、全力で子どもに向き合ってなかったり、自分の仕事に全力で向き合ってない大人がいくら子どもに言っても、子どもには何も伝わらないと思う。自分が正しいと思うことを、自分でも実行して、努力して、それを熱く教えてくれる指導者だからこそ、子どもたちもそれに応えようと必死に闘うようになってくれたんだと思う。」と。

これは完全な私見ですが、私は子どもより努力できる指導者でなければ、子どもたちに指導することは難しいと思っています。特に今の情報環境では、練習方法などはWEBやYouTubeでいくらでも出てきます。いたる所の教科書はあるのです。では、指導者が選手に伝えるべきことは何でしょうか?私は、指導者が伝えるべきは「生き方」や「物事への取り組み方」だと思っています。この変化の激しい社会で、どのような生き方を”正”として伝えるべきなのか。その解を導くには、指導者自身が先頭に立ってその課題に取り組み、自分なりの”解”にだどり着くしかないのではないか。と私は思うのです。


この話を会社の後輩の女の子にしたところ、
「やっぱり大事なのって、”愛”と”熱量”だと思うんですよね。自分が勝ちたいだけの指導者もいれば、ただ仕事をこなすだけの指導者もいる。でもそういう指導者は多分、子どもたちに”出会い”を与えられないんだと思うんです。愛があれば子どもたちのためを最大限に考えるし、熱量があれば自分の行動も子どもたちへの指導も、全力でやるんだと思うんですよね。だから、愛と熱量がある指導者が、今こそ大事な気がしました」と話してくれました。

ということで、今日のタイトルは「愛と熱量」にしてみた次第です。

全国各地の指導者のみなさん、選手の皆さん、今はやりたいこともできず大変苦労している時期かと思います。でも、今まで当たり前にあった環境が、こんなにありがたかったのかを知る、いい機会にもなったと思います。
晴れて練習ができるようになった暁には、この「熱量」を練習に思いっきりぶつけましょうね。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?