二拠点生活top

2019年のトレンド予測に「デュアルライフ」が入っていたので、少しだけ語ってみる

2018年12月17日、リクルートホールディングスが発表した2019年のトレンド予測。その中に「デュアルライフ(=二拠点居住)」が入っていたので、少しだけ語ってみたいと思う。



AbemaTVを見ていて、ふと目に飛び込んできた「デュアルライフ」の文字。

「おおおお…!!」

そわそわした気分のまま、あるメディアの方に「2019年のトレンドに上がってる!」とSNSでメッセージを送った。来年度から執筆する(予定?)の連載テーマに、この「デュアルライフ」を企画として挙げていたからだ。


「やっと時代が私に追いついてきたか」


いやいやいやいや。(どうもすみません…)

来年のトレンド、流行の兆しあり。つまり今後「デュアルライフ」が一般的になっていく、ということだ。

自分の強みが強みではなくなる…?

これはヤバい。しかし、同じような環境で働く人が増えるのは、親近感が湧くというか、少し嬉しくもあり、もし可能ならば「デュアラー」な地方のクリエイターさんとぜひ情報共有したいぞ。

ここ最近の私の肩書きは、沖縄を拠点に活動する「二拠点生活(沖縄と埼玉)フリーライター・編集者」である。肩書きで人を判断するつもりは毛頭ないが、初対面の人と会うときは、やはり伝わりやすい肩書きはあったほうがいい。会話のネタや糸口にもなり、話が盛り上がるからだ。

この肩書きから「質問」が生まれ、説明するうちにどんな仕事をして、どんな暮らしをして、どんな人物像なのかが伝わっていく。会話をすればするほど、伝われば伝わるほど、相手に覚えてもらいやすいのも事実だ。

ただ本来、「肩書き」はさほど重要ではないと感じていて、最も大切なことは「リアルな活動や実績、そして継続性と信頼の高さ」だと思っている。肩書きに縛られて、表向きの姿だけを信じるのは何かが違う。そう日頃から感じている分、その人の裏側にある本来の姿や思いを感じ取って判断することが多くなってきた。

もっとこう、丁寧に相手のことを掘り下げていきたい。それが自分の性分でもあり、自分らしいやり方なのだ。

私がこの「デュアルライフ」という言葉と出会ったのは、2016年だった。東京のWebメディアから執筆の依頼が来て、「デュアルライフをテーマに書いてほしい」と言われたときだった。

「デュアルライフ…??」

「あっ。二拠点居住のことです!」

なるほど。2016年から沖縄と埼玉(+東京)を往復していた私のSNSをチェックして、声をかけてくれたらしい。その当時、とても書きたいテーマでもあったので即答で了承し、一気に集中してあっという間に書き上げた。


そのときに、執筆した記事がこちらだ。


沖縄を強調するような海の写真とともに、掲載されたWebメディアの記事は、「デュアルライフ ライター」のキーワードでGoogle検索1位を取っている(2018年12月現在)。

実際に読んでみると、楽しい二拠点生活の話ではなく、「事情があったから二拠点生活せざるを得なかった」なのだが、現状の仕事や暮らしにも生き続けている。


私の場合、沖縄と埼玉(実家)に家があるため、飛行機代だけで沖縄⇔東京を往復可能。埼玉の実家に洋服や日用品を置けるから、沖縄⇔埼玉を往復する荷物があまりかさばらない。毎回調べていると飛行機のチケット予約にも詳しくなる。早割で予約すると時期によっては、ANA・JALでも片道1万円を切ったチケットを予約できる方法を入手した。

主な仕事は、ライター、編集者、Webライティング講座、たまにイベントを企画・運営するなど、Webとライティングに絡む仕事を中心に、沖縄を拠点に活動している。

2018年、思いつきで「二拠点生活カフェ」なる、ゆる〜いイベントを2度開催して、沖縄の大学生や東京を目指す若者たちが参加してくれた。




二拠点生活のいいところは、住む場所が2カ所あること。

暮らしの拠点が2カ所あれば、人と繋がれる場所や活動する拠点が増える。大都会・東京のカルチャーを肌で感じて、沖縄らしい自然をのんびりと堪能し、異なるカルチャーを吸収していけるのでスキルとコミュ力高く、フットワーク軽く動ける人なら、仕事の幅も広がるだろう。


そして「気分転換になる」こと。多分このひと言に尽きる。

2つの異なるカルチャーを行き来していると、自分の中で化学反応が起こり、面白い企画や新しいアイデアの発想にも繋がっていく。人との繋がりや視点が広がるだけでなく、いざというときに逃げ込める場所をも増やしてくれるのだ。


逃げ道を持たないと、人はいつしか苦しくなる。

逃げ癖がつくから逃げちゃダメだ!
それは自分に対する甘えだ!

などと、世間から言われることがあるかもしれないが、私の発想はたぶん真逆だ。逃げ道は多く持っていたほうがいい。少し話はそれるが、コミュニティにも同じような感覚があって、いくつかのコミニティを持っていると、あまり良くないことが起こったときに他のコミュニティに救われることもある。

ちなみに、2019年1月からこんなオンラインコミュニティを始める。興味のある人がいたら、ぜひ参加してほしい。


私の周囲には自分に甘えず、意識高く動き回る人たちがわりと多い。

このままじゃ、あなた保たないよ?

そう思えるほど、フットワーク軽く動き続けて、前方に立ち塞がる壁を軽く乗り越えていく。裏側では相当な苦労や葛藤があろうともあまり表には出さない。また、軽快なコミュニケーションで人を魅了していく「人たらし」たちもいる。

だからこそ稀に、普段穏やかな人の表情に険しさや必死さが現れた余裕のない場面を見かけると違和感を覚え、周囲が見えてない状態に陥った人を見かける度に、大丈夫かな?と少し心配にもなる。


デメリットで括るってみると「時間と体力とお金」。特に気になるのが、この3点だと思う。家が2カ所あれば家賃も光熱費も当然ながら2倍かかり、一拠点なら不要な移動交通費が必要だ。また、沖縄なら車は所有してるほうがいい。

「お金=仕事・給料」に直結するわけだが、前提としてスキルを身に着けておき、クライアントを確保していること。それに加えてフットワーク軽く動けた上に取捨選択できるセンスを身につけていれば、二拠点で活動することで幅広い人たちと繋がり、横の繋がりから仕事の依頼が入ってくるようにもなる。


時間の括りでいえば、移動時間をどう過ごせるかが鍵になる。この移動時間の使い途次第で、作業効率が大幅に変化するからだ。

私の場合、飛行機の移動中は、寝る・読書する・PC or スマホで作業の3つの選択肢のどれかだ。早朝便の利用なら「機内で寝る」し、体力に余裕があるなら「PCで作業」して、心の余裕や暇に感じたときは大抵「読書」をしている。那覇⇔羽田の飛行時間の長さが、快適な作業場になっていた。


東京・埼玉に行くと、今度は電車の移動時間をどう効率よく使うかを考えていて、満員電車を避けて移動する習性があるので、電車の移動時間は自分にとって快適な作業場だった。

スマホで作業する。ネットで調べ物をする。SNSの投稿やメールをチェックする時間。電波が悪いときには読書している。

ライターの仕事でいえば、スマホのメモ帳やEvernoteなどを活用して文章を書く時間に早変わり。記事の構成を箇条書きして、記事やブログの文章を書き、企画やネタ出しを考えてメモる。重要なことを箇条書きにまとめて、すぐ執筆に取りかかれるよう準備しておくのだ。

電車の移動時間は、乗り換えをする度に作業の区切りがつけやすく、素早く頭の切り替えができて細々とした作業を進めやすいのだ。


せっかくなので箇条書きでもまとめておこう。

[電車内で行う作業]
・ネットで調べ物をする
・企画やネタ出しを考えてメモる
・記事の構成を箇条書きする
・記事やブログを書く(乗車30分以上)
・必要事項を箇条書きでまとめる
・SNSの投稿とチェック
・写真のレタッチ
・メールのチェック
・Webの記事を読む
・たまに読書

(このうちの何かしらを作業している)

とか言いつつも、SNSで遊んでることも多い。


ただひとつだけ難点があった。私は異様に作業に集中する癖があり、気付くと一駅通過していた、なんてこともざらだ。そこでアラーム作戦に出た。乗換案内で下車する時間を調べて、その少し前のタイミングでアラームをかける。現在はこれでほぼ、駅を通過することを免れている。

ちなみに、各地の移動に慣れてくると荷物のパッキングが異様に早くなる。慣れとは、そういうものなのだろう。


沖縄での車の移動時間をどう過ごすかも未だに課題だ。

現状は気分転換に音楽を聞くか、スマホアプリでラジオやVoicyを聞いている。さすがに車の運転中に文章を書くことは不可能だ。一度だけ音声入力を試してみたところ上手く行かず、PCでの音声入力も無駄に終わった。


「時間と体力とお金」の他に、もうひとつ地域の人との「関わりしろ」が入ってくる。実際に沖縄に移住してみると、やはり都道府県や各地域によって少なからず何かしらの県民性の特徴的なカラーが見えてきた。

地元の人たちと交流していると、会話の濃度や人情の厚さ、地域活動の手厚さや仕事のスピード感など、実際に住んでその土地に関わり続けることで、短期の出張程度では気づけなかったことが浮き彫りになる。だから良くも悪くも、それぞれの地域の違いを面白がれると、普段の見えてる景色が変わる。

都心とローカルのそれぞれのメリットを理解して、そこを上手く活用すれば、自分の暮らしが想像以上に楽しくて有意義なものになるだろう。


沖縄と東京でそれぞれに見合うベストなやり方は異なる。だから面白いな、とも思った。まるで自分のコミュ力やスキルを試されてるみたいじゃないか。こういった状況に闘志が燃えてくるタイプなので、今はあまり苦ではない。ただスピード感の違いには、少しだけ我慢が必要だ。

ここで大切なのが「待つこと」である。

私の場合、自分の視野が狭まっていると感じたときが、移動を開始するタイミングだ。月に1度、東京・埼玉に行くのは、新規開拓や人と会う気分転換も含めて、とても自分の性に合っている。

デュアルライフをする人を「デュアラー」と呼ぶそうだ。2019年は「デュアラー編集者」という肩書きを名乗っているかもしれない。

サポートいただいたご支援は「取材費」に使わせてもらいます。今後も、いいコンテンツをつくるために。読んでいただき、ありがとうございした。