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舞台俳優時代に経験した現実の厳しさ〜チケットノルマ制〜

華やかに見える、俳優の世界。

客観的にイメージしていたものと、リアルは違います。

今回は、舞台出演経験で味わった裏側の話をしようと思います。

1.ノルマ付きの舞台出演

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初めて舞台出演を終えた時に、前回の舞台で共演した友人の紹介で、次の舞台出演が決定。

友人の紹介ということで詳細を聞かずにオッケーをしましたが、その舞台出演には条件がありました。

条件:チケット40枚を売りきらなかった場合、余った分は自分が買い取る

今回の舞台のチケット代は、1枚4000円。

つまり、1枚も売れなかった場合は、16万円の自腹を切る必要がありました。

それでもまだまだ舞台経験が乏しかった僕にとっては、16万円の自腹よりも、舞台経験ができることに価値を感じていたのです。

舞台出演が決まるたびに、俳優の世界へ自分が近づいている気がして、夢に溢れていました。

2.友人にチケットを買ってもらう

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40枚を売り切るのは厳しくとも、なるべく売り切ろうと、友人に声をかけまくりました。

「今度舞台出るんだけど、見に来てくれないかな」

舞台出演を何度かやっていると、1回目は来てくれますが、2回目来てくれるのは本当に信頼できる友達や家族だけでした。

さらに言うと、今回の舞台チケット4,000円は、一般的に考えて価格が高い方です。

ある程度有名な俳優さんが出るのであれば納得されますが、役者の卵の集まりで、4,000円を払って見に来てくれる人はごくわずか。

結局売れた枚数は、10枚程度。

結果的に売れ残った枚数×4000円の合計、約12万円を支払うことになりました。

「舞台の世界って、こういうものなのかな」

少しだけ疑問が湧いていました。

3.気づいた衝撃の事実

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とはいえ12万円払って出演する舞台だから、それだけの価値を作ろうと意気込んでいました。

朝から晩まで稽古をやり、本番1週間前に、実際の舞台での稽古「小屋入り」の日が来ました。

「ここが今回の舞台か」

ふと、客席数を数えてみました。

席数は合計で100席程度だったと思います。

少し気になる点がありましたが、本番に集中していたので、考えることをやめて舞台本番をやりきりました。

千秋楽を終えて、振り返ったことがあります。

「今回の舞台、全員がノルマを達成したらどうなるのかな」

今回の出演者は約40人、席数は約100席、ということは1公演3人呼ぶと、人数が溢れてしまいます。

40人が40枚を売り切るためには、1600席が必要。

「あれ。今回の公演回数は何回だろう」

1日2回か3回、4日間の公演、合計約10回の公演回数。

仮に全公演満席だった場合のキャパ(合計席数)は、1000人。

全員がノルマを達成すると、席数的にキャパオーバーすることが分かりました。

その瞬間、「騙された」と思いました。

4.まとめ

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今回の舞台出演が良かったのか、悪かったのか、真実は分かりません。

事実はひとつでも、解釈は無数です。

個人的には役者として、すごくステップアップになった良い経験ができました。

その反面で、舞台出演を続けるためには、集客力が必須だということも知る機会となりました。

今になると、舞台も商売であり、利益を生む必要がある。

その為に先行投資することは、商売としては当たり前と思います。

商売としての観点が無かった自分にとっては、苦労した経験の一つでした。

良いことばかりではない、真実も知ってほしいと思い、僕の経験をお伝えしました。

また他にも経験してきた色々な話をしていこうと思います。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

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