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三浦法律事務所の公式noteです。法律ネタから弁護士インタビューまで。 HP:https://www.miura-partners.com/ 公式Twitter:https://twitter.com/miura_partners (代表弁護士:三浦亮太/第二東京弁護士会所属)

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労働法UPDATE Vol.7:定年後再雇用者の賃金設計における留意点~名古屋自動車学校事件最高裁判決を踏まえて~

令和5年7月20日、正職員と定年後再雇用者の基本給・賞与等の相違に関する最高裁判決(最高裁令和5年7月20日判決。以下「本判決」といいます。)が示されました。本判決は、いわゆる同一労働同一賃金に関する新たな最高裁判例であるとともに(従前の裁判例については、労働法UPDATE Vol.1:「同一労働同一賃金」に関する5つの最高裁判決参照)、下級審も含め、企業において定年後再雇用者の賃金設計(とりわけその中心である基本給および賞与の在り方)を検討する上で注目すべき裁判例となりま

    • 有事下のガバナンス実務 #02:支配権争い下における株主対応アドバイザーへの委任・報酬支払にかかる留意点

      1. はじめに近年、株主アクティビズムの高まりにより上場会社における支配権争いが活発化し、株主対応助言業が活況です。 支配権争いに際し、上場会社が株主対応アドバイザー(弁護士、IR/PRアドバイザーを含め、以下「アドバイザー」といいます)に支払う報酬は数億円単位の高額となることも多く、アクティビストから、当該アドバイザー報酬の支出により株主の資産が毀損されているとして批判される事例も増えています。確かに、経営陣と対立的な立場を取る株主の立場からすれば、経営陣によるアドバイ

      • 労働法UPDATE Vol.6:職場における多様性の尊重の在り方~国・人事院(経産省職員)事件最高裁判決を踏まえて~

        令和5年7月11日、トランスジェンダーの国家公務員による職場でのトイレ使用等に関し、当該国家公務員のトイレの使用を制限する措置を違法とする判断を下した最高裁判決(最高裁令和5年7月11日判決。以下「本判決」といいます。)が示されました。本判決は国家公務員の勤務条件に関する事例であり、普遍的に妥当する判示ではないものの、職場での性自認に基づく行動への制限が争点となった初の最高裁判決でもあるため、民間企業においても、職場での多様性の尊重の在り方を考える上で重要な先例となります。

        • 税務UPDATE Vol.18:ストック・オプションに対する課税(Q&A)の更新と税制適格ストック・オプションに関する新通達の発遣

          1. はじめに国税庁は、令和5年5月30日、ストック・オプションに対する課税(Q&A)および同年6月29日までの期間にパブリック・コメントに付された税制適格ストック・オプションに関する法令解釈通達案を公表していましたが(*1)、同年7月7日付で同Q&Aの内容が改訂され(*2)、同日付で改正通達を発遣する(「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」(法令解釈通達)等の一部改正(案)に対する意見公募の結果について)(以下「新通達」といいます。)と共に、税制適格ストック・オプ

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          危機管理INSIGHTS Vol.14:外国公務員贈賄規制の勘所④-2023年不正競争防止法改正による規制強化-

          1. はじめに2023年6月7日に、「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」(知財一括法)が成立し、不正競争防止法の外国公務員贈賄規制についても強化する方向で改正がなされました。同法は同年6月14日に公布され、公布日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するとされています。 今回は、外国公務員贈賄規制の改正がなされた趣旨および改正内容を解説します。 2. 改正の経緯・趣旨経済産業省の2023年3月10日付けの「『不正競争防止法等の一部を改正する法

          危機管理INSIGHTS Vol.14:外国公務員贈賄規制の勘所④-2023年不正競争防止法改正による規制強化-

          ポイント解説・金商法 #10:2023年金融商品取引法等の改正案【後編:顧客本位の業務運営の確保、デジタル化対応】

          前編では、2023年金融商品取引法等の改正案の改正項目と、四半期報告書の廃止等について説明しました。今回は、業規制関連として、顧客本位の業務運営の確保、デジタル化対応について説明します。 3. 顧客本位の業務運営の確保について(1)最善利益義務の規定の新設(改正金サ法2条1項) ① 誠実公正義務の内容 現行法では、金商法36条1項において金融商品取引業者等やその役職員の顧客に対する誠実公正義務が定められています。 本改正案により、上記規定(以下「現行誠実公正義務」とい

          ポイント解説・金商法 #10:2023年金融商品取引法等の改正案【後編:顧客本位の業務運営の確保、デジタル化対応】

          ポイント解説・金商法 #9:2023年金融商品取引法等の改正案【前編:四半期報告書の廃止等】

          1. はじめに第211回国会において、2023年3月14日に「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」(以下「本改正案」といいます。)が提案され、衆議院では可決しましたが、参議院では継続審議とされ成立せず、同国会は2023年6月21日に閉会しました。なお、報道によれば、本改正案は秋の臨時国会での早期成立を目指すとされており、また、本改正案の内容については関心が高いと思われますので、本改正案について、前後半に分けて解説します。 なお、本改正案により、「金融サービスの提供に関す

          ポイント解説・金商法 #9:2023年金融商品取引法等の改正案【前編:四半期報告書の廃止等】

          Japanese Law Update #14: The Japanese Government Mandates a 30% Female Board Member Ratio for Japanese Listed Companies by 2030

          In June 2023, the Japanese government announced its policies which will be the basis for formulating the budget for the next fiscal year in Japan, called the 2023 Version of Framework Policies (honebuto no hoshin, “2023 Policies”). This art

          Japanese Law Update #14: The Japanese Government Mandates a 30% Female Board Member Ratio for Japanese Listed Companies by 2030

          M&P LEGAL NEWS ALERT #5: コーポレートガバナンス-2030年までに女性役員比率30%義務化へ-

          本稿では、女性版骨太の方針で掲げられた女性役員比率に関する議論と、目標達成の阻害要因となり得る女性正規雇用比率の「L字カーブ」の解消にもつながる法整備の取り組みを分析します。 1. 2030年までに女性役員比率30%実現が求められる2023年6月13日に正式決定された女性版骨太の方針(女性活躍・男女共同参画の重点方針2023)では、プライム市場上場企業を対象として、2030年までに女性役員比率を30%以上とするとの数値目標が掲げられ、東証の上場規則に目標を規定する方針が打ち

          M&P LEGAL NEWS ALERT #5: コーポレートガバナンス-2030年までに女性役員比率30%義務化へ-

          Japanese Law Update #13: Japan is to be a signatory of the Singapore Convention; New Arbitration Act is Expected to Come into Force in 2024

          This piece is the follow-up for the Japanese Law Update #9: New Reforms for Enforcing Mediation Settlement Agreements in Japan, and Japanese Law Update #1: Japanese Authorities Issue Draft Proposals for the Reform of International Arbitrati

          Japanese Law Update #13: Japan is to be a signatory of the Singapore Convention; New Arbitration Act is Expected to Come into Force in 2024

          危機管理INSIGHTS Vol.13:消費者法と危機管理①-PSCマーク制度と子供の安全のための玩具への新規制-

          1. はじめに近年、子供用玩具として販売されているマグネットセットや水で膨らむボールを子供が誤飲し、開腹手術による摘出が必要となるなどの重大な事故が相次いで発生しました。 これらの事故の危険性の大きさや被害の重大さに鑑み、2023年5月16日、「消費生活用製品安全法施行令の一部を改正する政令」(以下「本改正」といいます。)が成立し(公布:2023年5月19日、施行2023年6月19日)、マグネットセットと水で膨らむボールに関する規制が新設されました。 本改正が上記2製品を

          危機管理INSIGHTS Vol.13:消費者法と危機管理①-PSCマーク制度と子供の安全のための玩具への新規制-

          税務UPDATE Vol.17:税制適格ストック・オプションの要件緩和

          1. はじめに(1)通達改正により権利行使価額を抑えた発行が可能に 令和5年5月30日、国税庁により税制適格ストック・オプションに関する法令解釈通達案(以下「本通達案」といいます。)が公表され、6月29日まで意見募集手続(パブリックコメント)を経た上で7月中には正式な通達が公表される見込みです。 本通達案の内容を前提とすると、従来の実務と比べて権利行使価額を抑えて税制適格ストック・オプションを付与できる可能性があります。この結果、スタートアップ企業としては、従業員等に対し

          税務UPDATE Vol.17:税制適格ストック・オプションの要件緩和

          ベトナム最新法令UPDATE Vol.6:ベトナム個人データ保護政令について

          2023年4月17日、ベトナムにおいて、「個人データ保護政令」(Nghị Định Bảo Vệ Dữ Liệu Cá Nhân)が公布されました(以下「本政令」といいます)。本政令は、原則として、2023年7月1日から施行されます(43条1項)。 本政令については、日系のアドバイザリーファームも多くニュースレターを出しています。もっとも、クライアントの皆さまから、「さまざまなニュースレターを読んで政令の内容は分かったが、具体的に何をどのように準備していけばよいか分からない

          ベトナム最新法令UPDATE Vol.6:ベトナム個人データ保護政令について

          内部通報UPDATE Vol.9:改正公益通報者保護法を踏まえて②-改正法施行から1年経過した今、やるべきことは何か?

          1. はじめに2022年6月1日に改正公益通報者保護法(以下「改正法」といいます。)が施行されてから1年が経過しました。 昨年、改正法の施行日を見据えて、各社で内部通報制度の構築・見直しや、内部通報規程の作成・改定を行ったことは記憶に新しいと思います。 なお、改正法、「公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針」(令和3年8月20日内閣府告示第118号、以下「指針」といいます。)、および

          内部通報UPDATE Vol.9:改正公益通報者保護法を踏まえて②-改正法施行から1年経過した今、やるべきことは何か?

          ESG・SDGs UPDATE Vol.9:「ビジネスと生物多様性」

          1. 生物多様性に関する取組みが必要とされる背景(1)はじめに 「ビジネスと生物多様性(*1)」と言われてもなかなかピンとこないと思いますが、2023年4月7日に環境省が公表した「生物多様性民間参画ガイドライン(第3版)-ネイチャーポジティブ経営に向けて-」では、ビジネスにおいて生物多様性に関する取組みを進めるにあたり、実務担当者に向けた以下のQ&Aがあります。 この内容をコーポレート・ガバナンスの文脈で考えると、生物多様性に関する取組みは持続的な企業価値の向上や投資家の

          ESG・SDGs UPDATE Vol.9:「ビジネスと生物多様性」

          危機管理INSIGHTS Vol.12:学校法人の危機管理/改正私立学校法の要所①-改正法の主眼と全体像-

          1. はじめに2023年4月26日に「私立学校法の一部を改正する法律案」が参議院本会議にて可決され、改正私立学校法(以下「改正法」といいます。)が成立し、同年5月8日に公布されました。 私立学校法の改正に至るまでの議論の紆余曲折については、以下の記事をご参照ください。 改正法については、文部科学省が「私立学校法の改正について(令和5年改正)」と題する説明資料(以下「本資料」といいます。)を公表しています。 本資料は、230頁に及ぶ大部なものであり、相当詳細な解説がなされ

          危機管理INSIGHTS Vol.12:学校法人の危機管理/改正私立学校法の要所①-改正法の主眼と全体像-