三浦法律事務所/Miura & Partners

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三浦法律事務所の公式noteです。法律ネタから弁護士インタビューまで。 HP:https://www.miura-partners.com/ 公式Twitter:https://twitter.com/miura_partners (代表弁護士:三浦亮太/第二東京弁護士会所属)

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最近の記事

M&P LEGAL NEWS ALERT #11:AIウォッシングと開示

1. はじめに投資者の投資判断において非財務情報の開示の重要性が高まっていることを受け、2023年3月期の有価証券報告書からサステナビリティ情報の開示が求められることになったところですが、近時、有価証券報告書等でAIに関する機会とリスクに言及するものも見られるようになってきています。 これは、AIの急速な進化に伴い、AIは企業価値を高めるものである一方で各種のリスクがあるなど、投資者の投資判断におけるAI関連情報の重要性が高まっているとの認識によるものと考えられます。 非

    • ポイント解説・金商法 #20:持株会の範囲拡大(拠出金上限額を100万円未満から200万円未満に拡大する等)

      令和6年9月13日、金融庁は、①持株会の1回当たりの拠出金額を100万円未満から200万円未満に引き上げること、②拡大持株会における「関係会社」を形式基準(議決権保有基準)ではなく実質基準(影響力基準)とすること、③拡大持株会として発行会社の関係会社の役員を会員の対象とすること等を含む金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令(以下「定義府令」といいます。)等の改正(以下「本改正」といいます。)を同年9月13日に公布し(令和6年内閣府令第79号)、令和7年1月1日から

      • M&P LEGAL NEWS ALERT #10:M&A契約におけるAIに関する表明保証

        1. はじめにM&A契約に定められる表明保証には①買主・売主間のリスク分担、②情報開示の促進といった意義・機能があります。 デュー・ディリジェンスで明らかになったリスクは、定量化できるものについては買収価格に織り込んだり、定量化が難しいものについては特別補償条項を定めるといった対応がとられますが、リスクがあるか明確ではないものや規制の不確実性が高いものなどについては売主が表明保証を行うか否かが契約交渉の重要なポイントの1つとなります。 そして、①売主が表明保証を行った場

        • 労働法UPDATE Vol.14:近時の最高裁判例を踏まえた今後の労災対応への留意点

          労働者が労働災害(以下「労災」といいます。)にあった場合、被災労働者は、労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」といいます。)の定める労災保険制度により、療養補償給付や休業補償給付等、さまざまな保険給付を受けることができます。 この保険制度の保険料は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(以下「徴収法」といいます。)に基づき、事業主が負担していますが、以下に述べるとおり、徴収法が労災保険料に関していわゆる「メリット制」を採用しているため、使用する労働者について労災認定がなさ

        M&P LEGAL NEWS ALERT #11:AIウォッシングと開示

        マガジン

        • M&P LEGAL NEWS ALERT
          11本
        • ポイント解説・金商法
          20本
        • 労働法UPDATE
          14本
        • Japanese Law UPDATE
          18本
        • Catch up 法令・政策動向
          3本
        • 中国最新法令UPDATE
          15本

        記事

          M&P LEGAL NEWS ALERT #9:米国企業の開示からみるAIに関する取締役会の監督

          1. はじめにAIは、DXの推進や生産性の向上、競争上の優位性をもたらすといったビジネス上の機会をもたらす一方で、種々のリスクや課題もあります。 有価証券報告書における「事業等のリスク」において、AIに関するリスクや課題に言及する日本企業も見られるようになってきていますが、取締役会は、不適切なことが生じないよう内部統制システム(リスク管理態勢)を構築することが求められています。 もっとも、内部統制は企業価値向上のための仕組みであるところ、内部統制システムの整備にはコスト

          M&P LEGAL NEWS ALERT #9:米国企業の開示からみるAIに関する取締役会の監督

          Japanese Law Update #18: All Civil Judgments Rendered by Japanese Courts after 2026 will Become Available Online

          1. The Government Committee Recommends the Establishment of a Comprehensive Database of Civil JudgementsIn 2022, the Code of Civil Procedure was amended to promote the digitization of the entire process of civil litigation in Japan (See “J

          Japanese Law Update #18: All Civil Judgments Rendered by Japanese Courts after 2026 will Become Available Online

          Catch up 法令・政策動向 Vol.3:「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」への意見

          1. はじめに個人情報保護委員会は、令和6年(2024年)6月27日に「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」(以下「中間整理」といいます。)を公表し、これをパブリックコメントに付しました。 三浦法律事務所では、中間整理に対して、行政機関における新法・改正法の立案と運用を含む執務実績を有し、または、今般の個人情報保護委員会による見直し作業で検討事項とされたものについて多くの知見と実務での経験を有する弁護士有志によって、意見提出いたしました。 中間整

          Catch up 法令・政策動向 Vol.3:「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」への意見

          中国最新法令UPDATE Vol.13:24年7月から施行−中国改正会社法①

          1. はじめに2024年7月1日から、改正された「中華人民共和国会社法」(*1)が施行されます(以下、施行前後の会社法をそれぞれ「改正前会社法」、「改正会社法」といいます)。改正会社法は、15章計266条によって構成され、改正前会社法(2018年に改正・施行)の13章計218条より、実質的に改正・追加された条文は約110条になります。 今回の改正は、1993年に会社法が制定されて以来、2回目の全面的な改正であり(*2)、中国の会社に大きな影響を及ぼすものとして、中国国内で

          中国最新法令UPDATE Vol.13:24年7月から施行−中国改正会社法①

          税務UPDATE Vol.22:【速報】タックス・ヘイブン税制の適用に関する最高裁判決~キャプティブ保険会社の非関連者基準該当性~

          1. はじめにタックス・ヘイブン税制(以下「TH税制」といいます。)とは、外国子会社を利用した租税回避を防止するために、一定の条件に該当する外国子会社の所得を日本の親会社の所得とみなして合算し、日本で課税する制度です。TH税制では、外国子会社に該当しても、外国で事業活動を行うことについて十分な経済合理性があると認められるなど一定の基準(非関連者基準等)に該当する場合は、当該基準を充足する外国子会社の所得は合算課税されないこととされています。 本事案は、原告である自動車メー

          税務UPDATE Vol.22:【速報】タックス・ヘイブン税制の適用に関する最高裁判決~キャプティブ保険会社の非関連者基準該当性~

          M&P弁護士図鑑 Vol.3:弁護士に家庭と仕事の両立は難しいのか? インハウスから三浦法律事務所参画の決め手は「互いを尊重するカルチャー」(小松 慶子弁護士)

          2019年1月に30人の弁護士でスタートした三浦法律事務所(M&P)も、今や約100名の弁護士を抱える法律事務所にまで成長しました。この成長の裏には、ユニークなキャリアと強い志を持った弁護士一人ひとりの思いが存在します。そこで本連載では、M&Pの個性的な弁護士たちに個別取材を決行。普段はなかなか語られない、弁護士たちの素顔を掘り下げてご紹介します。 ――本連載、第三回は57期の小松慶子弁護士です。小松弁護士は四大事務所でキャリアをスタートさせた後、長くインハウスロイヤーとし

          M&P弁護士図鑑 Vol.3:弁護士に家庭と仕事の両立は難しいのか? インハウスから三浦法律事務所参画の決め手は「互いを尊重するカルチャー」(小松 慶子弁護士)

          M&P LEGAL NEWS ALERT #8:支配株主による上場子会社の完全子会社化取引において同意なき買収や対抗提案が行われた場合に特別委員会は何をすべきか

          近時、日本でも同意なき買収や対抗提案が見られるようになってきましたが、支配株主による上場子会社の完全子会社化取引の最中に第三者による同意なき買収や対抗提案が行われた場合に上場子会社の特別委員会は何をすべきか。この点について米国デラウェア州裁判所が判断を示しました。 日本と米国は会社法を含む法制度が異なるためそのまま日本にあてはまるものではないものの、支配株主による完全子会社化取引に厳しい基準を適用するデラウェア州の裁判規範は日本でも参考になると思われます。 1. 日本の

          M&P LEGAL NEWS ALERT #8:支配株主による上場子会社の完全子会社化取引において同意なき買収や対抗提案が行われた場合に特別委員会は何をすべきか

          ESG・SDGs UPDATE Vol.12:国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会の訪日調査報告書公表

          1. はじめに2024年5月1日付けの国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の訪日調査の結果がまとめられた「Report of the Working Group on the issue of human rights and transnational corporations and other business enterprises」と題する報告書(以下「本報告書」といいます。)が公表されました。本報告書は下記参考リンクより英語版等がダウンロード可能です。 「

          ESG・SDGs UPDATE Vol.12:国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会の訪日調査報告書公表

          【教育/保育業界必見!】危機管理Insights Vol.20:日本版DBSのポイント③-民間教育保育等事業者の認定と認定事業者等が講ずべき措置-

          1. はじめにVol.18において、2024年6月19日に成立した「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」(以下「本法」といいます。)が、概要、①学校設置者等及び民間教育保育等の事業者の責務等、②学校設置者等が講ずべき措置、③民間教育保育等事業者の認定及び認定事業者が講ずべき措置、④犯罪事実確認の仕組みの4本柱から成り立っていることをお伝えしました。 今回はこのうち、③民間教育保育等事業者の認定及び認定事業者が講ずべき措

          【教育/保育業界必見!】危機管理Insights Vol.20:日本版DBSのポイント③-民間教育保育等事業者の認定と認定事業者等が講ずべき措置-

          【教育/保育業界必見!】危機管理Insights Vol.19:日本版DBSのポイント②-学校設置者等が講ずべき措置等-

          1. はじめにVol.18において、2024年6月19日に成立した「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」(以下「本法」といいます。)が、概要、①学校設置者等及び民間教育保育等の事業者の責務等、②学校設置者等が講ずべき措置、③民間教育保育等事業者の認定及び認定事業者が講ずべき措置、④犯罪事実確認の仕組みの4本柱から成り立っていることを解説しました。 今回はこのうち、②学校設置者等が講ずべき措置について解説していきます。

          【教育/保育業界必見!】危機管理Insights Vol.19:日本版DBSのポイント②-学校設置者等が講ずべき措置等-

          【速報:教育/保育業界必見!】危機管理Insights Vol.18:「日本版DBS」のポイント①-新法の全体像と勘所-

          1. はじめに2024年3月19日に、「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案」が閣議決定しました。本法律案は、同年6月19日に参議院本会議において可決され、本法が成立するに至りました(以下、成立した「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」を「本法」といいます 。)。 本法は、学校設置者等が子どもに接する仕事に就く者の性犯罪の前科の有無を確認するというイギリスのDB

          【速報:教育/保育業界必見!】危機管理Insights Vol.18:「日本版DBS」のポイント①-新法の全体像と勘所-

          M&P LEGAL NEWS ALERT #7:ガバナンスに関する株主との合意を無効としたデラウェア州衡平裁判所の判断に対するデラウェア州会社法改正から考える日本の上場会社・株主間のガバナンスに関する合意

          1. デラウェア州におけるガバナンスに関する合意(1)デラウェア州衡平裁判所の判断 2024年2月23日、デラウェア州衡平裁判所は、上場会社(モーリス社)と同社の創業者でCEO兼取締役会長である株主(ケン・モーリス氏)との間のガバナンスに関する合意の多くを無効と判断しました(*1)。 デラウェア州一般会社法(DGCL)141条(a)は、「本章に基づいて組織されるすべての会社の事業及び業務は、本章又はその定款に別段の定めがある場合を除き、取締役会によって又は取締役会の指示

          M&P LEGAL NEWS ALERT #7:ガバナンスに関する株主との合意を無効としたデラウェア州衡平裁判所の判断に対するデラウェア州会社法改正から考える日本の上場会社・株主間のガバナンスに関する合意