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M&P LEGAL NEWS ALERT #8:支配株主による上場子会社の完全子会社化取引において同意なき買収や対抗提案が行われた場合に特別委員会は何をすべきか
近時、日本でも同意なき買収や対抗提案が見られるようになってきましたが、支配株主による上場子会社の完全子会社化取引の最中に第三者による同意なき買収や対抗提案が行われた場合に上場子会社の特別委員会は何をすべきか。この点について米国デラウェア州裁判所が判断を示しました。
日本と米国は会社法を含む法制度が異なるためそのまま日本にあてはまるものではないものの、支配株主による完全子会社化取引に厳しい基準を
M&P LEGAL NEWS ALERT #7:ガバナンスに関する株主との合意を無効としたデラウェア州衡平裁判所の判断に対するデラウェア州会社法改正から考える日本の上場会社・株主間のガバナンスに関する合意
1. デラウェア州におけるガバナンスに関する合意(1)デラウェア州衡平裁判所の判断
2024年2月23日、デラウェア州衡平裁判所は、上場会社(モーリス社)と同社の創業者でCEO兼取締役会長である株主(ケン・モーリス氏)との間のガバナンスに関する合意の多くを無効と判断しました(*1)。
デラウェア州一般会社法(DGCL)141条(a)は、「本章に基づいて組織されるすべての会社の事業及び業務は、
M&P LEGAL NEWS ALERT #6:クレディ・スイスAT1債の無価値化による損失回復に向けた投資仲裁と訴訟ファンド(Third Party Funding)の活用
1. 海外投資での損失と「投資協定」による保護2023年、スイス政府の措置によりクレディ・スイスの永久劣後債(以下「AT1債」といいます。)が無価値化しました。
損失を被った各国の投資家が、スイスで金融当局に対する行政上の手続を開始し、日本でもAT1債を販売した証券会社に対する集団的な訴訟が提起されています。
これら以外にも、海外投資で損失が発生した場合、「投資協定」という国家間の条約に基づ
M&P LEGAL NEWS ALERT #5:コーポレートガバナンス-2030年までに女性役員比率30%義務化へ-
本稿では、女性版骨太の方針で掲げられた女性役員比率に関する議論と、目標達成の阻害要因となり得る女性正規雇用比率の「L字カーブ」の解消にもつながる法整備の取り組みを分析します。
1. 2030年までに女性役員比率30%実現が求められる2023年6月13日に正式決定された女性版骨太の方針(女性活躍・男女共同参画の重点方針2023)では、プライム市場上場企業を対象として、2030年までに女性役員比率を
M&P LEGAL NEWS ALERT #4:企業担当者が知っておきたい国際仲裁手続き-紛争マネジメントの視点から-
国際的な契約交渉の担当者にとって、仲裁条項(arbitration clause)とは、見たことはあるが、あまり気にとめたことはない契約条項なのではないでしょうか。仲裁条項が規定された契約について実際に紛争が生じた場合、どのように仲裁手続きが進むのかという点について、あまり考えたことはないという方も多いかもしれません。
しかし近年、日本はSIAC(シンガポール国際仲裁センター)やHKIAC(香港
M&P LEGAL NEWS ALERT #2:近時の日本版クラスアクションの活用-入試不正関連問題を例に
1. 大学入試における差別的取り扱い数年前、一部の大学の入試で、女性および浪人生に対する差別が行われてきたことが明らかになりました。そのきっかけとなったのは、入試にまつわる不正調査でした。その後、他の大学においても調査が行われた結果、複数の大学で同様の不正が行われてきたことが発覚し、メディアで大きく報じられることとなりました。
入試結果は各受験生のその後の人生を左右することにもなり得る以上、手続
M&P LEGAL NEWS ALERT #1:日本に上陸した投資仲裁
1. 日本政府に対する初の「投資仲裁」2021年3月、ある香港の投資家が日本政府に対して「投資仲裁」を申し立てた。投資仲裁とは、外国投資家が投資により被った損害の賠償を投資先の国家(投資受入れ国)に対して求める法的手続きである。日本政府にとって投資仲裁の申立てを受けるのは、今回が史上初である。
ここでポイントとなるのは、投資家が政府を訴えているということである。投資仲裁は、日本政府が海外投資家を