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ポイント解説・金商法

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ポイント解説・金商法 #16:2023年改正金融商品取引法等の改正に係る政府令案(四半期報告書の廃止、企業・株主間のガバナンスに関する合意、企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意の臨時報告書の提出事由の追加等)に係るパブリックコメント結果公表と改正法の施行

ポイント解説・金商法 #16:2023年改正金融商品取引法等の改正に係る政府令案(四半期報告書の廃止、企業・株主間のガバナンスに関する合意、企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意の臨時報告書の提出事由の追加等)に係るパブリックコメント結果公表と改正法の施行


1. パブリックコメント結果等2024年3月27日、金融庁は、2023年金融商品取引法等の改正に係る政府令案(四半期報告書の廃止等、令和5年法律第79号改正附則第1条第3号関係)につき、確定した改正内容とパブリックコメント結果等を公表しました。確定した政府令等は、2024年3月27日に公布されており、同年4月1日から施行・適用されています。

金商法の改正自体の概要は、「ポイント解説・金商法 #

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ポイント解説・金商法 #15:「インサイダー取引規制に関するQ&A」の改訂【中止が想定されている知る前契約・計画、株式報酬総額の見込み額の公表等について】

ポイント解説・金商法 #15:「インサイダー取引規制に関するQ&A」の改訂【中止が想定されている知る前契約・計画、株式報酬総額の見込み額の公表等について】

令和5年12月8日、金融庁・証券取引等監視委員会から、「インサイダー取引規制に関するQ&A」の改訂版(以下「本Q&A」といいます。)が公表されており、改訂版では、知る前契約・計画の要件および株式報酬に係るインサイダー取引規制の適用に関する「応用編」問6~8の3問が追加されています。

本Q&Aは、「基礎編」と「応用編」により構成され、「基礎編」ではインサイダー取引の基本的事項について初心者向けに分

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ポイント解説・金商法 #14:公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ報告【後編:大量保有報告制度のあり方・実質株主の透明性について】

ポイント解説・金商法 #14:公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ報告【後編:大量保有報告制度のあり方・実質株主の透明性について】

2023年12月25日、公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループの報告が公表されました。本noteは後編として、大量保有報告制度のあり方・実質株主の透明性について、同報告の要点をまとめました(前編については「ポイント解説・金商法 #13 」をご参照ください。)。

1. 大量保有報告制度のあり方について(1)重要提案行為の範囲

(2)共同保有者の範囲

(3)デリバティブ取引の取扱い

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ポイント解説・金商法 #13:公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ報告【前編:公開買付制度のあり方について】

ポイント解説・金商法 #13:公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ報告【前編:公開買付制度のあり方について】

2023年12月25日、公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループの報告が公表されました。本noteは前編として、公開買付制度のあり方について、同報告の要点をまとめました(後編については「ポイント解説・金商法 #14 」をご参照ください。)。

提言において記載された内容は、後編も含めて、2024年通常国会に提出されるであろう金融商品取引法の改正案、改正の成立後の同法施行令・内閣府令・Q&

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ポイント解説・金商法 #12:企業・株主間のガバナンスに関する合意、企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意、財務上の特約の開示(2023年12月22日付企業内容等の開示に関する内閣府令の改正)

ポイント解説・金商法 #12:企業・株主間のガバナンスに関する合意、企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意、財務上の特約の開示(2023年12月22日付企業内容等の開示に関する内閣府令の改正)


1. 企業内容等開示府令の改正概要2022年6月に公表された「金融審議会 ディスクロージャーワーキング・グループ報告」(DWG報告)において、①「企業・株主間のガバナンスに関する合意」、②「企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意」および③「ローン契約と社債に付される財務上の特約」が締結されている場合、以下の<開示対象となる要素>を含む各合意については「重要な契約」として適切な開示

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ポイント解説・金商法 #11:2023年金融商品取引法等の改正成立と東京証券取引所による「四半期開示の見直しに関する実務の方針」公表

ポイント解説・金商法 #11:2023年金融商品取引法等の改正成立と東京証券取引所による「四半期開示の見直しに関する実務の方針」公表


1. 改正金商法の概要2023年11月20日、第212回(臨時)国会において、「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」(以下「本改正法」といいます。)が成立し、同年11月29日に公布されました。

本改正法による主な改正内容は以下のとおりです。詳細は「ポイント解説・金商法 #9 」および「ポイント解説・金商法 #10 」において解説をしておりますので、ご参照ください。

また、本改正法による主な改

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ポイント解説・金商法 #10:2023年金融商品取引法等の改正案【後編:顧客本位の業務運営の確保、デジタル化対応】

ポイント解説・金商法 #10:2023年金融商品取引法等の改正案【後編:顧客本位の業務運営の確保、デジタル化対応】

前編では、2023年金融商品取引法等の改正案の改正項目と、四半期報告書の廃止等について説明しました。今回は、業規制関連として、顧客本位の業務運営の確保、デジタル化対応について説明します。

3. 顧客本位の業務運営の確保について(1)最善利益義務の規定の新設(改正金サ法2条1項)

① 誠実公正義務の内容

現行法では、金商法36条1項において金融商品取引業者等やその役職員の顧客に対する誠実公正義

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ポイント解説・金商法 #9:2023年金融商品取引法等の改正案【前編:四半期報告書の廃止等】

ポイント解説・金商法 #9:2023年金融商品取引法等の改正案【前編:四半期報告書の廃止等】

1. はじめに第211回国会において、2023年3月14日に「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」(以下「本改正案」といいます。)が提案され、衆議院では可決しましたが、参議院では継続審議とされ成立せず、同国会は2023年6月21日に閉会しました。なお、報道によれば、本改正案は秋の臨時国会での早期成立を目指すとされており、また、本改正案の内容については関心が高いと思われますので、本改正案について

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ポイント解説・金商法 #8:サステナビリティ情報の開示(企業内容等の開示に関する内閣府令の改正)~コーポレートガバナンス・コードとの関係を踏まえて【後編】

ポイント解説・金商法 #8:サステナビリティ情報の開示(企業内容等の開示に関する内閣府令の改正)~コーポレートガバナンス・コードとの関係を踏まえて【後編】

前編では、開示府令改正の概要のほか、「サステナビリティ」とは何かということと、開示すべき構成要素までを説明しました(ポイント解説・金商法 #7 )。今回は、その後編です。

2. サステナビリティ情報の開示の概要(3)サステナビリティ情報における「戦略」と「指標及び目標」を記載しない場合

開示府令では「戦略」「指標及び目標」を記載しない場合、CGコードにおけるComply or Explainは取

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ポイント解説・金商法 #7:サステナビリティ情報の開示(企業内容等の開示に関する内閣府令の改正)~コーポレートガバナンス・コードとの関係を踏まえて【前編】

ポイント解説・金商法 #7:サステナビリティ情報の開示(企業内容等の開示に関する内閣府令の改正)~コーポレートガバナンス・コードとの関係を踏まえて【前編】

2022年6月に公表された金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告(以下「DWG報告」といいます。)において、「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」、「コーポレートガバナンスに関する開示」等に関して、制度整備を行うべきとの提言などを踏まえ、有価証券報告書等(有価証券届出書、有価証券報告書を意味します。以下同じです。)の記載事項について、改正されました(金融庁「『企業内容等の開示

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ポイント解説・金商法 #6:四半期開示の見直しに関するディスクロージャーワーキング・グループ報告

ポイント解説・金商法 #6:四半期開示の見直しに関するディスクロージャーワーキング・グループ報告

2022年12月27日、四半期開示の見直しとサステナビリティに関する企業の取組みの開示に関する金融審議会ディスクロージャー・ワーキング・グループ(以下「DWG」といいます。)の報告書が公表されました。本noteでは、四半期開示の見直しについて解説します。

1. DWG報告の概要四半期開示の見直しについては、2022年6月13日に公表されたDWG報告において、コスト削減や開示の効率化の観点から、金

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ポイント解説・金商法 #5:「公正なM&Aの在り方に関する指針」を踏まえた開示状況集計

ポイント解説・金商法 #5:「公正なM&Aの在り方に関する指針」を踏まえた開示状況集計

1. はじめに東京証券取引所は、「公正なM&Aの在り方に関する指針」(以下「公正なM&A指針」といいます。)が公表された後に行われた上場廃止を企図したMBOおよび支配株主による従属会社の買収に関する適時開示の状況を毎年集計・公表しているところ、2022年7月1日、2021年7月から2022年6月までの直近1年間における開示状況集計が公表されました。

2. 開示状況集計の概況上場ルール上、上場会社

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ポイント解説・金商法 #4:サステナビリティ情報の開示・四半期開示の一本化を含むディスクロージャーワーキング・グループ報告書とCGコード②

ポイント解説・金商法 #4:サステナビリティ情報の開示・四半期開示の一本化を含むディスクロージャーワーキング・グループ報告書とCGコード②

【関連記事】
サステナビリティ情報の開示・四半期開示の一本化を含むディスクロージャーワーキング・グループ報告書とCGコード①

4. 四半期開示をはじめとする情報開示の頻度・タイミング4-1 四半期開示

「ポイント解説・金商法 #1 」では、4月18日開催のDWGの第8回会合において議論された四半期開示の見直しを中心に取り上げたところ、結論としては、以下のとおりとなりました。 

「ポイント解説・

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ポイント解説・金商法 #3:サステナビリティ情報の開示・四半期開示の一本化を含むディスクロージャーワーキング・グループ報告書とCGコード①

ポイント解説・金商法 #3:サステナビリティ情報の開示・四半期開示の一本化を含むディスクロージャーワーキング・グループ報告書とCGコード①

1. 6月13日、金融審がサステナビリティ情報の開示や四半期開示の一本化を含めた報告書を公表6月13日、金融審議会ディスクロージャー・ワーキング・グループ(以下「DWG」といいます。)による「中長期的な企業価値向上につながる資本市場の構築に向けて」と題する報告書が公表されました。

報告書に基づく改正等が実施された場合には、有価証券報告書に追加される記載項目や内容は多数あり、それによる記載分量も増

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