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勇者症候群(電撃文庫)ネタバレ感想

 世界に仇なす《勇者》を殲滅せよ。

あらすじ(※特設サイトから引用しました)

 勇者、それは世界を救う特別な力。夢の中で「勇者」と称えられた少年少女は、ただ美しき女神の言うがまま魔物を倒していた。
 ――――その魔物が“人間”だとも知らず。

《勇者》、それは世界を滅ぼす特別な力。謎の生物「女神」に寄生された夢見る少年少女は、無意識の怪物と化し破壊と殺戮を尽くす。
 そこに悪意はなく、敵意もない。ただ一方的な正義のみが押し寄せる終わりなき戦い。その均衡は少年・アズマが率いる勇者殲滅の精鋭部隊『カローン』によって保たれていた――。
《勇者》を人に還す研究をしていた少女・カグヤは、ある日『カローン』への所属を命じられる。だが過去の災厄で全てを失ったアズマたちにとって、カグヤの存在は受け入れ難いもので……。
 
 少年は《勇者》を倒すため。少女は《勇者》を救うため。二人は衝突しながら、ともに戦場へと赴く――!
 第29回電撃小説大賞《金賞》受賞、電撃文庫が贈る出会いと再生の物語。

感想

 異世界に転生して《勇者》になった……と思いこんでいる少年少女が化け物となり、現実世界で人間を襲うので、それを食い止めるために、その化け物である《勇者》を倒すための少年少女の組織が存在している、という話……。

 作中では三十年前に《勇者》が現れた、というから、だいたい二〇五〇年代の話かな……と、推測してみる。

 主に少年少女で構成された組織だということだけど、三十年前だから……現在の成人年齢が十八歳なので、四十八歳ぐらいの大人たちが管理していても、おかしくはないよね……。

《女神》は異世界転生ものの冒頭に出てくる、あの女神をモチーフにしている……ってことは異世界転生もののアンチテーゼになっていると解釈できる、と思う。

 つまり、《勇者》は、いわゆる精神病的なものを患っていて、人間が魔物に見える幻覚が常に見えていて、被害がデカいのでコロさなくてはいけない、という状況になっている、ということかな。

 少年少女は共通して化け物を見ることができるけど、成人したら見えなくなるデメリットがあるので、《勇者》にする《女神》を全部コロさなきゃいけない、という最終目的が見えたかな。

 それは『勇者症候群』の最終巻にあたる話になるのかな、と、なんとなく予想することができました。

ネタバレ感想(※未読の方は注意!)

 冒頭は異世界転生もののテンプレートな場面だったわけだけど、実は、その少年……現実世界では化け物になってました……という始まり。

 主人公兼ヒロイン(どちらかといえばヒロインポジション)のアズマ・ユーリが所属する部隊によって《勇者》は倒される。

 もう一人の主人公兼ヒロイン(どちらかといえば主人公ポジション)のシノハラ・カグヤが、その映像を見ている。

 そんなときにアラカワ・サクラとアズマ・ユーリにカグヤは出会い、カグヤはアズマ・ユーリの所属する部隊に転属となる命令がくだされる。

《勇者》を倒すための部隊に所属したカグヤだったが、もとは研究職の役割だった彼女。

 カグヤは《勇者》を倒すための部隊に所属するのは不満だったわけだが……。

 物語の序盤〜中盤の間あたりにアラカワ・サクラという人物が《勇者》となり、死別することになる。

 ここでアラカワ・サクラが第一巻における犠牲者(物語のターニングポイント)であることがわかる。

 そこで《勇者》となったアラカワ・サクラと、なぜカグヤが会話できるようになったのか、謎が示される。

 その示された謎の内容は、シノハラ・カグヤの喉には《勇者》の核であり、弱点の『卵』があったのだった。

 その『卵』があることが原因で、カグヤは《勇者》化した少年少女をもとに戻す能力に開花する。

 アズマ・ユーリも《勇者》化してしまうが、カグヤが、その能力で《勇者》化を解除し、ユーリの妹の姿をした《女神》を倒す。

 クライマックスあたりで『勇者症候群』というタイトルの伏線回収があり、きれいにまとまってて、とてもよかったです。

 最後はユーリがカグヤに片想いしていることを本人にはごまかしているものの、部隊の仲間たちは、その気持ちに気づいていて……そんな中、カグヤもユーリの気持ちに気づいているというオチで第一巻のエンディングを迎えます。

 次巻はハッピーエンドにもバッドエンドにもできそうだから展開が読めないと思うので、楽しみに第二巻が発売する八月を待とうと思います。

 ということで、『勇者症候群』のネタバレ感想でした。

 ちょっと詳細なネタバレ感想になっておらず、誤読の部分はあるかもしれませんが、お許しください。

 ここまで、お読みいただき、ありがとうございました。

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