面白い本・好きな本|人類史に刻まれた移動の軌跡[10万年、1万年、1000年、100年]
日本語のように聞こえる英語
YOASOBIの新曲『アイドル』が、国内外問わず大ヒット。先日、英語verも公開され、印象的な訳詞があったので、いくつかまとめ。
“日本語のように聞こえる英語”を意図したものだけど、「響き」だけでなく「意味」も合わせているからおもしろい。たまたま、訳詞を手がけたKonnie Aokiのインタビューがあったので、こちらもメモ。
昨年の藤井風『死ぬのがいいわ』は、東南アジアで火がつき、その後、中央アジア→中東→アフリカ→東欧→西欧、と徐々に西へ移動しながら拡散。ネットの時代なのに、地理的に拡がる傾向は不思議で面白い。
『アイドル』も東アジアや東南アジアでとても人気なので、これからどのように世界へ広がっていくか、要チェック。
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人類がアフリカで誕生以来、どのように世界に広がったか?音楽の拡散にはまったく関係ないけれど、人類史に刻まれた、壮大な移動の軌跡を辿ってみるのもいいのでは?という話。
100000年前|アフリカから旅立つ
10000年前|海を渡るサピエンス
1000年前|世界を繋ぐ交易
100年前|陸と海を繋ぐハコ
10万年前|アフリカから旅立つ
現代人とネアンデルタールは親戚
野蛮で、知能が低く、原始的なネアンデルタール人。そんな定説がここ最近の研究で覆され、火、道具、治療、埋葬、発酵、芸術をも駆使していたことが判明している。ホモ・サピエンスとの生死を分けた違いは繁殖率くらいでは?と言われるほど。
50万年前にアフリカから旅立ち、欧州や中東で暮らすネアンデルタール人。少し遅れて、10万年前にアフリカを旅立ったホモ・サピエンス。
同じ時期に、ユーラシア大陸で暮らす2つの種族。結果的に、混血も生まれ、現代人の中にネアンデルタール人のDNAが残っていることも近年の研究で判明している。(ノーベル賞)
その後、4万年前にネアンデルタールは絶滅し、ホモ・サピエンスは世界へ広がる。
1万年前|海を渡るサピエンス
サピエンスが初めて大海に出る
アフリカから大陸移動を繰り返し、とうとう人類は東アジアへ到達する。ここから東南アジアに行くには海を渡るしかない。ここで初めて航海に出る。
5万年前インドネシアに到達、3万年前に日本到達、最後に行き着いたのは、たった1000年前!のニュージーランド。
インドネシアのフローレス島には、もともと数十万年前から別の種族が住んでいた。身長1mの小柄なフローレス人。通称ホビット。しかし、ホモ・サピエンスが海を渡ってきたと同時に絶滅してしまう。。
1000年前|世界をつなぐ交易
大航海時代の500年も昔に世界は繋がっていた
西暦1000年、世界人口は2億5千万人。
世界の主要都市は、コルドバ(スペイン)、開封(中国)、コンスタンチノーブル(トルコ)、アンコール(カンボジア)、京都(日本)、カイロ(エジプト)、バクダッド(イラク)。
北欧のバイキングは、イヌイットが暮らす極北からアメリカ大陸を縦断して、メキシコのマヤまで到達。これはコロンブスがアメリカ大陸を発見する、遥か500年前。
もうひとつは、アフリカのマダガスカルとアンコール朝を結ぶ航路。さらに、アンコール朝〜中国の宋〜京都まで交易路は広がっていく。こちらも、ヴァスコ・ダ・ガマのインド洋航海に先立つこと500年。
『源氏物語』で描写される「お香」には、アフリカの竜涎香(りゅうぜんこう)も含まれる。ドメスティックな話だと思ったら、実は世界と繋がる壮大な物語。
100年前|陸と海を繋ぐハコ
20世紀最大の移動の発明は「コンテナ」
この本を読むまで「コンテナ」の何がすごいか全然理解していない自分にに気がつく。
コンテナがない時代、陸から海、海から陸、陸から目的地へ、移動手段が変わるたびに引越しの時のような膨大な量の箱を積みおろす作業が待っている。
コンテナは、引越しの段ボールを運ぶ作業を省略して、家ごと運ぶシステムに近い。コンテナは、途中で壊れることも、雨で濡れることも、盗まれることもない。コンテナは、箱であり、倉庫であり、荷台である。
全世界で規格を統一したことで、モノの移動に革命をもたらした、20世紀最大の発明品。
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