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あなたが食べているものはどこから来てるの?①

これから「食」について考えようと思う。
私たちが食べるものは私たちの身体を作るだけではない。どこかで、誰かが、それを作って、私たちのもとへ届いているのだ。

今回は『ファーマゲドン 安い肉の本当のコスト』を簡潔に要約し、考えたことをここに記したいと思う。

自分を含め、この記事を読む人が「食」についてポジティブに明るく考えるきっかけになればいいなと思う。

第1弾!テーマは「牛乳」

今回は日本でも学校給食にも出てきて、馴染みのある「牛乳」をテーマにしようと思う。

筆者が訪れた、アメリカのカリフォルニア、セントラルバレーは大規模農業経営にふさわしい、起伏の少ない地形(盆地みたいな感じ)が特徴である。

大規模酪農とは、その名の通り、広い土地で、多くの牛を飼うため、たくさんの乳や肉を生産することができる。

〈乳牛たちの住むところ〉

「大規模酪農」は素晴らしいシステムのように思えるが、本書のなかではこのような場面がある。

作物を除けば木や草も虫や鳥も一切、目にすることはない。黒い大量のハエ、ツンとした不快な匂い、ピンクとグレーのビーチボールのような乳房をもつ乳牛たち。彼らが暮らす場所は、ぬかるみと鉄板屋根とコンクリートに囲まれている。

「酪農」と聞いて思い浮かべるのは、キラキラした太陽の下に緑が広がっており、牛たちはゆったりと草を食べている、みたいなイメージだろうか。

だが、これは「Central Valley cows」と検索し、出てきた画像である。(ロサンゼルス・タイムズより)

控えめに言って汚すぎるし、なんか怖い...というのが私の感想である。
また、大規模酪農ではこれが普通になっていることに驚いた。

上記で「ピンクとグレーのビーチボードのような乳房をもつ牛たち」と出てきたが、これは「早い・安い・大量」の特徴を持つ大規模酪農でよく見られる光景である。
従来の方法では成長が追いつかないため、飼料に投薬され、「使い捨ての牛」として育てられる。

〈住人は困っている〉

また、この大規模酪農は住民たちにも影響が出ている。

1頭の乳牛は50人分の排泄物を出す。汚水貯水池に送られた排泄物は有毒ガスを出す。
そのため、セントラル・ヴァレーに住んでいる子供の5人に1人は大規模農場がもたらす大気汚染のせいで喘息を患っている。
また、排泄物は地中に染みこんでいく。
水質汚染も問題となっており、家庭用水を供給している井戸からは地下水が汲み上げられるが、沸騰させて飲むことが当たり前となっている。

需要がなければ、供給されない。
そう考えると、遠く離れたアメリカでこのような問題が起こっていることと私たちは無関係ではないんだと感じる。

〈人も牛も環境も、限界まで搾り取られ枯渇していく〉

かつては、大規模酪農のようなCAFO(工場式畜産)がなくても世界は十分に自給自足できていたはずなのに、なぜ大規模酪農は生まれたのか。

大規模酪農は世界規模での物価の変動に影響されるハイリスク産業であり、牧場式農業のほうが利益を得やすいのになぜ、大規模酪農は今も続いているのか。

どうやら生産者だけで解決できるような問題ではなく、企業や生産者の利害関係が複雑に絡まっているらしい。

広告は基本的に購買意欲を掻き立てられるように作られているので、ホームページからは健全で何も問題はないように見える...(闇)

カリフォルニア乳業協会 https://www.realcaliforniamilk.com/

私たち「消費者」にできること

上記に述べたような問題はカリフォルニアだけで起こっているわけではなく、日本でもアメリカほどの規模ではないが大規模農業は存在している。ひとりひとりの「食」の選択が、労働環境、アニマルウェルフェア、環境問題、健康問題などに影響している。そして、これは牛乳に限ったことではない

需要がないと供給もされないため、「消費者」はこれからの在り方をつくる、キーパーソンなのである。
ここで「消費者」として私たちができることを考える。

①地産地消をする
「地元のものを消費すること=工場式畜産ではない」ということではないが、この問題を自分事として捉えることが出来ると思う。
また、日本は食料自給率が38%と低い(=作付の変動や世界の食料需給の影響を受けやすい)ので、その改善にもつながり、地域の生産者さんをサポートすることにも繋がる。

②消費量を減らす
そもそもの消費量を減らすことや、牛乳を豆乳やアーモンドミルク、オーツミルクなどに代用することで環境問題の改善や地球温暖化を防ぐことになる。(牛のゲップやおならに含まれるメタンガスが地球温暖化の原因になっているため)

③放牧畜産認証制度で認証された牧場の商品を買う
放牧はストレスなく、乳牛が育つことのできる自然に近い育成方法である。このマークを頭の片隅において、アニマルウェルフェアを考え、責任をもって消費できるといい。

④食品ロスを減らす
食品ロス(まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物のこと)は近年、注目されている社会問題の一つである。私たちができるのは、賞味期限・消費期限に気をつけることや食べ残しをしないことなどさまざまである。
詳しくは農林水産省のホームページを見ていただいたほうが早いと思う...(笑)

まとめ

ここまで要約した事実をつらつらと書いてしまったが、こういう背景を知っているかどうかで社会の一員として、どう行動するかが決まると思う。
そして誰かがするではなく、自分がその誰かの一人になり、世界は繋がっているという意識を常に持つことが大切だと思う。

昔のできていたことが、現代の私たちができないわけがないのである。かといって、完全に元に戻せるわけではないと思うので、「持続可能な」社会をつくるために、現代の在り方を模索しながら全員でつくることが求められると思う。

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