文章を書くためのTIPS


 TIPSと題しておきながら、素人の私が技法と称して語るよりは書籍の紹介にとどめた方がよいと思ったので、推薦図書を3冊選んで並べます。

 おかげで(?)申請書や就活などの書類はひとつも落ちたことがありません。学生の頃に書いた海外での研究生活をまとめた寄稿が好評だったり、職場でもそれなりの評価をいただいていたりと、文面で得することは多い人生を過ごしていると思います。定量的な指標を設定しづらいことだと思いますが、少なくとも楽しみながら書いたものが認められるのは嬉しいものです。

 すべては、以下に挙げる書籍のおかげです。どれも自信をもって薦められるものなので、気になる方はぜひ手に取ってみていただきたいです。(ありがたいことに最近も文章を褒められる機会がありましたが、「でもそれは私の能力ではなく、この本がすごいだけなんだよなぁ」と思ったので、一度まとめておこうと思ったのが事の発端です。)


1. 論理が伝わる 世界標準の「書く技術」 (ブルーバックス)


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 ESや学振の申請書などを控えた人には必ずこの本を薦めています。

 他人に読まれる多くの文章において、こと評価に関わるような場面において、パラグラフライティングによる文章構成が強く求められているということは、万人が認識しておくべきだと思います。英語に限った話ではないです。文章を読んで何らかの評価や審査をするような立場の人は基本的にこの手の文章術に通じているので、その手法にのっとっていないだけで非常に読みづらく感じられると思います。自分が気づかない理由で減点されたり、目も通してもらえなかったりするのは、とてももったいないと思います。(私自身も時間のないときは特に、この構造で書かれていない書籍や文章は読む気がおきません。素人にもわかるくらい、意識している人とそうでない人の文章は一目瞭然です。)

 何よりも、この本そのものが非常に読みやすく、理解しやすいパラグラフライティングの手法で書かれているのが素晴らしいです。その威力を身をもって知ることができる、まごうことのない良書です。



2. 伝わる・揺さぶる! 文章を書く (PHP新書)

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1冊目よりもう少し細部にフォーカスした実務的な本だと思います。

 文章そのものに着目するというよりは、場面や目的に合わせた書き方の解説という観点でまとめられています。テーマを絞ること、読み手の視点に立って見直すことなど、改めて考える機会にもってこいだと思います。志望動機やメール、謝罪のときなどの場面ごとに節が分けられているので、書き方が気になったその時々に見返すといいかもしれません。



3. センスをみがく文章上達事典 新装版

 正直、人に紹介したくないと思ってしまうくらいの良書です。この本には社会人になってから出会いました。これがあれば、もう自分なんぞが文章について技法を改めてまとめる必要はないな、と思わせてくれる一冊です。

 Ⅰ書く Ⅱ練る Ⅲ磨く の三章で構成されていて、句読点や記号などの日本語のルールから始まり、語順などの話、リズム、語感、心理描写やユーモアまで網羅的にまとめられています。文章の意味を一意的にするとか、和語と漢語のバランスをとるとか、これまでの経験から自分が心掛けるようになったわずかな手技はすべてこの本の中に既に書かれていることに過ぎませんでした。生きている限り文章を書き続けたいと思う自分にとって、こういう本を手に取るのは自信喪失につながるのではないかとビクビクしながら読み始めたのですが、むしろページをめくるほど文字を書きたくなる、そんな不思議な本でした。日本語のことが好きになりたい方にはぜひ。純粋に読み物として面白いです。



以上

 三冊のおすすめの本を紹介しました。読んだ人が面白ければそれがいいでしょうし、多少難解でも重要度の高いという文章も多いと思うので、正解はないと思います。一方で、正解に限りなく近い様式を要求されることも多いと思うので、いくつかの文体や構造・手法を使い分けられるといいのかなと思います。

 個人的な良文か駄文かの境目は、読んだときに頭の中でいい声がするかどうかです。自分自身はそこまで推敲しきれないまま作業を完了することも多いですが、いい文章は透き通ったようなきれいな声が聞こえるものだと思っています。

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