プラスαをもたらすドラマ主題歌

その昔、毎回ドラマの終盤に主題歌のイントロが流れると同時に私の涙も流れる経験をしたことがある。そのドラマは『僕の生きる道』でその主題歌とは『世界に一つだけの花』。それはもう条件反射のように、そこまで我慢していた涙がイントロと同時に落ちる、みたいな。

今期、月9の初回を観ていたらいきなり中島みゆきの歌声が流れてきてなんの事前情報も無かった私はビックリしてしまった。途端になんだかドラマ自体がとても良いドラマのように思えてきて、いやもちろん良いドラマなのだが、主題歌の良し悪しはドラマにプラスαの付加価値をもたらしてくれると実感した。ドラマの世界観にピッタリなものや、逆に、敢えて、違う世界観のものを持ってきていたり。今クールのお気に入りドラマ主題歌を押さえておこう。

『silent』✖️
『subtitle （Official髭男dism）』

これはもう、全国民総意の今クール最高の組み合わせ。とはいうものの、実は私は、このドラマの世界観ならもっとしっとり、じんわりな泣き歌バラードが合う気がしていた。出てくる人が皆温かくて優しくて、それがドラマそのものの世界観になっているから、そこにこの曲だとドラマティック過ぎやしないか？と思ったのだ。ただ、歌詞を読むとなるほどとうなづけるし、『Pretender』とか『宿命』あたりに通ずる、聴けば聴くほどにクセになる感じはさすが。イントロ無しでいきなり

「凍りついた心には太陽を」そして「僕が君にとってそのポジションを」

と始まるところが憎い。残念ながら今週はサッカーワールドカップのため放送はお休み。この機会にじっくり1話から振り返っておくのもアリ。

『ジャパニーズスタイル』✖️

『瞳惚れ（Vaundy）』

ワンシチュエーションのシットコムドラマ。観客のまえでノンストップでの演技合戦。ドラマ版ファーストテイク。仲野太賀さん主演の斬新なドタバタコメディだ。この曲はエンディングで流れるのだが、ドラマが始まる前のキャストや観客の様子とか、収録が終わったあとの盛り上がってる様子とかの映像のバックで流れる。歌うは、先日年末の紅白歌合戦への出演が決まったVaundy、実は今まで彼の曲をあまり聴いたことがなかったが、この曲のイントロが流れてきた時「なんだ、このオシャレな曲は！」と思い、聴いてるうちになんだか懐かしい感じもしてきた。初めてちゃんと聴いたけどVaundy、すごく聴きやすい。この曲のMVには仲野太賀さんが出演しているので、ドラマと両方併せて楽しめる。さてドラマの方は新たな展開が始まった。なんだかんだ平和に進んできたのでここからの不穏な計略、先が気になる。

『君の花になる』✖️
『Melody（8LOOMブルーム）』

崖っぷちボーイズグループがグループ解散の危機をどう乗り越えるか。実は結構毎週楽しみにしている。ドラマの中のボーイズグループはオーディションで選ばれた俳優さんやパフォーマーさんが演じている、いわば架空のアイドル。ドラマが終われば、当然、グループの活動も終わる。そんな彼らなのに、ドラマの中だけの架空のボーイズグループなのに、8LOOMの曲はやたら完成度が高い。ドラマ放送中に全部で5曲発表されるらしい。今の時点で3曲披露されているが、そのどれもが良い曲なのだ。ドラマが終わったらもう聴けなくなっちゃうのがもったいないくらい。正確にはこのドラマの主題歌ではないが、音楽がドラマにプラスαの付加価値を付けているという意味では、このドラマにでてくる8LOOMの曲のプラスα感は強い。私は特に『Melody』推し。ちょっとノスタルジックな曲調が逆に新しい。またTikTokで流行りそうな、真似しやすい振り付けもgood。

『警視庁考察一課』✖️
『タイマン・ファンタジー（氣志團）』

事件の考察を専門とした部署「警視庁考察一課」を舞台に繰り広げられるベテラン刑事たちの考察劇。テレ東さんらしい、クセのある深夜枠ドラマ。部屋から出ずに考察だけで事件を解決する、そのやり取りが面白い。このドラマのオープニングは出演者の船越英一郎さん、山村紅葉さん、西村雅彦さん、高島礼子さん、名取裕子さん、内藤剛志さんの6人が横一列で画面をこちらに向かって歩いて来る迫力があるビジュアル（GメンとかHEROのオープニングみたい）、そのバックで流れるのが氣志團の『タイマン・ファンタジー』。ベース音から始まり“ドレミファソラシド”をメインにアレンジしたメロディが繰り返されるイントロになんだかワクワクする。皆でこぶしを振り上げたくなるみたいなイメージ。ただ放送ではチラッとしか流れないので実はまだ通しで聴いたことがない。とにかく、ドラマ同様主題歌もインパクト大なのだ。

こうやって並べると、今クールはドラマのジャンルが盛り沢山、ドラマの主題歌も盛り沢山。