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あしあとコラム

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なんの解決にもならないことばかり
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汗と涙

汗と涙

私は昔から「応援する人」に弱い。
すぐに涙腺が緩み、嗚咽混じりの呼吸になる。

この夏、はじめて高校野球を見に行った。
気温も高くて暑い。それ以上に熱い試合。
なにがどこでどう変わってもおかしくない試合を見ながら
「選手の親御さんはたまらない気持ちでいるんだろうなあ」とボーッと考えた。

「おれ、やきゅうやりたい」と野球を始めた日からつらい練習を乗り越え、悔しい思いを抱えて成長していく我が子を一番

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生きててよかった

嫌なことがあった。
誰も悪気があったわけじゃない、事故みたいな出来事だけど。
だけどタイミングや蓄積で、その起きたこと以上に胸が苦しくなる日。
誰も悪くない。
でも私が今感じてるこの気持ちは、黒くてモヤモヤして泣きそうになる気持ち。
自分が今までやってきたことがすべて無駄になりそうな気がして
どうすればいいかわからず涙を流したら負けな気がする夜。

ぶつけようのない思いを胸に感じながら、フラワーカ

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一粒でも胡麻

一粒でも胡麻

昔、おばあちゃん家のこたつでゴロゴロしているときに、白胡麻を一粒見つけたことがある。ほうれん草のおひたしを食べた後だったから、おそらくその胡麻。

何の気なしにその白胡麻を拾って、爪で潰してみるとびっくり。ふわーっと胡麻の香りが広がり、胡麻の油が中から出てきた。

「なにこれすごい!」

一粒だけの胡麻と向き合うことってなかなかないじゃないですか。胡麻と向き合う時って大抵向こうさんは団体で来るから

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かわいいあの娘

かわいいあの娘

どうしてかわいい女の子って、お肉を上手に噛み切れるんだろう?

小学生の頃からよく思っていた。かわいい女の子って、お肉を上手に噛み切るんです。固めの豚テキも唐揚げも。お肉だけに限った話じゃない。給食に出てくる4分の1カットされたオレンジを上手に食べ切るし、味噌汁に入っているワカメが途中でビローンと口から垂れない。それに比べて私は、お肉を噛み切っている途中に好きな男の子と目が合うし、オレンジは繊維が

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無駄なこと

無駄なこと

ちまちまとした、そして別にあまり役にも立たない、そんな作業をするのが好きだ。

お笑い番組を見ながら紙にネタの感想を書いてみたり(批評ではなく感想)、映画のチケットの半券を手帳に貼ってみたり、ヨーグルトを食べる時にアロエだけよけて最後にまとめて食べてみたり。

「いや、なんの意味があるの」と言われたらそれまでのことだが、こういうちまちましたものはなんだか楽しい。誰に見せるでもないお笑い番組のネタ感

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ひとりでいる理由

ひとりでいる理由

人と長い時間一緒にいられない。

どんなに好きな人でも、同性でも異性でも家族でも長い時間過ごすことができない。これは生きていく上でとても損なのでは?と最近思うようになった。仕事や結婚など、これから様々な人と長い時間を過ごすだろう。血の繋がった家族でさえも1泊2日の旅行が限界なのに。これはマジョリティ?それともマイノリティ?

家族で家にいる時は、苦しくなったら自分の部屋に逃げ込める。そして

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障害物長距離走

障害物長距離走

美容院がどうも苦手だ。

カットはまだいい。30分あればだいたい終わるから。でも縮毛矯正はものすごく腰が重い。あれってだいたい3時間かかるんです。

私は天然パーマなので、前髪も襟足もくるんくるんと髪が跳ねる。一生懸命ヘアアイロンで伸ばしてなんとか真っ直ぐにするのだが、いくらヘアスプレーやワックスを使っても1歩家の外に出れば、また跳ねる。雨の日なんて、そもそもはじめから髪が真っ直ぐにならな

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ゆさゆさ

ゆさゆさ

ふと文章を書きたくなる時がある。

「文章書こう!」とすぐに机に向かえる日はあまりない。しかし、「文書きたいな」と思う瞬間はしょっちゅうある。小学校低学年の子たちに「この問題わかる人!」と問いかけるとみんなが元気よく「はいはいはい!」と手を挙げるが、いざ「じゃあ〇〇さん!」と指名すると急に小さな声になるアレと同じ私。

コンサートやイベント事もその私がよく登場する。「行こう!」とわくわくするの

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理想の話

理想の話

子供のころからお笑いが好きだった。

小学生の頃、下校する途中にお笑い芸人のネタを真似して、友達を笑わせていた。友達が言う言葉をわざと聴き間違えたフリをして、「違うって」と友達が笑ってくれることが嬉しかった。いつもちょけて、いつもへらへらしていた小学校時代だった。

しかし、そんな私に転機が訪れた。
“不登校”になったのだ。
いろいろなものが負の連鎖を起こし、自分も周りもとても苦しめた。生

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