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かわいいあの娘

どうしてかわいい女の子って、お肉を上手に噛み切れるんだろう?

小学生の頃からよく思っていた。かわいい女の子って、お肉を上手に噛み切るんです。固めの豚テキも唐揚げも。お肉だけに限った話じゃない。給食に出てくる4分の1カットされたオレンジを上手に食べ切るし、味噌汁に入っているワカメが途中でビローンと口から垂れない。それに比べて私は、お肉を噛み切っている途中に好きな男の子と目が合うし、オレンジは繊維が皮にくっついたままだし、ワカメもお椀と口の狭間で行き来する。悲しい。

一時期、かわいい女の子の綺麗な食べ方に憧れて、給食を上品に上品に食べていた。結果、時間内に食べきれずに先生に見守られながら昼休みも1人で食べ続けた。ゆっくり食べるから満腹中枢も刺激され、全部食べられないと泣いて先生に謝った記憶がある。「あなたはねぇ上品に食べすぎよ」と先生に言われた。上品は加減が難しい。

そんな私はいまもお肉を噛み切れない。たまーにうまく噛み切れたときは誰も見ていない。うまく噛み切れない時はすぐに見つかる。相手もあまりこっちを見ないふりをしてくれる。恥ずかしい。

どうやったらうまくお肉を噛み切れるんだろう。お肉を上手に噛み切るために、かわいくなろう。

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