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苦手意識と言うフィルターは、選択を迷わせる。不信感は物事を敬遠させる。食わず嫌いとは食べ物だけではないらしい…

小林聡美さんが苦手だった。笑ってない、批判的な視線が怖いと…と、私は永らく彼女が出演する作品を敬遠してきた。

『かもめ食堂』も実は何度か鑑賞出来る機会があったにも関わらず、最後まで観たことがなかった。何度か途中で退散した経験があった。

もし、この主人公が、例えば鈴木京香さんだったならば即、最初から最後まて見ていたに違いない…彼女は、どんな役を演じても、心のビブラートを感じる繊細な女性らしさが滲み出るところが好き。鈴木京香さんへの好感度と出演作への信頼感が既にあるからだ。

しかしながら、今回noteの記事で、『かもめ食堂』に高評価をしておられる方が沢山おられた為、noteの住人様への信頼感から、再度鑑賞に挑戦してみた。


『かもめ食堂』2006年日本映画。群ようこ原作。萩上直子監督。フィンランドに食堂を開いた女店主とそこに集まる人々との関わりが書かれた作品。

小林聡美主演、片桐はいりさん、もたいまさこさんが脇を固めている。

先ず印象的だったのか、主人公が通うプールの明るいブルー、オシャレな店内の薄いブルー、お店外観のシックなブルー、フィンランドの海の濃いブルーなどなど、ブルーの色彩の優しい表情。じっくり観たら、その色の美しさが好きになった。

そして主人公がブレないところが良い。終始、自分が思い浮かべているコンセプトに沿って行動をし、誰一人お客がいない時から、きっと大丈夫だと、成功を確信しているような冷静さを持っていた。

「この店にあってる。」「なんとかなる。」「やってみよう。」セリフも常に前向き。

頑固なポリシーを持ちつつ、柔軟に新しい変化も受け入れて、その変化を冷静に受け止めている描写もあった。

「私が日本に帰る事になったら、寂しい⁈」との質問にも、「それは、それで、その人の人生があるわけだし、私は元々1人でやってきた。」と、ある意味達観した返答をしていた。

『かもめ食堂』の小林聡美さん、カッコ良かった。身体を鍛え、精神を鍛え、思うままに行動する自立した女性を演じていた。

『かもめ食堂』はドライで淡々としたリズムが、情念などを洗い流して晒したような、清潔感がある。この映画には、小林聡美さんの、冷静な瞳やさっぱりとした清潔感がよく似合っていた。

そして私の小林聡美さんへの苦手感は払拭されたし、違う作品を観てみたいと思った。


映画では、彼女たちが日本で過去に、どんなことがあったかなどは、詳しく語られていないが、人生の後半に入った女性たち。様々な経験をしてきたはず。叩けばタップリとホコリが出るのは必定。辛いことも悲しいことも全て日本に置いての1人旅。人間関係も仕事も生活も1から始めるためのゆとりがある。

何にでも出会うタイミングがある。映画の中で女性たち同士との出会いも、私がこの映画にキチンと向き合ったのも。良いタイミングだったと思う。

これから自分が進みたい道、自分らしいコンセプトに沿って歩みたい道があるなら、きっと大丈夫。うまくいくと信じて、ゆったりと構えていきたいもの。

そして、今まで苦手意識のあるものでも、取り組んでみれば、案外、今の自分と交差するところがあり、共感できたり、インスピレーションをもらえたりと、プラス作用が出ることがあると思った映画だった。














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