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ミトカラ#3 

移動スーパー「とくし丸」に密着②

- 美都から始まる地域の未来 -
全国各地では高齢化や人口減少が急激に進み、生活の維持が難しくなっている地域がたくさんあります。
「過疎」発祥の地、益田だからこそ考えられる地域を持続可能にするアイデアを、ぜひ、あなたも一緒に考えてみませんか?
美都町出身の高校生が取り組む地域活動「ミトカラ」START!


「とくし丸」密着取材・・・販売するひと

今回は、移動スーパー「とくし丸」販売パートナーの和井元さんへのインタビューです。

「とくし丸」は一日で決まったルートを回りきらないといけないので、和井元さんは営業の準備やお客さんからの問い合わせの対応、会計など大忙しです。
そんな中でインタビューをお願いしたことを申し訳なく思いながらも、早速、販売の合間を縫って和井元さんに気になることを聞いてみました。
超多忙な中、時間を割いて快く答えて頂き感謝です。

和井元さんへインタビュー

Q1.移動スーパー「とくし丸」をはじめようと思ったきっかけは何ですか?
Ans.JAしまね西いわみ地区本部が発行している月刊誌に販売員募集の広告が掲載されているのを見たのがきっかけです。

Q2.どのような方を対象に販売されていますか?
Ans.「買い物難民」と呼ばれる日常の買い物に支障をきたしている高齢者を中心に生鮮食料品販売店舗までの距離が遠い人を対象にしています。

Q3.何か所くらいの地区を回られていますか?
Ans.美都、鎌手、中西、小野、二条の5地区です。
 
Q4.販売先の地区はどのようにして決められるのですか?
Ans.Aコープ・ラポ店が拠点となるため、ラポ店になるべく近いエリアを基準に買い物に苦労している方が多そうな地区をAコープ側に提案し、Aコープで最終決定してもらいました。
 
Q5.地区ごとの一日の利用者はおよそ何人ぐらいですか?
Ans.今年(令和5年)5月に開業して以降、平均55人くらいです。

配布されたチラシ。営業開始の2か月前にはチラシを配って準備をされていたそうです。

Q6.これまでで移動販売をやめた地区はありますか?
Ans.まだありません。
 
Q7.販売先の地区の利用者が減少した場合でも、移動販売は継続して行われますか?利用者数や売上金額などの移動販売を中止する基準を設定していますか?
Ans.基準はありませんが、利用者が減少した場合、新たな利用者を探して継続できると考えています。とくし丸本部の情報で、今後10年間は「買い物難民」は増え続けると予測されています。また、いくつかの地区では現在利用者が一杯のためお断りした方がたくさんおられます。その中には予約申込された方もおられます。
 
Q8.販売する商品はどのように準備されるのですか?
Ans.Aコープラポ店の商品のみを販売します。生鮮食品は朝、店頭に並んでいる商品をとくし丸に積み込んで1日販売してまわり、残った商品は夕方店舗へ返すことになっています。

Q9.商品が売れ残ったり足りなかったりすることはありませんか?その時はどうしますか?
Ans.あります。売れ残りは全て店へ返し、足りないときは、次回販売に行くときに持って来るなどして対応しています。  

Q10.「とくし丸」の車両やガソリン代などの経費は誰が負担していますか?
Ans.とくし丸の販売員は個人事業主としてスーパーと契約しているため自己負担です。

Q11.自分が病気やケガなどで販売に行けなくなったときはどう対応されていますか?
Ans.代わりはいませんので臨時休業します。

Q12.運営する上で工夫していることを教えてください。
Ans.今は休まず営業できるように体調管理を最も重視しています。  

Q13.「とくし丸」の事業を通して大変だったことや失敗したことはありますか?
Ans.当初の予想を上回る客数になったため、お知らせした時間に遅れていくことがほとんどで、開業から2か月くらいは謝ってばかりでした。 

Q14.「とくし丸」を始めてよかったこと、うれしかったことはありますか?
Ans.お客さんから「来てくれて、本当に助かる」など感謝されることです。  

Q15.「とくし丸」の事業を長く続けていくためには、どのようなことが必要だと思いますか?
Ans.精神的にも肉体的にも無理をしないことだと思います。お客様の中には、気を使ってたくさん買ってくれる方もおられるのですが、また次回来るから無理してたくさん買わなくてもいいからね、と伝えています。  

Q16.今後の目標や展望、課題があれば教えてください。
Ans.とくし丸1台だけでは益田市内全エリアをカバーできないので、2号車を走らせてくれる仲間を探し、なるべく多くの「買い物難民」を救ってあげたいと思っています。

「販売するひと」を取材した感想

「とくし丸」販売パートナーの和井元さんへの取材を通して、益田市内5地区をたった一人で担当され、「買い物難民」と言われる高齢者の方々のために移動販売を頑張っておられる姿が印象的でした。無理してたくさん買いすぎることがないように声をかけるなど、長く続けるためにお客さんとの信頼関係も大事だと思いました。
ぜひ、2号車・3号車と仲間が増えて「買い物難民」の方々を救ってもらえるようになればいいなと感じました。

販売の合間に取材に協力してくれた「とくし丸」の和井元さん。ご協力ありがとうございました。

「とくし丸」の事業形態は、契約するスーパーマーケットは商品を貸し出すことで日々の売上が上がり、販売パートナーは一品あたり20円を加算して販売することで利益になり、また商品が売れ残っても返品できるのでリスクがない。また、買い物に困る人たちは、購入したものにいくらか追加で料金を負担するだけで、たくさんの商品の中から選んで買い物をすることができます。
このような仕組みが徳島県の中山間地域から始まって、全国に広がっているということは、全国各地に買い物に困っている高齢者がたくさんいて、いたるところにニーズがあるからだと思います。
「過疎」発祥の地、益田市。同じような地域は全国にたくさんあります。この美都からでもみんなが助かるアイデア、地域が元気になるアイデアがあれば、全国に広がるモデルを作ることができるのではないか、そんなことを考えた瞬間でした。

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