記憶

1日の終わりに決まって記憶の断片が語りかけてくる。薄い茜色のグラデーションの様な気持ちで満たされとても懐かしく居心地がいい。その場に導かれながら少しのヒントしか与えてくれない。何故、その場所を手離してしまったのだろう?あれだけ愛していたのに。答えの出ない問いかけに虚しさを感じる。きっと並々ならぬ理由が隠れているのだろうけれど今の私には思い出せない。人にとって大事なものなど記憶を無くしてしまえばないのと同じ。記憶と違う場所が覚えているのかも知れないがそれには時間と忍耐を要する。時の流れのように心の在り方も形を変え、同じままではいられない。今の自分にとってどれ程大事なものかで思い出し方に影響してしまう。失われたものを手に出来ない寂しさはあるけれど、その分これから先の自分に楽しみが向られる。その瞳で映し出されるものをどう感じるの?何に触れたときに居心地の良さを感じるの?アナタの時間の共有者にしてくれる?アナタとならどんなに時間がかかってもどんな記憶を見ることになっても自分が自分で保てる気がする。この世界に色があることを教えてくれて『愛する』事を教えてくれたから。失う怖さを知ってるワタシにはアナタさえそばにいてくれたらたら『怖い』という感情を忘れられる。

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