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武道館で初めて推しの生歌を聴いて感情が爆発した

私が好きなアイドルは、発声障害と向き合いながら活動を続けています。
そんな推しのライブへ初めて足を運び大号泣するまでの軌跡を、自分語りではありますが綴らせていただきます。


「好きなアイドル」と述べたものの、実際のファン歴はかなり浅いです。
きっかけは1年半前の冬に、たまたまYouTubeで見かけた1つの動画。
『Dance Practice』などと呼ばれることも多い、アイドルやアーティストが自分たちの楽曲を『踊ってみた』動画を、主に定点カメラで撮影したもの。
私が見た動画はそのアイドルグループの代表曲で、きっとアイドルに詳しい人なら一度は聴いたことがあるはず。「三角形~」というサビのフレーズはきっと耳に残るものでしょう。

そして何の気なしに動画を流していたら、ふと気になる子を見つけました。
上下緑色の服を着た(メンバー全員が全身メンカラのジャージで踊る、斬新な絵面でした)、一番小さいのにとにかくパワフルに踊っている女の子。
定点カメラの遠さからでもわかる、表情豊かで感情が沢山こもった元気いっぱいのパフォーマンス。
気づいたらその子の事ばかり目で追っていて、癖になりしばらくの間動画を何度も再生していました。

着ているTシャツに書いてあった苗字を頼りにTwitterを見てみたら、まさかの自分の好みドストライク。こんなに可愛いアイドルがいたのか!!!と驚愕しました。ちなみに私の推しの共通点は目がぱっちりした二重で黒髪の女の子です。髪は短いほど尚良。
グループの他の曲も聴いてみたり、ライブ映像を見たりしているうちに、あっという間に沼に足を取られてしまいました。


私は元々アイドルが大好きで、それまでは様々なライブやイベントへ行っていました。しかしここ最近は全力で応援できる対象が特にいないまま、いろんなグループのライブ映像やMVを見漁る日々を過ごしていました。
久しぶりに、グッとくる感覚があったのです。
その推しメンの好きなところは、とにかくライブ中のパフォーマンスが素晴らしいところ。パワフルで力強く、体のパーツを上手く使ったダンスが特徴的。
どのポジションにいても気を抜かず、彼女らしさ満開の魅せ方が出来るところ。私自身も少しだけサークルでアイドルダンスを齧っていたので、憧れの対象でもありました。
そして、歌声が好きでした。かわいいのにかっこいい、コロコロ変わる豊かな表情と共に気持ちの沢山こもった歌を届けてくれるところ。
他にも、本格的で世界観の素敵な絵を描くことができて、オタクでツイートの文面も面白いところ(彼女に影響を受けてジョジョを全話観ました)、顔が信じられないくらい可愛いところ、喋り方も可愛いところなどなど。
挙げていたらキリがないくらい、私はすっかり彼女に魅了されていたのでした。


その頃の私は大学のサークル活動に全てを注ぎ、非常に忙しい日々を過ごしていました。
時間もお金もギリギリで友達と遊ぶ余裕すらなかったため、ライブへ行くことなど到底できず、それでも配信やオンラインのライブを見てはどんどんグループを好きになっていました。


しばらくたって、いつ頃からか正確には覚えていませんが、推しの歌声に違和感を覚えることが増えました。
音が外れてしまったり、掠れてしまったり。パートが以前よりも少し減り、かなり不安定になっていました。
きっと古参のファンの方はとっくに気付いていたのだと思います。勿論本人もです。私はゆるく追っていただけだったので、初見とはちょっと違った印象をしばらく経ってから少しずつ感じていました。
しかし、どれだけ不安定な歌声になっても、笑顔で踊る姿勢がブレることは一度もありませんでした。プロ意識の表れだったのだと今なら思います。

そして昨年の秋頃、推しがブログで「過緊張性発声障害」であることを発表しました。

最近になってようやく私の声の病名がわかりまして、過緊張性発声障害というものをずっと抱えています。喉が、意思に反して勝手に緊張して引き締まってしまうんです。不安の先取りもあって、四六時中ずっとうまく歌えるだろうかと考えるのがやめられなくて不安に駆られています。

推しのブログより引用

生誕祭の振り返りに交えて述べていましたが、ライブ時の苦悩や、それまで不安に感じてきたことが沢山綴られていました。
ああ私は何も知らずに無責任に応援していたのだなと、ただただ思わされました。


衝撃を受けましたが、症状に関してはすとんと腑に落ちました。それと同時に、症状と戦いながらも前向きにアイドルとして活動している姿がすごく複雑で、それでいてかっこよく思えました。
無理をしてでも頑張る事、辞めない事、逃げ出さないことが正義だとは全く思っていませんし、それ自体がかっこいいことだとは思いません。ですが、今推しがこうして頑張っている姿が最高にカッコよくて最高にアイドルだと、感じてしまいました。


アイドルって、応援する側もとっても難しいなと思います。
別のアイドルの話なのですが、以前大好きだった推しメンが突然脱退した際に、摂食障害であったことを明かしたことがありました。私自身も数年間摂食障害にかなり悩まされていて、同じ境遇でアイドルを辞めてしまった推しを想うと辛くて、苦しくて仕方がなかったです。3年前の事なのに未だにふと思い出します。アイドルを辞めた推しの、アイドルだったころの魔力がずっと消えずにいるのです。

「これからもずっとアイドルでいてね」「つらいなら辞めていいんだよ」
どんな言葉も軽率に伝えることができないし、でもこちらが何かを伝えないとアイドルは成り立たなくなってしまいます。
いつだって不安定で、推しはいつ推せなくなるかわからなくて、全てが正当に報われることはない。でもそんな気難しいところも含めて、どうしようもなくアイドルが好きで、何度離れてもアイドルに戻ってきてしまうのです。推しの持つ『魔力』はそこにありました。彼女のブログを読み、その上でさらに引き込まれました。
今こうして活動してくれているこの時を逃してはいけないと、そう強く思いました。



推しのブログから数か月後。今年に入って、鬱と慢性的な胃腸炎と摂食障害の悪化で生きることがどうしようもなくなった私はサークルを辞めました。最初の1か月こそ何もできませんでしたが、その後は元気になり新しいバイトも始め、自由な時間と自由に使えるお金を確保することができました。
私がサークルを辞めたころにちょうど、グループ初の武道館公演が決定しました。発表を聞いて思わず泣いてしまいました。2019年冬のライブで、グループのリーダーが武道館公演を目標に掲げ、そこから丸2年。その2年間を追っていたわけではない私でも、感極まる素敵な発表でした。

ふと、会いに行かなければいけない、と思いました。推しの不安定な状態を知った上で、自分自身もいつ壊れるかわからない不安定な時期を過ごし、張り詰めた糸が切れてしまうのは一瞬であることを悟りました。
もちろん、卒業発表はしていません。しかし何となくですが、いつ卒業を発表してもいいように若干身構えていた部分がありました。
私は彼女の人間性が大好きだったので、例えアイドルじゃなくなったとしてもずっと追いかけたいと思っていました。それでも、アイドルである彼女を見ないまま終わってはいけないと思いました。


こうして1年半の在宅オタク期間を経て、ついに迎えた武道館公演。2日間開催のうち、2日目のみ参戦しました。
ほとんどの既存曲を知ってはいましたが、セトリも何も知らぬまま会場へ入り、開演を待ちました。


グループにとっては念願の武道館公演。会場のセットもカラフルで豪華な仕様となっていて、overtureが流れ出した途端涙腺はゆるゆるに。
響き渡る盛大な拍手と、ライブ特有の重厚感のある音楽に気持ちはどんどん高まります。
そして1曲目のイントロが流れました。すごく好きな曲。そして、1番のAメロに推しのソロパートがある曲でした。
こんなにいきなり来るとは思っていなかったので、思わず身構えました。緑色のサイリウムを2本握りしめながらイントロを聴きました。

そして、初めて聴いた推しの生歌。

「か、かわいい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」

もうこれに尽きました。
かわいい。なんて可愛い歌声なんだ。というか歌っているときの表情とか、ウサギみたいな仕草とか、ふりふりガツガツ動いている感じが、もうとにかくかわいい。
ハラハラするというよりは、頑張れ!!と応援したくなる、母の心にさせてくれる歌声でした。

そこからは涙が止まりませんでした。思い通りに歌えず辛い思いをしている(とブログに書いていた)はずなのに、こんなにも楽しく、キラキラとしたステージを作り上げていて。私たちにこんなにもパワーをくれる推しのことをより一層大好きになりました。ようやく会いにいけて本当に本当によかった。

推しが歌うたびに、推しが前の方に来るフォーメーションになるたびに、より力強くサイリウムを振りました。感情が爆発した私は泣き続け、推しばかりを目で追い続け、あっという間の数時間でした。

発声障害を発表したブログにも、武道館で卒業した二人のメンバーの卒業発表が初めて知らされたときのブログにも、「アイドルを辞めようとしていた」と書かれていました。
武道館公演のMCでも、本当はやめようとしていた話をしてくれました。しかし、アイドルを続けて良かったとも言ってくれました。
その言葉がいずれ彼女を縛ることになるかもしれないのに、そう発言してくれた勇気と覚悟にまた泣いてしまいました。


今後それが変わったっていいのです。今はただ、あの時アイドルを続けると決めた推しの想いを、少しでも負担にならぬように運んであげたいなと思います。


「なんたってアイドルなんです」と言ってくれてありがとう。
無責任に応援させてくれてありがとう。

アイドルでも、アイドルじゃなくても、今どんな選択をしていても、この先それが変わったとしても、できる限りはずっと見守らせて欲しいです。

あの日武道館で聴いた推しの歌声は、何よりもキラキラしていて素敵でした。

そしてまた3日後。夏の全国ツアー初日で、推しがどんな姿をみせてくれるのかワクワクが止まりません!

きっかけの動画です、ぜひ。

全てのメディアやライブなどの発言を追えていないので、私の推しに対する解釈が間違っている部分があったらすみません。これからも応援しています!


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