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ホスピタリティのあるオフィスって何ですか?

~みそのある一日~
朝、オフィスに来ると一枚のメッセージカードとともに淹れたてのコーヒーが置かれている。昨日夜出社スケジュールを登録するときにオーダーをしていたからだ。
午前中は来週の報告に向けた資料作成をするつもり。集中したいから個室型のフォンブースでやろう。小休止の間のお昼にデリバリーしてもらうランチボックスをオンラインで注文。時間になった頃、宅配ロボがフォンブースの前までランチボックスを届けてくれた。資料のベースは出来たから、ここでお昼にしよう。
午後はフロア中央にあるコラボレーションスペースで新規サービスの検討会。熱海に住んでるファンさんとは1か月ぶりにリアルするなー
今週は稼働に余裕あるし、今日は定時で仕事終わらせて、上階のジムにいこっと。ランドリーサービスあるから、ウェア持ち歩かなくても大丈夫なのが楽ちん(・ω・)
明日は対面で話したい打合せとかないし、リモートワークにしようっと。あー家帰って何食べよ
                            -終-

以上、私の妄想でお送りしました。オッサンの妄想なのでアーリー90sトレンディドラマ感が多少出てますが、あなたにとっての理想のオフィスとは?という質問を以前されたとき、こんなワークスタイルを想像しました。

正直、オフィスワークの大半はリモートワークで事が足ります。もちろん介護・医療や交通機関の運転などに代表されるエッセンシャルワークに従事されている方の状況はまた異なりますが…

リモートワークが浸透した今、自宅がすっかりリモートワーク用に最適化されてしまい、オフィスに戻りたくないという人もいるっしゃるかと思います。

一方でこんな話もあります。米マイクロソフトが、自社の従業員6万1,182人分のテレワークに関する研究論文にて「全社的なテレワークが従業員同士のコミュニケーションに悪い影響を及ぼし、その生産性と長期的なイノベーションを脅かしている」と発表しています。

リモートワークがもたらすコミュニケーションへの影響、副次効果としての生産性への影響という点については今後も調査が必要となりますが、当面は以前にも申し上げた通り、リモートワークとオフィスワークを選択しながら働くハイブリッドワークが推進されていくものと思われます。

リモートワークとオフィスワークを自由に選択できるようになると改めて問われるのはオフィスの存在意義です。自宅がオフィスと遜色ない(むしろオフィスよりも快適な)ファシリティとなった今、オフィスに求められるものは何でしょうか。

個人で行うドキュメントワークはもはやロケーションに左右されないでしょう。複数人で行うディスカッションはWeb会議が使えます。

ただWeb会議には「非言語手がかりが乏しい」という特徴があります。正確にはCMC(Computer-Mediated Communication)全般における特徴となり、Web会議ほかチャットツールなどによるコミュニケーションもCMCにあたります。

非言語手がかりとは言語を発する以外の情報伝達方法のことでジェスチャーや表情などがそれにあたります。こちらの先生が研究されたものになりますので、興味のある方はご覧になってください。

「CMCは非言語手がかりが乏しい」はアバターやVRオフィスが実用的になっても、課題ととなりつづけるでしょう。

他にもリモートワークによる影響として「つながりの偏り」が指摘されています。それはワーカーの間でつながりの強いワーカー同士のコミュニケーションはリモートワークを続けていても関係は維持されるが、つながりの弱いワーカー同士のコミュニケーションの回数が減り、よりつながりが弱くなってしまったというものです。

米グーグルも、ワーカーが新たな仲間をみつけやすく、協業しやすい環境をつくることはイノベーションを生む職場環境の条件の1つとして提示しています。

少し話が逸れてしまいましたが、現在のハイブリッドワーク環境では、状況に応じてフェイストゥフェイスのコミュニケーションが必要となります。また、ワーカー間のコミュニケーションの場として物理的空間のオフィスは存在することでしょう。

一方的にただオフィスに戻れ、と号令をかけたとしても、ワーカーには不満が残ります。よってこれからは「ワーカーが来たいと思えるオフィス」を用意する必要があるでしょう。

シェアリングエコノミーの時代にあわせて、カフェやレストラン、ジムやホテルがオフィスに併設されると良いですね。オフィスでは「モニターの大きさを好きなように変更できる」など仕事用のガジェットを柔軟に選べたり、ホテルのラウンジのような快適さがあると、移動時間を消費してでもオフィスに来たくなるかもしれません。

優れたワーカーに来てもらうためのオプション、という意味でもこれからはホスピタリティのあるワークプレイスを作ることが求められることになりそうです。もちろんワーカーにもそれに見合ったバリューを提供することが求められるのでしょうが。

以上、お相手はみそでした。


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