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みしか
2019年6月15日 03:03
呼び出されたから来たものの、退屈すぎるからもう帰ってもいいかなーなんて考えている。薄いピンクのシフォンスカートに、昨日買ったばかりのざっくりとした網目のセーター。ヒールは6㎝だし、バッグはコンパクトなサイズでデートスタイルとしては完ぺきなのに。「内藤、今日はありがとな。仕事のあとなのに」「ううん、全然。」 にっこりと、鏡で練習したとおりに笑いかける。竹中くんは悪い人じゃないけれど、仕
2019年5月25日 11:18
病み上がりの仕事はキツイ。深く息を吸い込んで、思い切り背筋を伸ばす。「せんぱーい、これもいいですかー」「おっけー送っといて」 返事をしながら、プロテインバーの袋をもそもそと開封する。しまった、これは開けにくいパッケージだった。握力が弱いからか、袋を破くのが苦手だ。会社となると、口であけるわけにもいかない。 病気というものは、つくづく土日に発症すべきでないと思う。それでも、私が病気
2019年4月30日 22:17
「みゆきはかわいいからなぁ」 そう言って、私の頬を撫でる指が嫌いだった。愛おしそうに目を細めて、子ども扱い。やることはやっているくせに、一人の女としては見てくれなかった元カレたちには、なんとなく冷めていって私から別れを切り出した。といっても、元カレはせいぜい3人。彼らの名前は憶えているけれど、顔はすでにあやふやだ。「顔色、よくなったね」 日曜日、ぼさぼさの頭で起きてきたさとみちゃんに朝
2019年1月21日 18:54
『先輩、とても退屈です』 隣に座る先輩にメッセージを送ってみる。 週に1度のミーティングは面白くもないし、正直無意味だと思っている。勉強会も兼ねたこの集まり、正直何も得るものがない。『私だって退屈』 ちらりと横を見ると、表情を崩さずに頷きながら熱心にメモを取る先輩の姿が見える。業務上、パソコンを使うことが多いから、メモは紙よりも電子。覗き込まれない限り、何をしているのかは分からない