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キッチン(台所)が大事~3つの理由

家の中で当たり前にあるキッチン(台所)新築したばかりのキッチン、リフォームしたキッチン、賃貸で住んでいるキッチン、もう何年もたっているお家のキッチン、カタチも広さも様々、です。昨年思いもかけないコロナの感染で、生活スタイルも時間の使い方も仕事のスタイルも、すべてガラリと変化しました。そして超高齢化社会が急速なスピードでやってきています。今、キッチンの「使い方」にフォーカスして考えることは、2030年までの近未来の安心した暮らしを手に入れるために、大事なことです。

その理由は3つ、一つは心身ともに健康で生きるため、2つ目は人として互いに尊重できる心を磨くため、最後は自分だけでなく家族も家族の先にいる誰かをも幸せにするためです。

心身ともに健康で生きるため、自分を整えること

30年前に男女雇用均等法が施行されてから、わずか5年ほどで兼業主婦世帯は専業主婦世帯を上回りました。ひと昔前は、結婚することが女の幸せとの価値観で、結婚したら、専業主婦になり、賢く家事をやりきることが役目だと思っていた時代から、自分の能力を活かし社会で活躍する時代へと多様な価値観が選択できる時代に変化しています。
今まで家で当たり前だった家事労働は、社会でシステム化され、家電は機能的に変化し、時短家事がセオリーになりました。これからロボット社会になれば、料理も作ってくれる、配膳してくれる、後片付けもしてくれる、という、人が必要とされない時代が来るかもしれません。

キッチンは視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚の五感をフルに使う場所です。

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実は、これから5年先、10年先、20年先の人として、健康で豊かな暮らしを送るためには、この五感を使うということが、とても大事なことになります。しかしながら、今後さらなるデジタル化やAIの到来によって人が、自分で動くことをしなくなると脳への刺激が減り、手先を使うことが少なくなります。
調味料も分量を言えば、機械から自動で出てきて、調合してくれるロボットもあります。そうすると、材料や分量は視覚をもって脳に伝達されないので、大さじ1が どのくらいなのか、A調味料とB調味料をどんな割合でまぜたら、どんな味覚になるのか、自分の加減がわからなくなります。味覚は視覚から入りますが、この感覚が衰えていく懸念があります。

また、キッチンを使うときにフル回転する五感の中で、一番影響力があるのは、「臭覚」です。臭覚は唯一、記憶をつかさどる海馬につながっているので、臭覚をにぶらせないことは、認知症の予防になるともいわれています。その意味でも快適にキッチンを使うことは健康に豊かな生活を送るためにも必要なことです。

互いに尊重できること

人の体は「食べるもの」で作られていきます。健康な体、健康な思考を生むためにはどんなものを食べ、どんな会話をするか、が大事になります。そのためには、自分で抱え込むことは美徳ではなく、家族や周りの人へ「お願い」できる自分になることです。自分を閉ざすことは、自分のことも家族のことも廻りのことも、見て見ないことにして、波風を立たせないようにしているだけです。自分を苦しめてしまいます。うさぎは寂しいと死んでしまうように、人も全くしゃべらないでいると体も心も衰弱してしまいます。

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自分を楽に、相手も気持ちよく、WINWINの会話ができるためには、「言葉」が大事です。どんな言葉をどんな感情で使うかは、相手を「わかる」ことに意識を向けたとき、相手にも「わかってもらえる」のです。一昨年、私が講師をつとめた、講演会の時に、家事を手伝った経験のある男性に、それを辞めた理由を、お聞きしました。すると「妻のやり方と違う、」と怒られた、「妻には妻のセオリーがあって手がだせない、」「自信を失った」、という声がありました。夫や家族に安心しきって、相手の気持ちを知らず知らず傷つけていること、これは、「わかってない」からです。

キッチンは食事支度や洗いものなどの作業を、自分だけがやっている意識ではなく、互いに尊重しあえる場所として一番、身近な空間です。家族とシェアできるキッチン空間の使い方が、家族の円滑なコミュニケーションを生み、気持ちのモチベーションアップにつながるのです。これは社会生活でも同様で、キッチンを通した会話の在り方は、自分が縁するすべてにも当てはまっていくのです。

あなたの「キッチンの向こう側」には何が待っていますか。

自分が変われば、家族が変わる、家族が変われば、縁する人も変わっていく、これを3次の影響のルールといいます。仕事をもっていると子育て、家事などの役割分担の協力とともに、そこには「心」の伝え方にとても気を配らなくてはなりません。もちろんいろんな方法もある、サービスもある、しかしながら今しかない子育ての時間を大事にするためには、心が通う努力が必要になります。「あなたを見てるよ」という安心感は、自分から巣立ったわが子が、安心して人や社会に寄与できる因となると思うです。

例えば、シングルマザーの私は土日の休みなく、息子の野球の試合もいけませんでした。どうしたら親子の時間を作ろうかと考え、時間を作っては一緒に簡単なレシピでパンを作りました。パンつくりのプロセスで「こねる」という作業は子供の想像力を膨らませ、手先を使うことで五感にも刺激があるかな~などど思いながら、いろんな形のパンを作りました。またいじめで登校できない時期は、お米をとぐことや、一緒に料理をすることもしました。

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おかげで気が付いたときは、息子は自分である程度の料理ができるようになり、キッチンに立っている私のところで話をするようになりました。時間のない中での親子の心をつなぐ役割としても、キッチンを使うことは、大きな意味があります。キッチンからはじまる幸せは、親から子へ、その先のだれかへとつながり、広がっていきます。


デジタルな便利さは結局「人」に回帰していくのだと思います。どんな時代になってもキッチンは、家の中からなくなることはありません。
おかあさんっていい匂い、卵焼きの匂いかな、洗濯物の匂いでしょう…… この歌をご存知でしょうか。デジタルな生活とうまくバランスをとりながら、自分に快適なキッチンのつかい方を工夫することで「キッチンにたつたび幸せになる」気持ちを多くの方に実感いただいて、笑顔うまれる社会になる一助となることを願っています。

あなたの「キッチンの向こう側」には何が待っていますか。


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