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剛腕の部長と辣腕の新入社員③

前回(4月14日)の同じ題名記事である「剛腕の部長と辣腕の新入社員②」の中でイントロさせていただきました。

剛腕の部長の評価スコアが低くなるのは人材アセスメント側が原因ではなく、〇〇の〇〇〇〇〇〇が原因である可能性が極めて高いと考えられます。

あらためてみると簡単な答えでした。

御社の人事評価制度が原因である可能性が極めて高いと考えられます。

御社の人事評価制度も千差万別、全てに原因がある訳ではないものの、丸めてしまえば、ヒューマンアセスメントや昇進昇格アセスメントが評価するものは「未来」であり、受講者の方の「コンピテンシー」です。

一方、御社の人事評価制度が評価するものは「過去や現在」であり、受講者の方の「成果」と「プロセス(仕事への取組み姿勢)」です。

巷でいうところの「名選手、必ずしも名監督…」の人生訓がわかりやすい喩えでしょうか。

この考え方、評価側の関係者は理解しているはずなのに理解が甘いことが多く、さらに被評価側の関係者は十分な説明を受けておらず、ここから悲劇のベルが鳴り響きます。

剛腕の部長は、過去の成果である「これまでのワンマンでの実績」、現在のプロセスでもある「会社への忠誠心と激烈パワー」によってポストを獲得しました。ただし、ヒューマンアセスメントや昇進昇格アセスメントによって「未来」に向けた「コンピテンシー」を評価された場合、将来のポストを担うことは難しいといった結論に直面した次第です。

「未来」、部長として優秀かではなく執行役員クラスとして期待できるか?

「コンピテンシー」、当該クラスに期待されるであろう例えば「俯瞰」「創造」「急進」「洞察」などを備えるか?

本来、これらを評価するのであれば、インバスケットとか、ペーパーの方針立案とか、グループディスカッションとか、部下面談のロールプレイとか野暮で軟なケーススタディではなく、全く別の仕組みやシミュレーション、ケーススタディを使用すべきですが、なかなか広まっていないため、過去30年間を引き摺った形で実施するしかありません。

しかし、インバスケットとか、ペーパーの方針立案とかであっても、剛腕の部長、やはり知識や経験則、激烈パワーが武器となるために、執行役員クラスに求められるコンピテンシーの発揮は不十分となります。

剛腕の部長は正しく評価されなかったという不満を持ち、ねじ込まれた人事部門の方は言いようのない不満を持ち、質問と確認の矢が鋭く飛んでくるアセスメント実施機関は収拾に汗をかくといった具合に誰もが不幸に・・・。

ではどうすれば?

この悲劇、一般論としてかなり以前から、人事側、ひいては会社側が「なぜそのポストにつくことができたのか?」を十分に説明しない、理解させないことが背景にあると言われてきました。

剛腕の部長の場合、これ以前の話として部長への昇格時、次のような感じで・・・。

「これまで数多くの成果をワンマンで上げてきましたね!そして会社への忠誠心と激烈パワー、これについても高く評価しています!ありがとう!」

「ただし部長に求められているコンピテンシーは大したことなかったです。部長への昇格はこれまでの成果へのご褒美、そのプロセスの見本としてのお礼です。ここを勘違いしないでくださいね。あなたのコンピテンシーの現状では部長がゴールになる可能性高いです。しかし、さらに目指すものがあるのであればコンピテンシーの開発に取り組んでください。本部長の私(あるいは人事育成部門)としても協力は惜しみませんよ」

と、綺麗な言葉としては可能かもですが、現実には難しいでしょうね。

そして、私たちアセスメント実施機関も、部長層以上への昇進昇格アセスメントについては下の階層とは異なるコンピテンシー、ケーススタディ、仕組でアセスメントを実施すべき時期が来ていることを強く認識すべきでしょう。

お客様である企業さんの人事制度を変えていくことは困難で、そもそも出過ぎたことですが、若手で実施する昇進昇格アセスメントの仕組みと執行役員の選出のアセスメントの仕組みが形式的に違うことで満足していてはいけません。

そして、各階層において、過去の成果の評価は企業さんで、現在のプロセスの評価は企業さんで、未来のコンピテンシーの評価は私たちが、この原則を踏まえ、成果の評価とプロセスの評価とコンピテンシーの評価を客観的に包括的に行えるシステムを私たちは提供していきたいと考えています。

人事制度と評価制度、このセパレート感も人それぞれなところが、業界の分かり辛さであり、飯のタネでもあり、なかなか難しいところですが・・・。

今回も長い記事となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。


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