オーナー社長が昇進昇格アセスメントを受けたら?
次の管理職やリーダーを選抜するといった趣が強い昇進昇格アセスメント、ヒューマンアセスメントですが、進め方一つで次のようなことも可能となります。
✅50人の部長の中から、「次の次の次の次」を狙えそうな3人を現時点で印をつけておく
✅プレイヤーとして全くダメな社員を集め、ダメな原因をコンピテンシーベースで分析する
✅営業担当、マーケティング担当、それぞれ10名を選んで担当特有のコンピテンシーを把握、日常の成果と重ねて分析することで担当に求められるコンピテンシーを明確にするとともに、「営業からマーケティングに」「マーケティングから営業に」のメンバーの引越しを実施する
私たちのこれまでの経験上の話になりますが、このような実験的な昇進昇格アセスメントを実施する場合、震源地は人事部門ではなく、経営層(トップ)となることがほとんどです。
そして「キレイな施策」でなく、「✅プレイヤーとして全くダメな社員を30人集め、ダメな原因をコンピテンシーベースで分析する」のような「本音の施策」、このようなことを平気で実施できるのは、やはりオーナー社長しかいませんよね…。
上の3つの案件の個別結果について、ここで詳しく説明する訳にはいきませんが、共通的な興味深い結果を今回、ご説明できればと考えています。
今回のこのような案件ですが、起案はトップ、窓口は人事部門、実施は弊社のような外部業者となります。昇進昇格アセスメント実施後、結果報告を行いますが、その際のトップの反応、人事部門の反応、かなりの確率で異なることになります。
私たちが報告する結果に対して肯定的な反応はトップ、否定的な反応は人事部門、実施前から持っていた問題意識(あるいは仮説)に近い結果がココに出てくるといった様子でした。
✅「次の次の次の次」を狙えそうな3人
トップ 「(合計点はさほど高くないが)まあそうなりますね」
人事部門 「え? この中の1人はOKですが残りの2人は…」
✅ダメな原因をコンピテンシーベースで分析する
トップ 「想定通りです」
人事部門 「うーん…。思考が原因だと思うけどね~」
✅それぞれ10名を選んで担当特有のコンピテンシーを把握
トップ 「日常の成果の定義が甘いけど、イメージに近い結果です」
人事部門 「はー…。」
何が原因でこのようなことが起きるのか?
トップが大切にするコンピテンシーと人事部門が重要と考えるコンピテンシーが異なるからではないかと考えています。
「次の次の次の次」を狙えそうな3人の場合、合計点はさほど高くないものの、「概念」と「創造」、そして「決断」が高い部長を3名、私たちは「合計点だけで選ぶのであれば他の部長になりますが、トップを狙うとなるとこの3名の部長になると思います」と報告します。すると「まあそうなりますね」とトップ、一方、人事部門としては「えっ?BさんCさんⅮさんの3人では??」「理解・社交・達成が高く、合計点も高いこの3人では?」
トップ、あるいはオーナー社長の考えるデキる社員、「概念」「創造」「決断」がコンピテンシーであり、人事部門が考えるデキる社員、「理解」「社交」「達成」がコンピテンシーで、共通的な興味深い結果である「実験的な昇進昇格アセスメントを実施する以前から何となく結果が見えている」の背景として、トップ自身も「概念」「創造」がコンピテンシーであり、周りが見えないものでも見えるのではないでしょうかが今回の結論となります。
また、特にオーナー社長の場合、傍から見ると大きな「決断」であっても、本人からすれば日常の「こうするね」のレベルであり、その期待水準は高いものになり、ほとんどの社員は「決断してないよね、あの人たちは」に該当しがちで、決断がコンピテンシーとなる社員に目が向かいやすいのかもしれません。
周りが見えないものでも見えるトップ、特にオーナー社長が後継者を選ぶ場合など、このような事実をベースに判断すると、やはり一本釣りが有利なのかなと考える一方、「次の次の次の次」を狙えそうな3人は「概念」「創造」「決断」がコンピテンシーで、この3人も「周りが見えないものでも見えるタイプ」なんですよね。けど、「理解」「社交」「達成」は必ずしもコンピテンシーではなく、今のポストくらいでベンチャー立ち上げたり、次の次のポストくらいで誰かに足を引っ張られたり、次の次の次のポストくらいでオーナー社長に逆らったり、すんなりと禅譲には至らないケースが多いのかなと思います(ここは感覚的)。
結果的に特にオーナー社長が一本釣りをする場合、社内候補に「概念」「創造」「決断」がコンピテンシーとなる人材が少なく、仕方なく他社のそれなりの層から後継者を一本釣りで招聘するしかないのでしょうか…。
が、しかし、他社のそれなりの層まで駆け上がってきた人材です。「理解」「社交」「達成」をコンピテンシーとする人事部門好みの人材なのか、「概念」「創造」「決断」をコンピテンシーとするオーナー社長好みの人材なのか、そこはわかれるところと思われますが、果たして結果は??
今のところ「〇勝〇敗〇引き分け」といったところでしょうか。
以上で今回の記事を終わります。思わせぶりな記事に最後までお付き合いいただきありがとうございました。今回の記事ですが、特にどこかの企業さん1社に限定したものではないことをご了承ください。特に最後の「〇勝〇敗〇引き分け」の件は、皆さんがイメージされているあの企業さん7社以上を前提としています。
また、上記の私たちのサイトでも、情報発信を進めております。合わせてこちらもよろしくお願い申し上げます。
https://minnanoassessment.com/
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