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「ポストコロナの商いは顔の見える関係性から! 『笑顔職人を輩出する組織創り』への挑戦」 泉州ミライノベーターVol.1 『パティスリー アン・スリール』代表 公文 一雄さん

『泉州ミライノベーター』とは?
大阪・泉州地域の「未来」×「イノベーター」の新企画、『泉州ミライノベーター』プロジェクト始動!「未来を創るイノベーター」を深掘り取材!時代を創るイノベーターのビジョンを発掘&発信し、泉州のエネルギーあふれる未来を創るプロジェクト🔥

記念すべき初回ゲストは、泉佐野市の洋菓子店『パティスリー アン・スリール』のオーナーシェフである公文 一雄(こうぶん  かずお)さん!『パティスリー・アンスリール』を営み今年で10周年!地域活性の取り組みにも積極的に参加され、泉佐野商業活性化事業の『さのまちゼミ』実行委員長も務められている公文さんから未来のお話を伺いました!

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くすぶっていたコロナ禍から新たなスタートへ

―早速ですが、公文さんがこれからやっていきたいことを教えてください。

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泉佐野を代表するお菓子屋さんを目指して10年間やってきましたが、コロナ禍で進むにも進めず、今来ているお客さんに喜んでもらうという当たり前のことを繰り返す日々を送り、くすぶっている自分がいました。

1年間何も広告活動をしていませんでしたが、泉佐野市が主催する「いずみさの日本遺産おみやげコンペ」への参加をきっかけに今年、新しいスタートを切れたと思います。

泉佐野の新しいお土産ものを作って地域を盛り上げていこうという趣旨に賛同し、将来的に出品した商品が泉佐野を代表するお菓子になればと思い参加したところ、優秀賞をいただくことができました。

入賞した商品は「さのカルタクッキー」という名前です。日本遺産に指定された地域を地元の絵描きさんに描いてもらい、佐野町場の名所である「いろは蔵」にちなみ、子どもたちにも馴染みのあるカルタの形で12種類のパッケージにしています。

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商品を手に取った子どもがカルタに描かれた名所に興味を持ち、例えば“い”の読み札をみて「犬鳴山」行ってみたい!というように街を探検してくれたらという想いを持って作りました。

将来的には、商品が関西空港や観光案内所で販売されることで自分のお店以外の場所で商品自体が観光大使のような働きをしていき、これまで泉佐野になかったお土産文化を根付かせていければと思っています。

最も大事なことは“人のつながり”だと気付かされた

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コロナ禍やお土産コンペへの参加を通じて改めて実感したことは「人とつながっていないと何もできない」ということです。

お土産コンペでも、絵が描ける方とつながっていなかったら作れなかったし、自分が実行委員長として関わっている「まちゼミ」でもそうですが、さまざまな人とつながることで、「自分ではできないが、あの人に頼めばできるかも」というように自分とお店の可能性を広げていくのです。

ポストコロナでは「どの商品をどこから買う」のではなく、「どの商品を“誰”から買う」かという形になると考えています。コンビニでもそうで「面白い店長がいるからあのコンビニで買おう」という風に消費者の意識が変わっていくのだと思います。

超地域密着・顔の見えるお店を目指していく

―公文さんがこれから実現していきたいことはなんですか?

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世の中にたくさんのお店があり、賞をいくつもとるような名店もある中で、自分のお店が目指しているのは超地域密着。関わっていくお客様と顔の見える商売をしていくということを目指しています。

単純に僕が作ったお菓子をスタッフが売る、というものでなく、あなたになら任せられるねという関係性を築くことでスタッフもお客様もお互い顔を覚え合い、信頼されるようにしていきたいです。

昨年からのコロナ禍では時短営業などお客様に我慢を強いる部分がでてきましたが、スタッフとお客様の安全を守るためだとしっかり説明し、対話を重ねてきたことで1年経った今では、何も言わなくともお客様の方から「お店は12時からオープンだよね」といったようにおのずとお店の状況をご理解いただけるようになりました。

逆に、対話をする中でお客様の悩みも伺うことになり、行きたくても店に来られない方のため配達サービスを始めるようになりました。お店のスタンスをお客様に受け入れてもらう一方で自分もお客様の求めることを受け入れる。こうして商売が成り立っていくと感じています。

未来のことを考えると今が楽しくなる

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一方では、コロナ禍においてはスタッフにも大変助けられました。今働いているスタッフの中には独立してカフェがやりたいという子もいます。パティスリー アン・スリールはそうした想いを応援できるお店でありたいと思っています。

未来のことを考えると今が楽しくなる。未来から逆算して、今やるべきこと、学ぶべきことが見えてくるという話を普段からスタッフにしています。

これからは、自分のお店という小さなコミュニティの中で、失敗してもいいからチャレンジするという文化を作っていきたいです。何もしないというのが一番ダメなことで、小さな成功体験を積み重ねていくことが大きな成功につながると考えています。

そうした環境の中で育ったスタッフは自分が独立した時にも同じように人のチャレンジを応援してくれるはず。そうして僕のお店から人材が輩出されていくようにしたいです。

笑顔が全ての基準

―公文さんが普段大事にしている価値観はありますか?

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笑顔の輪を広げるためのお店作り、商品作りを心がけています。店名の「アンスリール(unsourire)」はフランス語で「笑顔」という意味ですが、新商品を考える際も「これを作ってお店に出したら本当にお客様がワクワクするだろうか」ということを商品化の基準にしています。

仕事に関わるお話もいろいろといただきます。以前も「数百個のケーキを毎日卸してほしい」というお話がありました。受ければ売上は上がるかもしれませんが、そこに注力して自分のお店のお客様のことがおろそかになるならやる意味がないと思いお断りしました。自分の中で「何のために」ということがはっきりしているとさまざまな判断の基準になっていきます。

安売りからの脱却は「あなたから買いたい」になること

正直に言うと、うちのケーキは他所に比べて少し単価が高めです。しかし、自分たちの価値を高めるには商品の価値を高めないといけない。安い商品を売っていては自分たちの価値も上がっていかないのです。以前は自分が我慢することでかなり安くしていたのですが、働いているスタッフのことも考えると、ある程度の価格設定をしないと独立しようとも思わないし、給料も払っていけないことになってしまいます。

顔の見える商売をしていると、お客様との関わり方も変わってきます。よく来店されるお客様の姿がしばらく見えないとスタッフが気づき電話してみたところ、骨折して出歩けなくなっておられたため、ケーキを配達でお届けしたこともありました。そうした商売をしていると、お店のファンがつき、高い・安いという基準のもと「どのお店で買うか」から「あなたから買いたい」という方向へお客様がシフトしていくのです。

笑顔を生み出す職人を全国へ

どんな職業でも結局は人だと思います。色々な職業や自分を表現するステージがある中でも、裏方で働いてくれる方がいないと自分は表舞台で輝けません。僕は菓子職人としてお菓子を通して、人と人とのつながりと笑顔を作っていければと思っています。

また、経営者として『笑顔を生み出す職人を輩出する組織』を創っていきたいと思っています。店舗数を増やしたり、アンスリールで修行を積んで独立してお店を開く人も増やすことで、笑顔を生み出す職人を日本全国に輩出していきたいですね!

パティスリー アン・スリールさん
〒598-0006 大阪府泉佐野市市場西1-1-11

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インタビュアー / 和吉(わきち) 文・写真 / 渡辺葉一

和吉(わきち)

「プロデューサー・コーチ」
大阪府泉佐野市生まれ。東京にて人材系企業リクルートでの勤務を経て、人材・組織開発コンサルタントとして独立。2021年より泉佐野市にUターン。現在は新規事業のプロデュースや、組織のビジョン・戦略創りのコンサルティング、コーチング活動を展開中!ミッションは「にっぽんの未来を発掘!」

渡辺葉一
ヒトツナギ 代表
商工会議所の経営指導員やまちづくり企業でのエリアマネージャーとしての経験から個人事業主として独立し中小企業の広報、プロジェクト実行支援を行っている。得する街のゼミナールさのまちゼミ発起人/ローカルメディアTAKEOUTいずみさの運営など泉佐野市でまちづくり活動中!

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