夏を愛せるひとつの理由
天窓から入った
日差しの暑さに起こされた午前9時。
輝かしい日光の隙間から彩度の高い青さが
ほんの少し窓の枠内に広がっている。
外に出るのが億劫になるこの時期を
唯一愛せる理由がある。
深く、濃く、どこまでも果てのない
青いキャンバスに描かれた純白のお城。
暑さで歪む道路の境界線。
ボトルに滴る水滴が儚く落ちる光景。
死者を迎え供養するお盆。
眩しいほどの生命たちの輝きや彩度と
生前の思い出と記憶を同時に招き入れること。
今を生きるものたちと過去を生きたものたちが
同じ場