美容整形、してる?
リアルの美容整形トークを、電車の中で耳にしたことがあります。
二十歳ちょい過ぎぐらいの普通な女の子ふたりが、空いた湘南新宿ラインの近くの席で話しているのが丸聞こえで……。
「整形ってしてます?」
「うん、してるよ。◯◯と、◯◯ぐらいだけど」(私mintには用語の意味すらよくわからない)
「そうだよね」
「え、なんで? 迷ってるとか?」
「そう。どこの病院がいいのかな、とか」
今、インスタでも整形手術の実況や、美容外科医の先生のアドバイスなんかが、だ・だ・だ〜っと流れてきます。
日本で芸能関係のお仕事をしていたので、整形は30年前にも常識だったとはいえ、一般的には別世界の話でした。だから近年の浸透ぶりは、浦島太郎の感!
賛否両論はあると思うけど……。
近未来がこの映画みたいになるのも、現状をみればあながち架空でもないのかも。(Netflix映画『アグリーズ』 同名のディストピア小説を基にした作品)
ネタバレを避けながらいえば……、16歳で全員が意のままの外見を持てる洗脳社会で、魅力的に変わる誘惑に抗うのは相当難しいのでは――という感想でした。
ストーリー自体は子ども騙しの部分もあるけれど。サイファイ系が好きなので映像的に楽しめたし、倫理観や結論が安易に流れてない点にも共感できました。
整形には縁がないので、昨今の整形ブームは単純に羨ましいです。人間の中身は、整形みたいな短期間では変えられないから。
断然「頭の中身を変えたい派」としては、ソンしてる気も。でも結局、誰でもイケメンや美女は好きですよね。
ヒロインのタリーが「私は自由よりも美が欲しい」と言う場面がありました(日本語でこう訳されてないかもですが)。私は、自由のほうが遥かに欲しいです。子ども時代から自由がなかったので……。
髪型も服も言動も、親に規制されていました。もしそれらが自由になるなら、「美」は工夫で捻出できると思うから(骨格などに決定的な問題がある場合以外は)。
「馬子にも衣装」。男性もヘアメイクで、韓国アイドルに。
メイク・スキルの天才も注目され、成功されていますよね↓。(所々出るすっぴん映像との落差。生き方スキルもすごい。コレ観れば成功脳へとクイック・メイク!?)
逆に、美が欲しい人にとっては「美があれば自由も手に入る」との論理になるのでしょうか。この本を読むと、そう考える人が多そうな感じでした。
プレイボーイ誌の看板モデル クリスタル・ヘフナーさんの手記。同誌の有名発刊者/億万長者ヒュー・ヘフナー氏の最後の奥様です。整形前の写真もあり衝撃。「してない女性はいない」世界なんですって!
クリスタルさんは、整形で名声やお金は手に入れながらも、ご主人の存命中には自由はなかったそう。未亡人になってさえも、メンタル回復には苦労されました。豊胸手術のシリコンを取り除いてみても、精神安定に効果はなかったそうです。
こういう世界を垣間見ると、「整形、いいなー」とばかりも言えません。リアリティ・ショーを好きになるきっかけになったこのシリーズ↓も、「みんなしてるんだろうな」と、見方が変わってしまいました。「美人もラクじゃない!」
セリング・サンセット ~ハリウッド、夢の豪華物件
手っ取り早い成功がすぐそこにあるかのような錯覚を、誰にでも抱かせるのがSNS社会。それも飽和状態。
私にしても近ごろは、顔出しなしや、していても魅力を感じないインフルエンサーは、発信内容が良くてもフォローを外すようになりました。
だってキレイな画面を見ていたいもの。「人は見かけが9割」は、現実。美容整形が人気なのも道理だし、否定する気はありません。
だけど、ものを作りたいタイプの、頭の中身を変えたいmintみたいな人間にとっては、「どうすりゃいいの?! 私だって、ダウンタイム数日で人生変えたい!!」
そんな時に心の拠り所になるのは、ビリオネアの音楽プロデューサーRick Rubin氏の著書。
例えばこんな言葉です。
(意訳)もしも結果に執着することなくものづくりやそのシェアにチューニングを合わせれば、その作品は最も真実に近い形で届きやすくなる。
上記の結びに至る一節の冒頭にあるのは、この一文です。
Popular success is a poor barometer of work and worth. (一般的な成功は、作品や価値のバロメーターとしては貧弱だ。)
クオリティに乏しい楽曲がハズミでバカ売れしたりする業界の、ヒットメイカーゆえの言葉なのかも。フォロワー数や売り上げの多さも成功ではあるはずですが、「それだけで作品や価値を計れるものではない」っていう意味でしょうか。
そう考えると、「ネット成功者や美男美女もステキだけど、音楽づくりもいいよね!」と思えます。
昔みたいに整形が後ろ指を指される社会が「いい」とは思わないにしろ……。願わくば「人は見かけが10割」でない未来がいいな。
そしたら、「整形、してる?」には
「ハイ! 頭の中身を、アダージョで!」って答えます。