ニューヨークで観るパリ・オリンピック
オリンピックのオープニング・セレモニーって、実況で観たことありますか? 実は私、今回が人生初でした。
日本の自宅にはテレビがないし。中高生時代は寄宿舎生活で、テレビがなくはなかったけど……。観る番組を投票で決めたり、上級生たちと観なくてはいけなくて気づまり。
大学生からはテレビはあったけど。部屋に楽器がなく、学生会館の門限ギリギリまで外のスタジオで練習してて。帰ったら寝る以外の体力はありませんでした。
卒業後も、まぁ同じです。独身時代はダブルワーク。ワーキング・ママも、テレビの時間はないのが普通。今みたいに、忙しくてもスキマ時間に観られるYouTubeやらネトフリはない時代で。
渡米後の2012・2016年は音楽タスクに追われて、オリンピック開催中なことすら「そういえば」って感じ?
で、初めて観てめちゃ感動しました〜〜。とくに、ピアノがいっぱいフィーチャーされていたのが嬉しかったです。(冒頭写真は水辺で燃えるグランドピアノ)
初めてなので、比較はわからないけど……。再放送でちらっと目にしたこれまでの開会式って、「旗を持った選手団が運動場を歩いてるだけ」みたいな退屈な印象。なので「ライトアップされた夜のセーヌ川に船」は、個人的にはポイント高かったです。
最近、人生どうですか?
私は、パリ・オリンピック初体験のこともあり、「こんな喜びの少ない人生でいいんだろうか」と、疑問に思っているところです。
それで、なるべくオリンピックは観るようにしています。当然ながら、NYでテレビに映るのはアメリカの選手ばかり。選手や観客が「USA! USA!」と連呼していると、自分もいつのまにか「USA! USA!」と拳を振り上げて応援に熱が入ります。
え? 「日本は?」ですか? いやぁ、日本人は柔道とか体操はカッコいいんだけど……。
体型的に、アメリカ人のフィジカルにはつい見惚れて、画面端っこの日本勢には目が行きにくいです、ゴメンなさい!
「こうして人間はメディアに洗脳されるのか」と納得。だけど、水泳女子400mメドレーリレー決勝は、日本も応援しましたよ。
大健闘でしたね〜!海外ひとり暮らしの身には、強豪ぞろいの檜舞台での5位はひときわ誇らしかったです。日本人、銀メダルで謝るなんて……。アメリカ選手にはそんな人いません。
ところでネトフリといえば、その創始者マーク・ランドルフさんがトークショーのゲストとして話された内容が面白かったので、シェア致します。1997年に創業し、1999年にFace Book(現Meta)のジェフ・ベゾスさんと買い取りの件で会ったときの話もあります。
今どきは、英語聴けなくても自動的に英語字幕が出るし。なんならそれをコピーしてAIにお願いすれば、すぐに日本語で要約だってしてくれちゃいます。
あんまり私の出る幕ではないんだけど……。起業家マインドとして「なるほど」と思った点だけお伝えしますね。
起業やフリーランス志望でなくても、「未知なる冒険」という意味では人生そのものが起業。
ホストの質問「創業した時に、Netflixが今のようになると思っていましたか?」への答えは、「まさか想像もしなかった。結果のものすごさに感嘆している」とのこと。
「ではどんな結果を予想していたのか?」に対しては、「そのイメージは、次々と試作や実践を繰り返しては、ユーザーの反応を見ながら徐々に造りあげていくもの」。
ランドルフさんは大学で起業志望の学生の指導もしているそう。そこでの例を挙げました。「自分のワードローブを人のと貸し合えば、より多くの服装を楽しめる」という、女子学生の起業アイディアの場合。
学生は「まずスタッフや資金を集めないと」と言いましたが、彼は「そうじゃない」と。まず紙と筆記用具を用意し、学生寮の各々の部屋のドアに「持ち服やバッグを私と共有したかったら連絡を」と書いたメモを貼って回ります。
翌日の反応を見て、次の手順を考えるというわけ。「貸し合いたいんだけど、大事な服を汚されたくない」という返事があったとしたら「じゃあクリーニングはどうする?」と、次の作戦に進みます。
たいていの人が犯す間違いは、「このアイディアで大丈夫か?」と悩みながら、資金集めに何年もかかってしまうことだとか。
なるほど。人生もそう。何をするにも、お金の算段をしたりぐるぐる考えているうちに、時間は過ぎてしまいます。
オリンピックを観ていて思いを馳せるのは、選手たちの人生。私の大学同級生の娘さんは、インターハイにも出場した体操選手。「次点で」オリンピック代表には手が届きませんでした。この舞台に来られるのは、とんでもないひと握り。
おそらくは才能がありすぎて、「どうしよう」と考える間もなくここまで走ってきたでしょう。アメリカ体操男子Frederick Richardさん(男子チーム唯一の黒人)は、ベビーベッドの中で倒立をしている写真が紹介されていました。
でも神童でないなら、「やりたいことがわからない」はありがち。ネトフリも、DVD郵送レンタルのコンセプトに行き着くまでには紆余曲折。”個人カスタマイズのシャンプー”など、相棒と様々な起業案を出し合って実験に明け暮れたそうです。
ヒットメーカー/音楽プロデューサーのリック・ルビンさんは、近著↓に書いています。
If you are open and stay tuned to what’s happening, the answers will be revealed. (起こることにオープンな姿勢で聴き入り続けていれば、答えはいずれ明かされる)
易しい単語と詩的な文章。私のバイブルです。クリエイター必見!
陸上100メートル金メダリストのノアくんが、勝利インタビューで力強く言っていました。「みんなに聞きたい。Why not you? Why not me?」(なんであなたじゃないの? なんでオレじゃないの?) 1000分の5秒差の判定を待って勝ちを決めた彼らしい言葉。
「なんで私じゃないの?」と自分に期待しながら、自分の金メダルを目指そうよ――と、ノアくんは言いたかったのではないでしょうか。
「まさか想像もしなかった」金色の未来に向かって、冒頭写真のピアノのように、我が胸に燃える火を抱きながら……。
(写真はピアニストSofiane Pamartさんと歌手Juliette Armanetさんによるパフォーマンス)