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学歴で年収が違うのですか?

前回は、教育費が「小学校~大学までの期間で2,000万円かかる」という話をしました(もちろん個人差や地域差はあるので、これは仮説試算ですが)。

「これって高いの安いの?」「もっとどーにかならないの?」といった話題に入る前に一つだけ、出身大学別の年収データを見ておきたいと思います。


このデータをベースにします

これは、著名な経済サイト「DIAMOND Online」に掲載されていた記事から拝借したものです。この読み方については、Webサイト「日本の学歴」に詳しい解説が出ています。

出典:OpenWork「働きがい研究所」(DIAMOND Online)


30年間の収入はどれだけ違うの?

ここで一手間入れて、上記のデータから30年間(最終年齢は52-53歳を想定)の収入を出してみました。

算式:  25歳時の年収 x 7年、30歳時~40歳時はそれぞれ x 5年、45歳時 x 8年

リターンは小学校~大学までの教育費を2,000万円とした場合

ご覧のとおり、就職して30年間働いて、その間の収入はざっくり東大卒で2億6,600万円(@886万円)、明治卒で1億9,200万円(@640万円)。30年間の差額は7,400万円(1.4倍)になります。

大学までの教育費を2,000万円とした場合のリターン(ROI)は、13.3 倍 vs. 9.6倍。単純に「収入ー教育費」で見ると、2億4,600万円 vs. 1億7,200万円。

同じお金を投資しても(東京で言えば、同じようにSAPIXに通って中高一貫で学んだ仲間でも)、実際にはこうした差が出てきます。

学歴の効用

高学歴は、給料のいい業界や企業に入るために有利なだけではありません。入社してからが、その本当の威力を発揮します。

財閥系や伝統のある大企業では、今でも特定の大学卒については、「仕事ができなくてもある程度までは偉くなる」という慣習が残っています。

また、丸の内に本社があるような大企業の場合は「一定(特定)学歴の中での実力評価で昇格・ポスト(=収入)が決まる」といった実態は、あながちウソでもありません。

OpenWorkのデータは「就職先を業界別(上位就職先)で見て、それぞれの賃金データを使って算出している」と思いますが、出世度合いを加味すると、高学歴の収入はOpenWorkのデータから大きく上振れます。

例えば、少し前のメガバンクは、確か下記のような昇給モデルになっていたかと思います。

順調に昇格した場合(当然、上に行くほど絞り込まれていきます)

これに60歳までの収入(出向・転籍先の給料)や退職金を加えると、生涯賃金ベースでは5億円の大台に乗ります(たぶん)。

出世度合いによって、このトラックをフォローできる人、遅れる人、いつまでたってもたどり着けない人に分かれていくので、同じ会社に入った人でも収入に大きな開きが出てきます。

この辺の話になると、歴史のある会社ほど学歴が効いてきます。学閥も学歴の異形として存在します。


「学歴で勝負しない」という選択

日本には大学が約800校あります。前項で見てきた大学はその上位層です。

どの程度の大学までこうしたデータがあるのかは分かりませんが、収入が期待できない先に多く就職する大学も少なくありません(特に地方)。そうしたケースでは、30年間の平均年収が500万円とした場合、30年収入は1億5,000万円、400万円で1億2,000万円。300万円だと9,000万円で1億円に届きません。

勤め人の年収は「給料のいい会社に入れるか」と「出世するか」で大体決まります。そこで学歴はかなり重要な要素であることは間違いありません。

上位の大学やキャリアを目指す子どもや家庭にとっては、教育費は投資です。一部の例外や当たり外れはあるにせよ、今の環境においては「お金をかけなければいい大学に入れない」というのは、大方間違いではありません。

他方、学歴競争に乗らない大学に進学するケースでは、同じように高い教育費をかける必要はあるのでしょうか。苦手な勉強に投下する時間と学習塾にかけるお金をセーブして、別の分野で努力し大きな対価を得ていく方法はないでしょうか。

コストで終わる2,000万円 vs. 投資につながる2,000万円

今回は「学歴のインパクト」を数字で見てみましたが、次回は「コストで終わる2,000万円」について考えてみます。

<プチまとめ>

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