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読書漫筆

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記事一覧

読書漫筆:吉田篤弘『なにごともなく、晴天。』

読書漫筆:吉田篤弘『なにごともなく、晴天。』

2024年も明けて1週間が経ちました。
遅ればせながら、今年もよろしくお願いいたします。

仕事始めの日、帰りしなに立ち寄った書店で吉野篤弘さんの『なにごともなく、晴天。』(中公文庫)を見つけて、そうだ、今年の1冊目はこれにしよう、と思った。

以前、同じく吉田篤弘さんの『それからはスープのことばかり考えて暮らした』を読んで、その作品に出てくる人たちの人柄の良さ、善性、彼らの過ごす淡々として穏やか

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読"食"漫筆2:2021年の読書記録

2021年を振り返って、なんとなく、食にまつわる本や漫画に縁があったような気がしている。

堀江敏幸さんと角田光代さんの『私的読食録』を読んで、そこで紹介されていた吉田篤弘さんの『それからはスープのことばかり考えて暮らした』を読んだというのは以前書いたけれど、それ以来、何気なく手にとった本が食にまつわるものだったり、主題としてではなくても食べること・食べ物・料理についての話が出てきたりしていた。

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隻手の声が聞こえたら:竹内康浩・朴舜起『謎ときサリンジャー』

隻手の声が聞こえたら:竹内康浩・朴舜起『謎ときサリンジャー』

 サリンジャーの小説について何か、単純な感想でも疑問でも、何かしら書いてみたいとずいぶん前から思っていた。

 この記事の最初の下書きを書き始めたのが実は2020年の5月、つまりもう1年半ほど前のことだったのだが、途中で迷子になって手が止まり、そのまますっかり忘れていた。
    それからまた今年の春先に『ナイン・ストーリー』を読み返し、この下書きを見返してそろそろ書き上げたほうがいい気がしたので

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噺の話:『落語心中』の読後感想

噺の話:『落語心中』の読後感想

 エー、本日はかようなところへお運びいただき、厚く御礼申しあげます。

 突然何が始まったかとお思いでしょうが、早く言やぁ、アタクシ最近ついうっかり落語にハマッちまいましたもんで、そのことをね、何、大した話じゃあございませんが、ちょいと喋りたくなったとこういう訳でして。そいでせっかく落語の話をするならそれらしい喋り方にしようと思いますと、こんな江戸弁もどきになっちまうわけで。どうもあちこちから叱ら

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読"食"漫筆:吉田篤弘「それからはスープのことばかり考えて暮らした」

読"食"漫筆:吉田篤弘「それからはスープのことばかり考えて暮らした」

 タイトルにひねりをきかせたように見えるがなんのことはない、堀江敏幸さんと角田光代さんの『私的読食録』の真似事である。

 というか正確に言うと、『私的読食録』を読んで、そこに出てくる本を単に自分で味わいたくなったのだ。

 吉田篤弘さんの『それからはスープのことばかり考えて暮らした』について書いてみる。
(以下、内容に関する記述を含む)

 堀江さんはこの本についての「読食録」の中で、ある人の家

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画家の魂:原田マハ『たゆたえども沈まず』

 国立国際美術館で開催されている「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」のいちばん最後の展示室で、その花と対面した。

 力強い筆致で重ねられた眩いばかりの黄色。背景にすっと引かれた青い線がその花をいっそう鮮やかに見せている気がする。ほとんど黄色一色の絵を見て、燃えているみたいだ、と思ったのはたぶんこれが初めてだ。
 フィンセント・ファン・ゴッホの「ひまわり」だった。

 美術や世界史の教科書でも何

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読書漫筆2:辻村深月『凍りのくじら』

【注意:本の内容に関する記述を含みます】

 ドラえもんの道具で何がほしいか、と聞かれたら、自分ならなんて答えるだろう。
 先月までならタイムマシンと答えたかもしれないが、金曜ロードショーの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズを観てそれはやめにした。未来のことを知ったところで、これから先の言動ひとつで、どこでどう変わるかわからないし、うっかり過去を変えてしまうのも困る。
 だとしたら、もしも

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読書漫筆

 最近読んだ本についての備忘録。

1 原田マハ『ジヴェルニーの食卓』『楽園のカンヴァス』

 『ジヴェルニーの食卓』は、マティスとピカソ。ドガ、セザンヌ、モネ。彼らの日常を、その隣で過ごす人々の目から描く作品。
 巨匠、天才と呼ばれるような画家たちの姿を見つめる人々の視線が決して卑屈でなく、画家とその作品への愛情や敬意、憧れに満ちたものであることによって、登場する画家たちの人物像がより鮮やかにい

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