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心揺さぶられた映画で振り返る2020年


先日、2020年に鑑賞したドラマの総括をしたので、本日は映画について語りたい。


今年は100本越えの映画を鑑賞した。
これほど映画を観た年が今まであっただろうか。

それもこれも「巣篭もり生活」という特異な状況がもたらした結果。この生活を乗り切れたのはひとえに映画とドラマのおかげである。
たくさんの愛すべき作品群に助けられた一年だったと心から思う。

そんな2020年も残りわずか。
総括として、今年鑑賞した映画で気に入った作品、または強く印象に残った作品を記録しておきたい。


*以降、紹介するすべての過去記事はネタバレ含みます。これからこれらの映画をご覧になる予定のある方はご注意ください。



1.劇場鑑賞ベスト3+α

そもそも今年劇場で観た映画はたったの7作品。
9月まで全く映画館に足を運ばなかったのだから仕方がない。
とにかく、新作を鑑賞する機会が少なすぎた特殊な一年だった。

さて、この貴重な7作品の中で一番心揺さぶられたのが「82年生まれ、キム・ジヨン」

韓国でベストセラーになった同名小説が原作のこの映画、公開前からとても楽しみにしていた。

コン・ユ目当てなところも多分にあったけど、実際のところ心に強く残ったのは、チョン・ユミ演じるジヨンが感じているであろう息苦しさだった。

韓国の話だけど日本でも共感を呼ぶエピソードが多数盛り込まれており、作品を観ながら涙、涙。
日頃は意識しないようにしていた「当たり前じゃないけど当たり前に受け止めているあれこれ」に自分が傷ついていたことに気づいたからの涙だったのかな。




写真がライフワークの私としては絶対劇場で観たかったのが「浅田家!」

記録としての写真、記憶としての写真、いずれにしても写真が映し出すのは被写体との関係性。
そんなこと考えながら観た映画。

鑑賞後、誰もが優しい気持ちになる「浅田家!」。私にとっては「自分と写真との距離」について改めて考える良き機会となった。

そのことについて綴ったのがこちらの記事。



ここで+α。
今年の新作&劇場で鑑賞した映画ではないけれど、番外編をひとつご紹介しておきたい。
それは「浅田家!」つながりで、同映画の監督(中野量太)の作品「長いお別れ」

実は先週末にAmzon Primeで鑑賞したばかり。

これがまた心に染み入る良い映画で「浅田家!」と同様、緩やかな展開の中に人間の愛おしさが詰め込まれた作品だった。
思わず温かい涙が流れる類の映画。



次にご紹介するのは「ミッドナイトスワン 」
本編の15分以上を予告編として公開するという斬新な手法が話題を呼んだ。(それがこちら↓)


実際のところ、この予告編を観て劇場に行くことを決めた私。

たぶん、私のような人は少なくないはず。
映画の世界観とクオリティ的なものが事前にわかるので、安心して作品を観に行ける。同じ理由で期待値にブレがなく、鑑賞後の評価も悪くなりずらいという制作側の利点もある。いずれにせよ、この新しいスタイルの予告編が目指すところはそういうことなのだと思う。


それにしても草彅剛という役者はすごい。
演技派だと思ってはいたけど、この映画で彼がチャレンジしたトランスジェンダーの役はすごかった。今までとはまた別の凄みを見せつけられた感じ。

ともあれ、マイノリティとして生きることの意味と苦悩について考えさせられると同時に、生きていく上で「希望」がいかに大切なものであるかをしみじみと。

ちなみに、この「ミッドナイトスワン 」が今年一番読んでいただけた映画レビュー記事。



2.動画配信サービスで今年初観の作品たち

今年の映画生活は動画配信サービスの活躍なしには語れない。

NetflixやAmazon Primeで配信されていないドラマや映画が観たくて、また、30日間無料キャンペーンに惹かれてU-NEXTにも手を出した。

そこで迷わず購入したのが「マチネの終わりに」。(当時は見放題作品ではなかった)

福山雅治&石田ゆり子のダブル主演というだけで期待感が上昇するが、それに応えるしっとりとした大人の恋愛映画だった。

歳を経るごとに失っていくものについて思いを馳せつつ、この映画のテーマでもある「過去は変えられる」という、変わった角度から眺める「希望」について考える時間は贅沢だった。

美しいギターの音色がいつまでも耳に残る優しい作品。
(本日現在でAmazon Primeでも配信されています)



さて、巣篭もり生活で一番辛いのは旅行に行けないこと。

が、嘆いていてもしょうがない。
今年の旅は映画やドラマの世界の中でと割り切り、あらゆるタイプの映画を鑑賞した。

その中で最もアクティブな「旅(映画)」だったのが「LIFE!」

雑誌「LIFE」の写真ネガ管理者ウォルターは引っ込み事案で生真面目な性格。彼の楽しみは「もし〜だったら…」と妄想の世界で過ごす時間。そんな彼がLIFE紙の表紙を飾るはずの「ネガフィルム」を探すため、妄想の世界を捨て旅に出る。

彼の人生が激変していく様子が描かれるこの作品、観了感はとても爽やか。
そして前向きな気持ちになれる。

ところで、ウォルターは旅を通して人生を変えていくけれど、つまるところ、人生自体が「旅」そのもの。
だとするならば、新しい挑戦をし、見たい景色に出会える旅がしたい。

そしてそんな旅をできるかどうかは自分次第。
そう心から思える映画でもあった。



さて、このnoteを始めたのは在宅生活が本格化した3月の終わり。
年初の目標に「今年はnoteをコンスタントに書く!」と決めたものの、スタートが延び延びになっていた。

が、COVID19による巣篭もり生活をきっかけに、ようやく始めることが出来た「映像に関係するアレコレを綴るnote」(つまりはこのnote)。

そして、記念すべき最初の映画レビューが「ミス・アメリカーナ」

Netflixは良きドキュメンタリー作品が豊富だけど、この作品もその一つ。
有名シンガーとしてのテイラー・スウィフトではなく、生身の人間としての彼女を垣間見ることができる作品。

求められる自分ではなく、自分が自分であるためにどうすればよいのか、試行錯誤を繰り返す彼女の生き方に共感する。



3.韓国ドラマから韓国映画の世界へ

今年は間違いなく韓国ドラマYearだった。

その影響で韓国映画も相当な本数を鑑賞した。実に今年観た映画の約3分の1以上が韓国映画というハマりっぷり。

で、あらゆる種類の韓国映画を観たけれど、心に深く残ったのは恋愛映画群。


その中でもダントツに美しいと思った作品が「男と女」だ。
韓国ドラマ「トッケビ」を観るきっかけになったのは、この映画でコン・ユの魅力にときめいたから。

既婚者同士の恋を描いたこの作品、冬の北欧の風景が本当に美しく、映画の雰囲気にマッチしていた。
その雰囲気を堪能しつつ、叶わぬ恋だからこその切なさと哀しみに思いを馳せ、どっぷりと映画の世界観に浸った。


さて、この作品を観てつくづく思ったのは、人生にはどうにもならないことがあるということ。

しかし、それでも人は選択をしなければならない。
そして、その選択で失ったものと得たものが人生を形作る。

この映画を観てそんなことを考えた。

「男と女」の感想と、そのことについて考察した記事がこちら。




「愛の不時着」沼にハマって以来、リ・ジョンヒョクを演じたヒョンビンの作品を観倒した。ドラマのみならずもちろん映画も。
Netflix 、AmazonPrime、 U-NEXTで鑑賞できる作品(その当時)は全て観たはず。

それらの作品の中で最もお気に入りなのが「レイトオータム」
こちらも「男と女」と同じく静かな大人の恋愛映画だ。

心に傷を負った女と、その女につきまとう男。
寂しさを埋めるのが恋ではないけれど、寂しさが恋のきっかけになることはある。

韓国の古典映画のリメイクであるこの作品、若き日のヒョンビンも素敵だし、相手役の香港女優タン・ウェイの演技も素晴らしかった。



期待値と大きく乖離して心揺さぶられたのが「ビューティー・インサイド」
「眠りから覚める度に外見が変わる」という設定に、「これは韓国ドラマにありがちな、非現実世界ラブコメにちがいない」と思いきや、全くそうではなかった。

とても丁寧に、また真剣にこの非現実的な設定を描いており、繊細かつ静かな純愛映画だった。また、人が人を想う時大切なことは何なのか(外見か内面か)を問う作品でもあり、ある意味哲学的。

もちろん、人間の外見と内面は切り離せるものではないので、そのどちらかが尊いというような話にはならないのだけど、そのことについて映画の感想を交えながら考察したのがこちらの記事。



それにしても、紹介しきれない程、今年も良い作品にはたくさん出会った。

たとえば、2020年の新作として高評価を得ている「ストーリー・オブ・マイライフ」。この映画でジョーを演じたシアーシャ・ローナンつながりで観た「レディ・バード」もかなり好き。
韓国映画では「はちどり」「1987ある闘いの真実」、アカデミー賞受賞作の「パラサイト」など。
日本映画では「蝶の眠り」「ラストレター」「半世界」あたり。
欧州ではイザベル・ユベール目当てで観たフランス映画「アスファルト」、イギリス映画ではシャーロット・ランブリング主演の「さざなみ」が心に刺さり。

と、挙げればキリがない。


ところで、映画というのは鑑賞するタイミングによって感じ方が違うもの。
名作はいつ観ても名作なのだろうけれど、「心揺さぶられる」かどうかは、鑑賞者がそれまでどんな人生を送ってきたかという根源的な部分だけでなく、その時々の気分に影響を受けると思っている。

たとえ地味な作品であっても、鑑賞時の気分や共感ポイントにすっぽりハマればそれは忘れ難い作品になる。

2020年に私の心を揺さぶった映画はまさにそんな感じ。
地味だけど私にとって深く刺さった作品が多かったという印象だ。



ともあれ、心揺さぶられ、泣いて、笑って、癒されて。
映画は私の人生には欠かせない。



2020年の映画生活も残すところあと数日。
クリスマスイブの今日は「フジコ・ヘミングの時間」(ドキュメンタリー映画)と「愛してると言っておくね」(ショートムービー:アニメ)をNetflixで鑑賞。
どちらも心に染み入る作品だった。

大晦日の31日まで、2020年の映画時間を楽しむべし!



*2020年ドラマの振り返り記事はこちら



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