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「言葉が人を育てる」ということ

人は生まれながらにして
「いろんなものを吸収して成長しよう」という
習性を持ち合わせています

基本的に「悪くなろう」とか「衰退しよう」とは
思わない生き物なんです

「ほっといても子は育つ」みたいなことも言いますけど
どんな小さな子でも、子どもが自ら成長しようとする力はものすごくて
だからこそ肉体的な成長があるとも言えます

私はそれを象徴的に「自分育ち」と呼んでいます

でも大人にももちろんその力はあって
意識すれば大人でも「まだまだ育ち盛り」な人もいますね

人間には感情があり、言葉を使います
その言葉を使って相手に「伝える」ということができます

子どもは大人に対して言葉で思いをうまく伝えられない時期があります
でもそれは中身の成長が止まっているわけではもちろんなくて
体の成長のあとに言葉がついてくるという感じ

生まれて成長する過程で
多くの場合は、一番たくさん接する大人はお父さんとお母さんです

そこでいろんな言葉をかけられて子どもは成長していきます
だから親の言葉が大きく影響するのは当然ですね
「自分育ち」の力にも、もちろん影響します

子どもの方は、自分が親の影響を受けているという認識は
あまりないと思うんです

でも「子を持ってはじめてわかる親のありがたさ」なんてよく言いますよね
そういうことって誰しもあると思うのですが
これこそがまさに親に影響を受けているということであり
「自分育ち」してきたという証でもあります

親という立場になってはじめて
子どもの頃にかけられた言葉の意味がわかる

子どもの頃は「はいはい」って受け流していた言葉だったとしても
100%以上に親からは影響を受けていると思うんです

でも、成長過程では
親からの言葉は素直に受け入れられないときもありますよね
自分の思っていることと違うことを言われるとか
自分がやりたいことを止められるとか
近いがゆえにちょっと親は煙たい存在だったりもするものです

しかし子どものときはそう感じていたのに
いざ自分が親の立場になると
同じように子どもに対して「そんなことしちゃダメ」なんて
言ってしまうこともあるかもしれません

「こうしたい」という欲求が生まれてきているのに
それを否定されるとか
自分の希望しない方向に引っ張られるとか
そんなことが積み重なると子どもは次からそれをしなくなります

子どもってとっても素直で
基本的には親に喜んでほしいと思って生きているから

でもそれは親からするととんでもないことのように見えても
その子なりのとても優れた発想から
やっていることかもしれないですよね

そんな経験を通じて大人になって
親の言葉を思い出しながら
「なるほど、こういうことか」と
わかることが少しずつ増えてくると思うんですよ

子どもの頃には反発していたけど
成長しながらその言葉の意味を考え続けて
自分の解釈は違っていたかもと思うこともあったり
そしてまた考えて、ということを繰り返す

親の言葉を理解するにはそれなりの時間がかかることもあります
でもそれは自分自身が大人になるにつれて
よりその重みを増し、深くなっていくんです

その間に自分というものが築かれていくんですよね


それがまさに「その言葉によって自分育ちした」ということだと思うのです

親の言葉も、何度も繰り返し言われていたことじゃなくても
あるとき、ふと口にした一言が
あとあとずっと残っていくということもあります
感情にまかせて怒りのままに怒鳴ったことなんかは
傷つくこともあるかもしれないけど
そんなことも、じっくりじんわりと残り続けます

子どもとコミュニケーションとる時間が少ないという
お父さん、お母さんもおられるかもしれませんが
時間の多さは関係ないと思うんですよ

ただペラペラと喋り続けることだけがコミュニケーションじゃない

お互いを思いやるとか
わからないことをわからないままにしないとか
そういうアプローチが必要だと思います

その思いやりのきっかけになるのが言葉なんですよね
その言葉はさらっと流されるかもしれないけど
深く心に刻まれるものもあるかもしれない

だから、言葉を大切に
生まれてきた自分の命に感謝して

子を愛さない親はいないし
親の言葉をまったく受け入れない子もいない

それがあるから「自分育ち」ができるんですよ

2021.4.26
下向峰子

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