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あなたらしいままで。SES=”究極の個性派集団”というお話

SESはイヤだ!というエンジニアには「自分を安売りしたくない!」と考える方がそこそこいらっしゃると考えています。あなたはどうでしょうか?

冒頭から「どうでしょうかって言われても…」なことを言い出しましたが、このnoteでは【今、SESではたらいている方】【SES企業への就職・転職を考えている方】などに、今後のキャリアを考える一助になればと思って書いています。
あくまで個人の考えですから「そういう考え方もあるか」くらいに読んでいただけたら幸いです。

さて、あなたは【共感採用(カルチャーフィット)】という言葉はご存知でしょうか?
ざっくり言えば

【企業と求人応募者が共感することで採用を決定する採用方法】

です。
「何に共感するか?」といえば、ビジョンやカルチャー等、お金や福利厚生といった【企業からもらうもの】ではなく、【企業が目指すもの】や【働き方】といった信念に根付くものです。

カルチャーフィットを意識している企業は、カジュアル面談などを通して本音トークを行います。また、CXを確立し、応募者の選考前から入社後までのジャーニー(プロセス、ロードマップ)を用意し、エンゲージメントを高め、早期離職を防止するための施策を作っています。

早期離職は企業(特に中小ベンチャー)にとって大きな痛手となります。
例えばセールスやカスタマーサクセスといった、顧客と密接な関係を作るポジションでは、顧客と担当者の信頼関係が契約の鍵を握るケースがあります。「○○さんが担当だったから契約したのに」「○○さんが気に入ったからサービスを使っているのに」といったことが起きると、ビジネスチャンスを失いかねません。

離職率が高い企業においては、こういったリスク回避のため、頻繁にローテーションを行い、コロコロ担当を変える企業もありますが、社名・サービスによほどのバリューがある企業にしかできない芸当です。

以上のような理由から、優秀な人に長く勤めていただくためにも、中小企業・ベンチャー企業は、応募者と【共感できるか】を事前に確認し、【事実上の厳選採用】をすることが必要となっています。

SES企業にカルチャーフィットは必要か?

ところが、カルチャーフィットがあまり重要でない中小企業・ベンチャーもあります。
それがSESをメインビジネスとする企業です。

改めて、カルチャーフィットとは何を指すのか?を有識者の言葉を引用して定義します。
「カルチャーフィット」でググるとトップに出てきたのは、TwitterやFacebookでもおなじみ、KeyPrayersの高野さんのブログが出てきました。こちらのブログから引用させていただきます。

企業文化と個人の価値観のマッチ

ということです。ではもう少し掘り下げましょう。「企業文化」は何を指すのでしょうか。こちらも引用させていただきます。

「企業文化」と一口に言っても幅広く、細分化すると、理念や行動指針だけでなく、日々の業務の優先順位の付け方、コミュニケーション方法などがあります。

さて、こちらの引用からキーワードを拾うと、「理念や行動指針」「業務の優先順位のつけ方、コミュニケーション方法」の2種に分類できます。

①理念や行動指針

理念(経営理念、企業理念)は、企業のミッション・バリューに置き換えることもできます。
つまり、その企業の使命・存在価値と、価値基準・価値観です。

行動指針は、そのミッション・バリューを成立させるための指針といえるでしょう。
簡単にいえば、「顧客をめっちゃ大事にする」という理念(ミッション)に対し、「誠意をもって対応する」「納期厳守」などが行動指針といえます。

また、細かい話をすれば、フルリモートなのか、フレックスなのか、9時出社・18時退勤を厳守するのか、といった働き方や、人事評価の基準などのルールも経営理念や行動指針の影響を受けるといえるでしょう。

②業務の優先順位のつけ方、コミュニケーション方法

優先順位とは、提供するサービスに対し「対価を優先する」か「対価は低く抑えて長期間のお付き合いを優先する」とか、「安定したメインサービスに注力する」か「新規事業に注力する」か、それぞれ天秤にかけてどちらを優先するか?みたいな感じです。

コミュニケーション方法とは、「毎朝必ず朝礼を行う。朝礼の場で前日を振り返り、当日のタスクを全員に共有する」とか、「期日さえ守ってタスクを完了してくれればOK」とか。

最近では、「discordで常に話しかけられる状況で仕事をする」とか「定例ミーティングをZoomで行う」とか「コミュニケーションはSlackのみ、必要に応じて電話をかける」等です。

さて、SESエンジニアの方、いかがでしょうか。
今の企業に入社して、【企業理念】を意識したことはどれだけありますか?
自社の【業務の優先順位のつけ方】【コミュニケーション方法】は日頃、どれだけ自分の仕事に影響していますか?
※SES未経験の方はご想像ください

ぶっちゃけ、全然関係なくないですか?

毎日お客さんのオフィスに出勤し、お客さんのルールのもとで仕事をしているSESエンジニアにとって、【企業理念】や【業務の優先順位のつけ方】【コミュニケーション方法】はぶっちゃけどうでもよくないですか?

企業側が定める企業理念は「エンジニア個人が当たり前に実現したいこと」をうたっていたり、「社会人として、当然だよね」ってことをうたっていたり、「社長本人が忘れてるでしょ?」といった遠大な構想が語られていたりするので、企業理念・行動規範をガチガチにエンジニアに求めるSES企業は滅多にないと思われます。

自分勝手な目的でジョインできる企業がSES

先日、私はこのようなツイートをつぶやきました。

漫画【ワンピース】に登場する主人公・ルフィとその仲間たちは、それぞれ異なる目標を持ちながら、共に旅をしています。
仲間たちは、主人公・ルフィが、彼の夢である『海賊王になる』事を疑いません。しかし、『ルフィを海賊王にするために』旅をしているわけでもありません。
ルフィの、海賊王になるための旅に同行することが、それぞれの夢を叶える道につながるため、仲間となっています。いわば、ルフィの人格を信頼し、同行しているのです。

SES企業はこれに似ていると呟きました。
一点だけ違います。ルフィの仲間たちは「ルフィが海賊王になることを疑っていない」のですが、SES企業は社長がミッションを果たせるかどうかに興味がありません。

◆スキルを身につけるため
◆待遇が良さそう
◆いろいろなお客さんの仕事をやってみたい
◆友人に誘われて
◆今の会社よりはマシ

SES企業に就職・転職してくる方の志望動機は、だいたいこんな理由が多いです。「経営理念に共感して!」って言ってくる応募者さん、その理由は信じていません。本気で言っているならば、SES企業のミッションは信じない方が良いです!

うっかりネガティブなことを言ってしまいましたが、お伝えしたいことは「自分勝手な目的のためにジョインしやすい」企業がSES企業である、ということです。

なので、就職活動や転職活動において、SES企業に応募するならば、経営理念やミッションに共感する必要はありません。無視してください。ただし、「当たり前のこと」にだけは共感してください。繰り返しますが、「誠実な行動」とか「納期厳守」とか「社員の幸せのために」とか、そういうものは常日頃から共感できることだと思います。

SES企業側は採用時に何を見ている?

「じゃあ選考で何を見て判断してるんだよ!?」
そう思いますよね。順を追って答えます。

まず、SES企業だってCXを考えるところは考えます。有象無象がひしめくSES業界において、自社に応募してくれた方は希少な存在です。まさに「応募してくれてありがとう」です。もし、このスタンスが見えず「選考してやってる」って企業があれば、辞退した方が良いと思います。多分ブラックです。

ただ、SES企業はビジネスモデルの都合上、アサインできる人が多ければ多いほど儲かる仕組みになっています。

私が新卒で入社したSES企業は、全国展開・1000人規模の企業でした。新卒は大量採用され、3年以内に半分以上が退職する企業でした。それでも収益はプラスになるビジネスモデルなのです。

①新卒の場合

私が新卒で入社した会社を例にすると、「ぶっちゃけ、採用基準なんてあるの?」って感じでした。

私が新卒で入社した会社は、なんだかんだで大きな企業だったので、内定者懇親会とか内定式とかをちゃんとやる企業でした。

私は横浜支社の所属でしたが、東京本社・横浜支社の同期と、内定をもらったけど入社しなかった人たち、含めて30~40人ほどの内定者と会いましたが、理系・文系・陽キャ・陰キャ・美男美女・その逆等、多様に渡っており、今思い出しても基準が見えません。応募者全員内定だったんじゃないか?って思うほどです。

一方、社員数30名ほどの弊社では、
【人柄】お客様のもとで失礼なく働けるか・折衝するイメージができるか
【向上心】技術習得に抵抗がないか・独習できるか
【原体験】何故この仕事をしたいと思ったか
【プランニング】なりたい姿がイメージできているか
などを見ています。30名の企業で10名採用するわけにはいかず、年間で2~3名の枠しかないため、おこがましくも厳選させていただいております。

おそらく、他社様もそれほど弊社と変わらない観点で見ていると思います。もう私が新卒で入った企業の事は忘れてください。

②転職者の場合

ペルソナとのマッチングは無視できませんが【スキル・経験】【職務経歴】は間違いなくみられるポイントです。

SES企業は、採用にあたりアサイン先をイメージしているところが多いと思います。入社後、アサイン先が決まらず何か月も待機になった・・・となれば「何のために採用したの?」ってことになってしまいます。

SES企業が中途採用を取る理由は、
◆退職者の交代要員
◆既存アサイン先の拡大メンバー
◆新規アサイン先の先兵
がほとんどだと思います。

そのため、求めるスキルや経験がある程度決まっています。
よって、【スキル・経験】は見ざるを得ません。

一方、未経験のエンジニアを積極採用しているSES企業も存在します。
こういった企業は、
◆教育体制がしっかりしている
◆未経験エンジニアを受け入れてくれる常駐先を持っている
の2点が備わっていると考えられます。顧客との信頼関係が厚い・あるいは営業力が強い企業ですので、SES業界の中でもオススメできます。

また、お客様の会社で働いてもらうため、失礼があってはいけません。よって、面接において人格や清潔感も見られると思われます。
※「見られますよ!」と断言したいところですが、人格・清潔感などの観点から「一緒に働きたくない!」人をアサインしてくるSES企業も存在するので、全てのSES企業がこの観点で採用を行っているとは言い切れません…

また、1年未満(あるいは半年未満)で何社も転職を続けている人も嫌がられます。アサインしてすぐ辞められては、会社の信頼に傷がつくからです。

最後に

冒頭、私はあなたに「自分を安売りしたくない!」と思っていませんか?と聞きました。
SES企業はマージンビジネスであり、「自分が働いた稼ぎを搾取されている」と感じる方もいるでしょう。
「企業に利用されている」「企業の歯車なんだ」と感じているかもしれません。

そのような方は発想を逆転させてほしいと思います。
つまり、
「自分の目的のために会社を利用しているんだ」
「会社が自分のキャリアを形成するための歯車なんだ」
と。

見かたによっては、SES企業はエンジニアを利用しているように見えるかもしれません。
ですが、カルチャーに共感する必要がなく、自分のスキル習得などのために入社できるSES企業は、あなたに利用される存在でもあるのです。

SES企業とエンジニアはWin-Winの関係であり、対等な立場にあるということを意識して、今いちど、SESで働く目的を考えてみていただけたらと思います。


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