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自称カウンセラーのメンタルヘルスはやめた方がいいという話

初めましての方は初めまして。いつも見に来てくださっている方,お世話になっております。スプーン界のスクランブル交差点,占い屋はると申します。

心理学という分野への知名度が上がった影響か,それとも厚労省により大手企業にはメンタルヘルスに関する対策が必須となった影響か,自称カウンセラー,心理士・セラピストが増えました。

なおここでいう自称カウンセラー・心理士・セラピストとは公認心理師,臨床心理士,もしくは医師免許以外の資格を指しております。

基本的に自分は上記以外の資格は意味がないものであり,そんな人がカウンセリングやセラピー行為をすることはとても危険で無責任で迷惑なものだと考えています(じゃあ占いもどうなのよって話ですが……)。

自粛疲れ,学校でのいじめ,親からの理解のなさによってメンタルヘルスを必要とする方は多くいるにも関わらず,適切な医療機関,医療従事者にたどり着くことはできません。

それに対して配信アプリやnote,youtube,ココナラなどを見ればそれこそ腐る程自称カウンセラーが存在します。

だからこそ気軽にメンタルヘルスに触れることが容易になり,それ自体はいい側面でもあるのですが……。

そういった自称カウンセラーの多くはカウンセリングのトレーニングや臨床心理学の知識を持っていません。
座学としてカウンセリングのトレーニングをやっている資格もありますが,公認心理師には実習時間が450時間求められ,大学院までの修了が必須となることを考えるとその差は歴然ではないでしょうか?


カウンセリングとは何か

カウンセリングとは時間を定めた上で,定期的にやるものです。よほどのことがない限り日程の変更や予め定められた時間を超えることはありません。

またカウンセラーは基本的にクライアントに同情することが主目的ではありません。クライアントの話に耳を傾け共感や肯定を含む傾聴こそがカウンセラーに求められるものです。
そしてその人の本質的な問題に対してどのような方法で解決していくかについてお手伝いをすることです。

あくまでも解決するのは本人の自助努力であり,カウンセラーはそういった悩みに対して適切な共感,介入しかしません。

自称カウンセラーの恐ろしいところ

病気や発達障害であることを診断していいのは,誰でしょうか?

1,医師
2,看護師,
3,臨床心理士や公認心理師
4,薬剤師
5,自称カウンセラー

正解は1!
5は明らかに違うだろ!と思った方,正解です。そして意外にも国家資格である看護師や公認心理師でも病気及び発達障害であることを診断することはできません。

勝手な診断をすることによって起きうる弊害とは?

例えば自称カウンセラーがあなたはうつ病の疑いがあるから,双極性障害かもしれないから,そんな症状は解離性同一性障害だと思うよと言ってしまうと何がおこるのでしょうか?

A,その人に余計なバイアスが入ります。

例えばうつ病かもよと言われてしまえばおそらくその人はうつ病について調べるでしょう。
それは決して悪いことではないし,病気への理解を深めることも必要だと考えています。

しかし,そういった病名を勝手に伝えられることによってその症状に合わせて行動を変容させてしまう人も存在します。だからこそ病気の診断をしていいのは医師のみで,医師には重大な責任が伴います(医師にも当たり外れというか相性があるのはまた事実ですが)。

また、医学生であっても無資格者に変わりはないので、絶対に診断をしてはいけません。spoonでも医学を学んでいる人を偶に見かけますが、そういった方々であってもやはり病気の診断は禁忌なのです。

だからこそあなたが医師免許を持っていないならば,そういった方の相談を受けた際に診断することはできないし,断言してはいけません。

できることは適切な医療機関へすぐにでも行くようにおすすめすること。それだけです。

自分も配信中に相談を受けることがありますが,それは病院へ行くことをお勧めすることはあっても病名を伝えることは絶対にありません。

資格を持っていない人に起こり得る大きな勘違い

公認心理師や臨床心理士を目指している人はその教育課程で叩き込まれますが,「相手の問題を私がなんとかしてあげなくてはいけない」,「自分さえ頑張ればこの人の問題をなんとかしてあげられるのではないか」(鈴木,2020)という大きな2つの勘違いを持ち合わせています。

相手と自分という境界線を分けることでできていないということです。あくまでもカウンセラーはカウンセラーとしての役割でクライアントに接することが必要であり,それを越境することは認められません。

もしその越境を認めてしまえば共依存関係になってしまい共倒れになるどころか,クライアントにさらなる負担を強いることになってしまいます。

別に自称カウンセラーは自分の意思でそういった行為を行なっている以上,自己責任と言えますが,クライアントからしたらたまったもんじゃありません。

そもそも適切な知識・アプローチを持っていない

メンタルヘルスに関して知識とは何を習得したらゴールというものは存在しません(どの分野でもそうですが)。例えば来談者中心療法について学んだ!これを覚えた!じゃあ私はカウンセリングができる!

いや待ってくれそうじゃないでしょうとなりませんか?

結果的に来談者中心療法によるアプローチが正しかったとしても,数ある選択肢からそのアプローチを選び選択した場合と,そのアプローチしか知らないからその選択を選んだのか,そこには天と地ほどの差があります。

臨床心理士や公認心理師を目指される方は最低でも鈍器と呼ばれるヒルガードの心理学も読んでいますしね。

結論

クライアント側は自称カウンセラーに相談するのは正直お勧めしないし,見分けがつかないのであれば最初は精神科や心療内科に行くことをおすすめします。

逆に自称カウンセラーは精神科や心療内科に行くことをおすすめすること。それしかできません。

中にはしっかりとした知識や経験を持って適切なカウンセリングを行なっている無資格者もいるということもまた事実です。
でもそんな人はほんの一握りの話でその人を見つけることは宝くじを当てるのと同じくらい難しいことでしょう。
ならまずは病院に行くしかありません。

こぼれ話

なぜ自称カウンセラーがそんなにたくさん,そしてよくわからない心理資格があるのか?

公認心理師は2018年より施行された国家資格ですが,その実態は「名称独占資格」。他の資格が心理師を名乗ることはできなくなりましたが,弁護士や医師免許と違い「業務独占資格」ではありません。そのためお金儲けのために企業や学会がいろんな民間資格を作ってしまっているという実態。

なお業務独占資格にしてしまうと臨床心理士も消えてしまうことになるのでその辺の兼ね合いもあったのかもしれません(臨床心理士をそのまま国家資格にする話も当初はあったらしいけれど)。

そんなわけで資格学校とかで謎の民間のメンタルヘルス関係の資格が取れちゃいます!

ちなみに自分も催眠関係の資格を持ってはいますが一度も使用したことがありません(おい

引用文献

鈴木 裕介.(2020).メンタル・クエスト 心のHPが0になりそうな自分をラクにする本 .大和出版

謝辞

この記事を書くにあたって公認心理師兼臨床心理士のどんぐり樣にカウンセリング部分に関してアドバイスをいただきました。


病気に関する診断に関して元医学生で現在はイギリスにおいてAIによるCBTに関する研究をされているlatelatte樣にアドバイスをいただきました。


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