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【読書記録】騙し絵の牙/塩田武士

先日、映画を見たばかりでどうかなーと思っていたが…

読み始めてびっくり。映画と全然内容が違う。
映画は映画で完全オリジナル脚本でいったという事か。
それもすごい。
映画の脚本も面白かったが、もちろん原作も面白かった。
出版社✖️大泉洋は共通。
あとは全く違う展開。
つまり、大泉洋が二度楽しめる。
大泉洋好きにはたまらない。
大泉洋扮する速水という人柄は大まかには似ているが、
それは似て非なるもの。
よく原作とはラストだけ違う、みたいな映画はあるが、
こちらはもはやパラレルワールド。
映画では食えない編集長速水だったが、
こちらでも食えない役所は似ているものの、
そこは小説、もっと人間味のある仕上がりと、
編集という仕事に対する苦悩などが描かれている。
大泉洋に当てがきしただけあって、
どのセリフも大泉洋が喋っているとしか思えない仕上がり。
軽妙な語り口も全て頭の中に響いてくる。
ストーリー展開も面白ければ、
キャラクターもそれぞれイキイキと動いていて、
実に引き込まれた。
大泉洋、めちゃくちゃ愛されてますなあ。

大泉洋にあて書きするところがいい。
男前な感じで動けるんだけれど、
2枚目な感じもあって、
すごーく人間らしいのだ。
映画の方は「騙し合い」に焦点を当てた印象。
二転三転する突拍子もないあの手この手の戦略。
原作の方は、もっと現実的な出版業界での生き残りを
かけた駆け引き。
本は好きだけれど、ついつい自分の懐具合を先に気にしてしまう自分を
反省。
何回かに一回でも本屋さんで購入して、出版業界…というか、
小説という文化を守っていかなきゃいけないなあと猛烈に反省。
それとも業界の形態自体が変わっていく方が先なのかしら。
業界の先行きについての見解はよくわからないけれど、
ふむふむ、なるほど、と思える内容だった。

大泉洋も好きだけれど、すっかり
塩田武士さんも好きになった私。



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