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【読書記録】きたきた捕物帖

宮部みゆきさんの時代物が好きだ。
元々、母親が宮部みゆきの時代物が好きで、母の本棚から拝借して
私も読むようになった。
本当は、司馬遼太郎とか池波正太郎とか読んでるってカッコよくない?なんていう
思いがあるのだが、なかなか読めずにいる。
宮部みゆきさんの時代物は完全なるフィクションで、
江戸の町に住む人たちの様子がイキイキと描かれている。
そう、読みやすい。
お武家さんも出てくるが、
町人、商人、下町の人、市井に住む人が主人公の場合が多い。
そして、しばしば、ホラーやファンタジーが混ざってくる。

「きたきた捕物帖」は「桜ほうさら」で舞台となった富勘長屋がまた舞台となっている。「桜ほうさら」、細かいところまでは忘れてしまったが、差配人の富勘さんは覚えている。
義理人情に厚く、手練れな差配人。
主人公はまだ16歳の岡っ引き見習いの文庫売り。

文庫というのは、本に限らず、大切なものを入れておいたりする箱のこと。
なんとなく想像はついたけれど、それが庶民のものとして
身近にあったんだなあという、その江戸時代の生活を知ることができることが
また楽しい。
上にあるサイトは「文庫」と調べて出てきたものだけれど、
こちらは文庫を作っておられるわけではないよう。
今や「骨董品」として出回る文庫は、螺鈿細工などを施したもの。
この「きたきた捕物帖」で出てくるのは庶民のもの。
紙を切り貼りしたり、絵を描いたもののようだ。

骨董品には興味もなく造詣もちっとも深くないのだけれど、
大切なものを入れておく箱。手紙などを入れておく箱。
季節ごとに適した絵柄をあしらった小箱…なんだか風流。
江戸時代って、やはり「粋」だなあと思う。

ストーリー展開ももちろん面白いのが宮部さんだが、
こういう庶民の生活をイキイキと描いているところが
読んでいて大変楽しい。
シリーズとして展開している「三島屋変調百物語」でも
袋もの屋が舞台になっていて、
また、季節ごとの行事も描かれていて
華やかで読んでいて楽しいのだ。

200年続いた江戸時代。
平和の中だからこそ生まれる事件や市井の人々の生活の物語。
日本では時代劇のドラマが少なくなったけれど、
韓国ドラマの時代劇を見ていても
やはり目を惹くものがあるなあと思う。
今とは違う、鮮やかさ。
けれど、今に通じる感覚。

だから、宮部さんの時代物が好きだ。

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