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雪の詩


「雪の詩」

私が住んでいる街よりもきっとはやく、この街は眠りにつく。太陽が沈む直前の、一日でいちばん美しい光が、ほんの少しのあいだ、夜の街を灯している。なんにも伝わらなくていいなら、見ず知らずの人との会話は、頭上から降ってくるひとつの雪の一生みたいに無音だった。少し離れるだけできみも、街も、私の視界に収まり、どんどん小さく、死んでいくっていうのに、生きている限り、誰にも会えるはずはなくて、ただ、視界の中で死んでいったたくさんの人たちの残像を、誰一人こぼさないように毎晩まぶたの中に閉じ込めて、私も、誰にとっても生きていなかったことになるんだろう。きみじゃなくて死んだ人を好きになれたらいいのにって思うよ、きみが生きてる限りは。眩しくて一瞬、きみの視界を奪ってしまうようなことが増え始める、その残像を、どうか忘れないで、それは私のお墓。生きているのか不安になったときは、いつでも、きみは生きてるって伝えるために死んだわたしに会いにきて。

この夜がもっとずっと深いところまで沈んでいってほしい、すぐ後ろで話されている言語がわからなくなるくらい、遠く、深く、あなたたちの生前の最後の言葉が降り注ぐ場所でずっと、私は眠らずに待ち続けている。

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