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#書く

「夜にいとく」(詩)

「夜にいとく」(詩)

眠れない夜を書き続けていたら
眠らない夜を愛していた

わずかな歪みが私を保つ
理解の端々の崩壊が私を溌剌をさせる

醒めない夢は嫌いじゃない
永遠を約束しながら

灯火を吹き消して
私は夜を纏う

「わたしの書く」(詩)

「わたしの書く」(詩)

詩が書けなくなることって
あると思う?

私はずっとずーっと
書いていたいわ

書けなくなっても
無茶を書きなぐっていると思う

言葉は我慢強いもの
私のそばにずっといたもの

詩が書けなくなったらって
こわくない?

こわい
だけどこわくていい

大切にも乱暴にも不埒にも
扱うって丁寧さはかわらない

私は言葉が好き
いつまでも書いてる

「書かなければ死ぬ」(詩)

「書かなければ死ぬ」(詩)

書かなければ死ぬと思う

こんなにも読むために
私が集めた本たちに
呆れられようと
私は書く合間でしか
読むことのできない
よろしくない読書家だと
みなが理解してくれたため
やはり書くほうを選び選び
本を途中で閉じるのです

静かすぎる唇に投げかけるものを淵に滲ませ
閉じた本は またひたと時の安らぎに
自己の痛みを放つのです

「書くからだ」(詩)

「書くからだ」(詩)

すこし動けば 床にへばりつく
この身体で 書いていく
 
荒れ野を行く夜
暴風の砂浜
黒い黒い海が聞こえるときも
日を撫でるのと同じ
この手が 書く

幻も 死も 水際も
花も 癖も 土の目も
胸を萎ませながら
血の流れ 骨の重みも 組み込んで
私で 書かれている