シェア
ミナベシオリ
2023年6月27日 09:47
では百合のような恋とはなんだろう今目の前で必死に手をつく君をそっと撫でて眠ることだろうかそれは 素敵だけど 退屈だ昼下がりの紅茶くらい 退屈だ花はずっと窓の外を見ているこの風景に飽きたのだろう同じ方を向くわたしのあごをもう片方の手でそっとああ たおやぐ爪の先は徐々に蔓となって先程までさわれもしなかったわたしの体表を ことほぐ わたしはあの花でなくてよかったこの蔓でもなく
2023年6月17日 23:53
ひとしきり言い訳を切り分けてため息に唇を混ぜる粉糖がてのひらの山を覆っては猫のような恋心をカップの蓋にとどめて最後に運をミントみたいに添えるそんなふうな午後はひとときしか ないのだろうとふふふ。ふ。
2023年6月15日 23:59
空を見ていたいと思った君が切り取った空焼き菓子を片手に音音を響かせてここは大ホール少しだけひるんだ空ずうっと夏空うーん。
2023年6月14日 21:31
どこにいくでもないピクニックシート触りながら問う「わたしたち、いつまでわたしたちでいられるのでしょう」答える「シートがほつれて、砂に還るまで」見つめる「それでは大した時間いられないわ」驚く「大層な時間に思えるけれど」眺める「そうかしら」何を作るでもないミルクパンを火にかけながらキスをする深く沈み込む涙を混ぜいたわる顔と顔はどこまでも感情と感情の鏡朝の
2023年6月13日 23:49
雨が落ちる雨が落ちる手が落ちる恋は落ちるぽろと星のかけらが崩れてぼくの身体落ちるきみの姿落ちた目が散る芽が散る女が散る青い朝 焼け落ちる散り落ちる雨恋はぼくの身体に散っていくから歯痣ときみ眠れば健康で、全部は夢で、明日はきっと、晴れ。悪くはない。(ホントに?)
2023年6月12日 22:05
いつあなたに会うかわからないから今日はおしゃれをして出かけよういつあなたに会うかわからないからいつでもほほえみを忍ばせておこう会わなくてもいい人に会うこともあるから嫌な顔も持ち合わせていよう食べたいものを食べている時もいつあなたに会うかわからないから口の端には気をつけていよういつあなたに会うかわからないから名刺交換の用意をしておこういつあなたに会うかわからないしいつあなたに
2023年6月11日 23:13
窓辺から湖が見えた気がした鴨 水しぶき しんめんもく空は目に飛び込んできた見えられる限り濃紺をまとって星は目に残って恋をどこまでも映す役を担ったよるとぼうおおきくすいこんであなたの眼鏡の縁が最後に踏んでく 階段の段(JINS いかなきゃ)何でも見える気がした破片がフォーカスしたものはおんなのこ小さな心の別の破片は小さなラーナぼくがひそかに想いを寄せた人は元
2023年6月10日 20:49
君がいる夏といない夏を比べるはじめての夏に素朴な朝ごはんを食べる燻した野菜の音がぽつぽつと部屋に響く音は心臓で鳴っているのだろうか音は あたしの外で鳴っているのだろうか外だったら 少し寂しいあたしは酒場を思い出してそれは野菜の音だった古い机が ぽつぽつと鳴いている煙の渦の巻き方で 君の位置がわかる歓談の声を野菜が吸っているあたしは煙草の真ん中の芯のようで主役
2023年6月9日 21:07
気持ちいい日だ夜が 身体みたいに身体に入ってくる音は軽くて 止むことのない雨遠くで百合が粒に踊る夜深い丑三つには焼いた肉を食べた事を思い出して吐息に狂う夜勤終わりの午前早期帯スマホを見ては 現探し反応する獣を察知するそうこの時は獣の時間眠っていても獣はわたし わたしあなたは寝ていてそれでよかった 夜が入ってる予感だけが本能をくすぐれるからくすぐられた腕を差し出すか
2023年6月8日 23:28
青空ひとつ片手に収めて君を抱いたあと僕は深呼吸する部屋も呼吸する窓が右に動く弁当箱にはまだ温かいれんこんがあるテレビをつけるグラスの氷が音を立てる青空が精神に迫ってくる後ろ暗いことはないかと迫られることは必然に思える僕の影の中で君がステップする記憶の流砂を撫でて払うように「まんなかで会いましょう」耳元で全身を撫でられながら言われてステップするれんこんは
2023年6月7日 06:40
曙光水田をくぐれば群青は春を思い出す太陽と空は鋭角に存在の輪郭を試してくる足元には土が相応しいがぼくはアスファルトを削り歩いている満たされた水の中にきみの足が入っていくきみが はまるぼくが はまる手を取り合う準備物のいらないはずのぬかるみへ依然の鋭角がやわらぐと急に手は 重たくなる泥がかかる きみ の右手 ぼく は声を上げる
2023年6月4日 23:04
振り返ると いつも小雪が降り掛かっているようだ襟足 夏 小雨を前にして僕は何を考えているのだろうか夏雪と 三千万秒ほどの 隙間気持ちの上で長袖を着だす 朝方通り雨の気配はとっくにやみ気配はやはり 雪日の目を見ない者たちの行進が行進そうだ これは紫陽花の君の雌蕊夏雪と 三千万秒もの 厚み神が千切るたび季節は元の季節になってつう つうほら汗が流れていく肩
2023年6月2日 23:24
海は煙草ではないかもしれないが煙草は海であるかもしれない煙の筋を読み解けばそれは深海を照らすささやかな明かりの道とつながるかもしれないカフェで過ごす午後 煙草を胸先三寸にため音もなく吐き出すとささくれのように夕陽の時間が思わぬ方向へ延びてゆく多数煙草は海であるかもしれないそれはたくさんの魚を隠しているめだつものも 恥ずかしがり屋のものもたまに水面から顔を出したりするのだろ
2023年6月6日 23:48
櫂が舞うのは空か海か「海」と言われればそれは海だと答えよう気持ちの上ではお茶を飲むよう「空」と言われればそれは空だと答えよう実は空がすきなので順をかえて答えたとそこにはリズムがあるだけで言葉はなかったけどあなたの空わたしの海雲海のようなため息が混ざり合う夜半夜半の月は空を抱いて海に潜る溺れた月の真ん中で今宵あなたと水辺でひっついていようかと思いなが