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詩「水くらべ 朝」

曙光
水田をくぐれば
群青は春を思い出す
太陽と空は
鋭角に存在の輪郭を
試してくる
足元には土が相応しいが
ぼくはアスファルトを削り
歩いている
満たされた水の中に
きみの足が入っていく
きみが はまる
ぼくが はまる
手を取り合う
準備物のいらないはずの
ぬかるみへ
依然の鋭角がやわらぐと
急に手は 重たくなる
泥がかかる
     きみ
  の右手
     ぼく は
声を上げる 
     とても
 まがって   いるから
混濁し また日はひらすら鋭角に
けれど
きみはきみで
ぼくはぼくのままだ
   「どう?」
 「わらっちゃうよ」
     「そうだね」
ぼくらの 
    朝


おはよう。


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