数年前、交渉術のセミナーを受講したときに、こんな例題があった。 「たった一個のオレンジを、 二人の姉妹が、二人とも欲しがりました。 公平に分けるにはどうしたらいいでしょう?」 半分こにすればよい、と普通なら思うだろう。 回答はこうだ。 「話し合いの結果、 一人はオレンジの皮、もう一人はオレンジの実が必要だとわかった。 そんなわけで、それぞれが本当に欲しいものを手に入れた。」 もしも、包丁で半分こにして分けたら、二人とも不満が残っただろう
おざなりに触れていた言い回しが、自分の体験にシンクロすることがある。 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」/『雪国』(川端康成) そうなんですよ。つらい状況を変えたくてもがいている、その暗いトンネルは長いのよ。でもそこを脱すると一気に違う世界が広がる。夜は夜のままだとしてもね。 私の「トンネル」は、4か月間の身体の痛みでした。 最初は右肩が上がらないくらい痛くなって動かせなくなりました。 原因は、6月にパソコン作業が急に増えた
先日公開した『恋愛と鰻』を、なんとナレーターのyoyoさんが、朗読してくださいました! こちらです! 【JapaneseStoryTelling】Love and eel もともと、ものかきにとって、一度書き終えたものというのは、巣立って言った鳥たちのようなもので、あとは読んでくださった方の受け止め方に、全部お任せするべきものです。 そういうことを頭では分かっていましたが、実際に、yoyoさんに朗読していただくいて、思いもかけず新しい命を吹き込んでいただ
当ブログの記事で、特に記載が無いものについては、朗読、ボイスサンプル、Youtube 発信など、ご自由にお使い下さい。 なお、作品を私も拝見したいので、お手数をおかけしますが、ご使用の際は、下記のとおりお願いいたします。 ①Web上で公開の場合: ハッシュタグ #書き手水野美香 を付けてください。 ②上記の①以外の方法で公開の場合: できれば下記のように作者名と本HPのアドレスを記載していただくか、 事前にご連絡下さい。 https:
今日は朝からすごく寒いと思っていたら、午後になって雨が雪に変わりました。 雪が降ると思い出すのはアダモという歌手の『雪が降る』(1969年)という歌です。 アダモの歌は、母が好きでよく聴いていました。 外国人が変なイントネーションで悲しい歌を歌うと思って聞いていました。 ♪雪が降る あなたは来ない 「来ないからって、何を騒いでいるのだろう? きっと、雪のせいで来られないんだろう? 雪がやんだあと、会えばいいのに」 と、子供の頃は思っていました。 ご
新型コロナウィルスの感染経路は、接触感染と飛沫感染だといいます。(出典:厚生労働省【新型コロナウイルスを防ぐには】) だからここのところ彼氏とは濃厚接触を避けて、ラインと電話でお話しています。 前回、彼氏がそばにいないことが辛かった話を書きました。 おかげさまで今の彼氏はすぐそばにいなくてもあまり辛くないので、あのブログを書いたあと、理由を考えてみました。 それは直接会えなくても「精神的につながっている感覚」を保っていられるからだと思いました。手段はラインと電話で
3月11日の14時46分に、勤め先ではアナウンスが流れ、みんなで起立して一分間黙禱しました。 2011年のことだからもう九年前ですね。 あの頃は遠距離恋愛をしていました。 特急をうまく乗り継げば一時間強で会いに行ける程度の遠距離で、週末にやりくりして会っていたのだけれど、なにかと不満が募りました。 互いの仕事はそれぞれの拠点にあり、互いに一生働くことに自分の重心を置いていたから、会えないことも、会うと働くために温存しなくてはならない体力が減ってしまうといった焦り
中学三年生の親戚の女の子と話をしたときのこと。 高校受験は推薦入学にしたという。 「無理して勉強して偏差値の高い高校に行ってもね、授業についていけなくなって辛いだろうから、無理しないことにしたの」 聞いていて、なんだか複雑な気持ちになった。 「一生懸命がんばる」みたいな言葉を期待していたような気がする。 もしもガリガリ勉強して背伸びしてやっと入れた学校だったとしても、みんな同じように背伸びして入っているのだから、授業について行かれないだなんて心配しなくてもいい
うつむいて歩いていたんだって 昼下がりのビル街で、 少し先を歩く人への 言葉にできない気持ちに 押しつぶされそうになりながら。 仕事の時は、忘れているんだって 恐ろしいほどよく切れる その人の役に立ちたくて、 役立たずと思われたくなくて、 一生懸命、考えていたから。 仕事と仕事のはざまの時間 どっちつかずの気持ちを持てあまして、 ふと道路を見たら、 グーグルカーが信号待ちで、 停まっていたんだって。 それで彼に言ったんだって 「グーグルカーですよ! ねぇ、写真を撮って
以前、恋愛相談をしてきた女子と、会社帰りの乗換駅でばったり再会した。 開口一番にこちらを見て言うことには、 「髪がっ!短い!」 …この髪型に変えたのは、ずいぶん前なんだけどね。 「元気そうね♪」 「元気です♪」 そのままお互い、ニコニコしたまま固まる。 あなたに聞きたいことなら沢山ある。 あの頃、話をしていた新しい彼氏とはうまくいっているのだろうか? それを今、ここで聞いても差し支えないのだろうか? 聞いたとして、その笑顔は笑顔のままだろうか?
どうしても鰻が食べたくなって、会社帰りの夜、とある鰻屋へ行った。 鰻屋といっても、お重ばかりのお店もあれば、焼き鳥と一緒に鰻を焼く飲み屋さんに近いお店もある。この日は、飲み屋さんの鰻屋に行った。 店は少しお客が入っていて、私はカウンターに案内されて、肝焼きとうな重を頼んだ。 カウンターには先客が一人だけ、ちょっと出来上がりかかった年配の女性がちびちびとお酒を飲んでいた。私を見て、隣に座われと言う。 こういうことは割とよく起こる。知らない人が近づいてきて、身の上話を