月見れば〜
寒い。
季節が秋から冬へと移り変わっていっているのをひしひしと感じております。
まだ18時なのにもうこんなに暗くなって…
なーんて考えていたら寂しくなってきました。
空を見上げればお月さま。
この季節にお月様を見ると決まって思い出すこの一句。
月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど
【現代語訳】月を見ると、あれこれと際限なく 物事が悲しく思われるなぁ。私一人だけの秋ではないのだけど。
百人一首の23番、大江千里(おおえのちさと)の歌です。
中学生の時、シンガーソングライターの大江千里(おおえせんり)さんのファンだったので「同じ名前の人がいる!」と大興奮で覚えたのですが、動機は不純でも覚えておいて良かったです。あれから30年くらい経ちますが毎年秋に寂しくなると空を見上げてこの句を思い出しています。
秋を悲哀の季節としてとらえる感覚は平安時代初頭から一般化したそうです。秋って「実る」というイメージもありますが、あれこれみんな枯れ衰えていくイメージも。寒くなってきて、まあとにかく寂しい。当たり前のことですけど、ついこの間まで暑くて明るくジャカジャカしてたのに、急に寒く暗くなってくるんですもんね。
「わが身一つの秋にはあらねど」で、昔からみんな秋は寂しいのだ、と考えると自分一人だけがこんなにドヨ~ンとなっているわけじゃないと思えて安心します。
失恋した時に思いっきり失恋ソングを聴きながら泣くとスッキリすると言われるように、秋に秋の寂しさを詠んだ句に触れると安心する。
皆さんに秋のおすそ分けです。
今もし、寂しいなと感じている方がいらっしゃるなら、私も寂しいし平安時代の人も寂しかった。みんな寂しい。大丈夫。
ちなみにこちらの大江千里さん、
百人一首16番17番を詠んだ在原行平、在原業平の甥っ子でもあるそうです。じゃあ、男前だったのかな~と想像したりして。
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