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びくっとなると思い出す曲『哀歌(エレジー)』


中学生の頃、友達と映画に行きました。興味本位でマドンナの『ボディ』という映画を観たら、ちょっと内容が・・・女子中学生が2人で観に行くような映画ではなくて

慌てた私たちは「ボディを観たことは内緒にしておこう」と約束し、案の定家族に「何の映画を見に行ったの?」と聞かれた時には当時流行っていたホイットニーヒューストンの『ボディーガード』を観に行ったと嘘をつきました。2人で観に行ったのは『ボディ』ではなく『ボディーガード』だということで、あれから30年以上経ちますがいまだお互いに秘密を守りあっております。


それから15年ほど経って、また私は同じ過ちをおかしてしまいました。

仕事終わりに仲良しの同僚(女性)と映画に行きました。2人ともお目当ての映画があったわけではなく、部活でクタクタだったので何か久しぶりに映画でも見に行ってご飯を食べて帰ろうかというストレス発散のための軽いノリでした。

映画館に到着し、上映中の映画のポスターを眺めながら「今からだと邦画の方が楽に観れるかもね」ということで、

寺島しのぶさん主演の『愛の流刑地』という映画を選んだのです。

この『愛の流刑地』の原作は渡辺淳一さん。あの『失楽園』の渡辺淳一です。

映画が始まって5分で友達が言いました。「ミーちゃん、ごめん」と。私もこう返しました。「いや、こちらこそごめん」と。

映画自体はそれなりに良かったんですよ。「愛し愛されること」について深く考えさせられました。でもね、疲れた女が2人で夜に観に行くのに「正解か」と問われれば「不正解です」と自信をもって答えられるような映画でした。

その『愛の流刑地』の主題歌が平井堅さんの『哀歌(エレジー)』です。


映画のエンディングにこの曲が流れた時にはゾクゾクっときたのを覚えています。映画の世界そのままに平井堅さんが女性目線で歌う曲。ものすごくセクシーで私はこの曲に「一目惚れ」ならぬ「一聴き惚れ」しました。私の中で「平井堅ソングナンバー1」です。


映画を観た翌日、朝から会議でした。学年の職員朝会。結構真面目な内容だったと思います。会が終わってすぐに、昨日私が仕事終わりに映画に行ったと知っている先輩から「ねえねえ、昨日、何の映画観に行ったの?」と聞かれました。先輩が軽い気持ちで聞いてくれたのはわかっています。でも私はすぐには答えられなかった。一緒に観に行った同僚とこの映画を観に行ったことについてどうするのか対処法を考えていなかったのです。

私の頭の中で平井堅が流れます。寺島しのぶが舞います。

「・・・忘れました」

とっさの嘘が浮かばず、ついこう答えてしまいました。

その場にいた同僚の皆が一斉にこちらを向きました。

「昨日観に行った映画を忘れたと答えている。こいつ大丈夫か!?」という表情です。

自分でも「忘れました」と答えてしまったこと、みんなに怪しまれていること、その場のその状況がいたたまれず・・・

「・・・なんか、トヨエツが出てる、ちょっとエロいやつです。名前は忘れました」と、タイトルを忘れたと謎の嘘をついて下を向いたことを覚えています。その日の私の脳内は一日中セクシーな平井堅が流れっぱなしでした。


それからというもの、何かびくっとした瞬間に『哀歌』が思い出されるようになりました。ちょっと嘘をついちゃった時。とっさの嘘が出てこない時。はずかしい時。打合せ不足だった時。あらゆる「びくっ」の瞬間にエレジーが顔を出します。

ある意味、私の人生の「勝負曲」です。

びくっとならずに堂々としていられる人生が一番良いんですけどね。


皆さんには、場面場面で必ず「思い出される曲」はありますか?あったら教えてください。

私のちょっと情けない「勝負曲」のお話でした。








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