「赤い服のおんなのこ」
私は小さい時から人の輪に馴染めない子供だった。
幼稚園の時から三輪車で遊んでいると倒され膝を擦りむいたり、話しかけても無視されていた。
小さく幼い存在の中にも派閥は存在していて、私はどの派閥にも属せずにいた。
そんなせいか、まだ物心もはっきりとしてないこの時から孤独という感情があった。
私はその中で空想上の友達を作り出した。
いつも一人だった私に初めて友達ができた。
いつも赤い服を着たおんなのこだった。
私の方を見るばかりで話すことはなかった。
それでも、私は嬉しかった。
同じ空間で同じことをして、
一緒に遊んでいる。
そんな私を周りは気味悪がった。
誰といない壁に向かって話しかけている。
みんなにはそう見えていたようだ。
私はそれが嬉しかった。
私だけの友達。
みんなに見えないのだから、誰にも取られることはない。
私の大切な友達。
小学校に上がった頃だろうか。
こんな私にも友達という存在ができた。
私は赤い服のおんなのこを友達に紹介した。
だが、友達は
「誰もいないよ」
と呟いた。
そんなわけがない!
私が振り返ってみると、赤い服のおんなのこの姿はなかった。
その日から、私の前に赤い服のおんなのこが姿を見せることはなかった。