ユーミンと会う
小さい頃、ラジオから流れてきた
「あの日に帰りたい」。
一回聴いただけなのに、
それからずうっとユーミンが大好きで、
コンサートとなれば、
大阪でも千葉でも逗子でもどこへでも
仕事を早退して行きました。
新譜発売の日は打合せ時間を
調整して山野楽器に並んだり。
毎日CDを聴きながら、
会いたいなあ・・・
と思っていたら、
なんと取材できることに
なったのです。
その日は、すべての予定をキャンセルして
朝からそわそわ。
人見知りということもあり、
取材のお仕事はあまりしないので、
ちゃんと聞けるかしらん~と、
どきどきしておりました。
頭まっしろ!状態を
防ぐために、
ノートに質問をびっちり書いて
一番いいスーツを着て
取材にのぞみました。
ほとんど、社会見学に行く小学生みたい。
取材は某企業の応接室でしたが、
いろんな肩書の方で部屋は
息苦しいほど超満員。
壁一面に並んだ大人が
ユーミンに粗相のないよう、
見守ってくれております。
ドアが静かに開いて、
あ、いらっしゃった!
ほんものだっ。
ま、まぶしいっ。
どきどきっ
という気持ちを抑えつつ、
冷静をよそおいつつ、
大人らしく名刺を
お渡しして取材はスタートしました。
商品と新譜のコラボ記事広告です。
そう、お仕事なんです。
つまり、
どんなにパニックになろうとも、
ぽーっとなろうとも
聞くことはきっちり聞かないと
記事が書けないっ!
しかし、会議室ではなく応接室で
膝が触れるほどの距離・・・。
最初に、ノートに書いた順序で
怒涛のような質問をしました。
30分ほどたった頃でしょうか、
あまりに距離が近いので
やっぱり、だんだん
ぽーっとなってしまい。
「実は・・・めちゃ好きなんですう。大ファンなんですう。昔から」
と、とうとう告白してしまいました。
「こないだの逗子、白いブーツ、めっちゃかっこよかったですー」
それからは、
あのコンサートのこの衣装がすてきだったとか、
プールからミラーボールに乗って現れたとき
近くに座っていたとか、
記事と関係ないことまで
勢いで、ぺらぺら話してしまいました。
気がつくと、予定を大幅に過ぎて2時間も!
周囲の大人たちの冷たい視線は
もはや何も感じない。
繭に覆われたような二人の世界。
テンションが上がったのか、
ユーミンの発するエネルギーか
おなかの真ん中が
ほわっと「あたたかい」のが
印象的でした。
ユーミンは、
優しくて気さくでよいひとで、
記事とはまったく関係ない
10代の頃のファッションのお話や
普段のお料理のお話まで!
してくださいました。
へんな感想ですが、
ユーミンは幻ではなく
普通の人間だったんだ。
ということに、とても衝撃を受けました。
後日、仕上がった記事の文章を
チェックしてもらいましたが、
あんなに大物なのに
ほとんど修正が入らなかったことも
感動的でした。
ああ東京に来て、ほんとうによかった!
とつくづく思った出来事でした。
ただ「握手してくださいっ」
とだけは言わなかった大人な自分を
思いだしては何度もほめております。
ユーミンとお会いしたことは
いまでもすごく自慢で
記憶の奥にしまってある
宝物のような一日となっています。