東京ワーホリ日記②そんなに稼いでどうするの?
東京にきてから、
高校時代の友人と会う機会が増えた。
クラスの7割が大学進学で上京してしまい、そのうちの8割は地元に帰ってこない。
コロナ禍を経たこともあって、高校卒業ぶりに会う人も多かった。
現状報告が済んで、誰が今何してるとか、
最近誰に会ったとか話した後は、
楽しく高校時代の思い出を語れるかと期待していた。
だが実際、酒を飲みながら1番長く話したのは仕事や給料、投資、副業のことだった。
みんな仕事が終わったあとや休日にも、経営者のセミナーや副業に勤しみ収入を上げようと頑張っているようだった。全く休みという休みはなく、この先はどれくらい稼ぎたいとか、そういったことを話していた。
適度な相槌を打ちながら、正直こう思った。
…そんなに稼いでどうするの?
毎日休みなく、本を読む時間や映画を見る時間もなく働くのの何が楽しいんだろうか。
いつか楽したいために、今頑張るならわかる。
だが、いい家に住みたいためや生活水準を上げるためなら一生終わらないのではないか。
働きすぎて、家族や友人、恋人と過ごす時間が少なくなっていくのはいいのだろうか。
生活に困らない程度に稼ぎ、たまに家族旅行にいったり外食したり贅沢なすることは、副業しなくても十分できるはずだ。
それとも、東京は「贅沢」の基準が高いのだろうか?
少し下品だが、給料の話になった時、
私の手取りを言うとびっくりされた。
地元ではかなりいい方だったので、そういう反応をされてどうしていいかわからなかった。
「それでどうやって食べていってるの?」
「これからどうあがっていくの?」
と聞かれたが、東京で10万する賃貸は、地元で4万円で借りれる。キャベツだって200円近くする時もあると思うが、地元ならセールで99円だ。
結婚してどちらかの両親の力を借りれば、保育園代だって少なくなる。
たとえ東京の友人の手取りが私と6万円違かったとしても、手元に残るお金は変わらない。
地元の友人と飲むときは、最近生まれた姪っ子の話とか、職場の上司の話、最近あったおもしろいこと、マッチングアプリの成果報告など、そんな話が多かった。
東京に来る前に、地元の高校時代の友人と会った時は当時はやっていた動画や音楽を一緒に見てふざけたりした。
私は、地元の給料が低いと言われたり、聞いたこともない副業の話をしたかったわけではなかった。
家に帰ってすぐシャワーを浴びて、
ベッドに入ると無性に地元の友人が恋しくなった。
なんとなく、西野カナやAKBの曲を聴いたりしたが、ちくちくと寂しい感情は消えなかった。