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私が海外転職してから英語が話せるようになるまで

私が初めて海外で働くことになったときの話をします。

あるとき、海外転職に成功しました。
転職先はヨーロッパのとある国の多国籍企業でした。
いま振り返ると、なぜ自分が採用されたのか分かりません。日本人であることが有利になるようなタイプの仕事でもありませんでした。いろんな会社にレジュメを送りまくって、たまたま当たりました。

ボスは鷹揚な人で、仕事が回せればいいんじゃない?という人でした。
言語力や出身地や性格などで部下を判断することなく、純粋に業務遂行能力で評価するタイプの人でした。優秀でした。

職場には自分以外に日本人がいません。イギリス人はじめヨーロッパ出身者ばかりで、アジア系も、ネパール人のお姉さんがひとりいるだけ。この方には、同じアジア人で仏教徒だし、という風に親近感を持って接してもらいました。いろいろお世話になりました。

転職前にTOEICも900点を超えていて、自分では英語力に自信を持っていました。日本の職場でも、英語ができる奴として扱われていました。

しかし、新しい職場では何もしゃべれませんでした。

言葉を発するまで数秒かかるのです。
話す内容を思い浮かべ、それに対応する英単語を思い出し、文法に沿った文章を作成し、発音に気をつけながら言葉に発する。この一連の作業をわずか数秒で行うのです。神業だと思いませんか?
でも、数秒では遅いのです。スムーズな会話になりません。職場では、あいつは英語がしゃべれない、とまで言われる始末でした。

英語ができないと、仕事の内容にまで疑問を持たれます。ボスは理解してくれているのでいいのですが、私の実際の仕事ぶりを知らない人たちからは、露骨に白い目で見られました。
ヨーロッパ人には(日本人にもいるのかもしれませんが)、それまではお友達のような風に親しくしていたのに、いったん自分の利益にならないと知ると、見えるような形で平気で差別したり人間関係を切ったりするような、はたして人の心があるのかというような人が実際にいます。同じ会社に何人もいました。よい勉強になりました。

家に帰ってきても、頭が疲れているのが分かります。
英語で言葉を発するまでに行う一連の作業を、朝から夕方まで何十回と繰り返しているのです。毎日です。ものすごく頭を使います。家に帰っても何もしたくありません。
もちろん英語の勉強なんてできません。
英語のストレスだけでなく、そのほかの職場のストレスやらで、疲れ切っていました。ポテトチップスを毎日大量に食べてました。太りました。

そんな職場に2年半勤めました。
結果的に、この環境で英会話力は鍛えられました。
英会話力だけでなく、嫌味な同僚に言い返す術とか、議論で困ったときの対応法とか、実地で学びました。

ほかの人に勧めることができるような経験ではありません。嫌味な同僚なんて持たないほうがいいに決まってますし、人の心がない人との出会いなんて生涯のトラウマになりかねません。

私はこのような方法で英語力を向上することができましたが、英語力を向上させるために、そういう環境にあえて身を置く必要はありません。
英語力を得ることができても、精神的な健康とか、もっと大事なものを失いかねません。
私がたまたま大丈夫だったのは、難しい状況を理解してくれる同僚や上司がいたことと、家族の支えがあったからです。運がよかっただけです。


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