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「ネイティブレベル」が持つ言語以外のスキル

私はサラリーマンなのですが、サザエさんを見ると、また会社かと、ちょっと憂鬱になります。
サザエさんとのじゃんけんに負けたりすると、憂鬱さ倍増です。

上の私の話を聞いて「ああそうだよね」と思える人は、立派な日本語ネイティブスピーカーです。あるいは日本語ネイティブレベルです。

ところで、「ネイティブレベル」って、具体的にどのぐらいのレベルなのでしょう?
英語を学習するときに「ネイティブレベル」になれるといいな、と私も漠然と思っていたことがありました。でも、しっかりしたイメージを持っていたわけでもありませんでした。

「ネイティブレベル」について、ちょっと考えてみました。

サザエさん症候群

上でお話ししたつぶやきは「サザエさん症候群」と呼ばれているものだそうです。
この「サザエさん症候群」に共感できるためには、たとえば次のことを知っていなければなりません。
こういうことについて、誰かが教えてくれたわけでもないのに、私たちは、なぜかみんな知っています。

  • 「サザエさん」は、単なる人名ではなく、テレビ番組の名前である

  • 「サザエさん」は、日本で日曜日の夕方に放映されるプログラムである

  • 日本のサラリーマンは日曜日は休みで月曜日の朝から仕事を始める
    (金曜日や土曜日が週末の文化もあります。)

  • 遅刻は許されず、週明け月曜日の朝からふつうにハードに働く
    (月曜の朝は職場で同僚とコーヒーをゆっくり飲むのがふつう、という文化もあります。)

  • 日本の仕事はストレスフルだ(なので会社に行きたくない)

外国の人に「サザエさんを見ると憂鬱になる」という話をしたところで、なんの話かまるで分からないでしょう。
日本語がペラペラでも、分からない人は分かりません。
分からなけれれば、この人たちはまだ「ネイティブレベル」じゃないなと、私たちは感じるでしょう。

私が会った「ネイティブレベル」な人たち

仕事でこういう人たちに会ったことがあります。外国語がネイティブレベルというのはこういう風なのだな、と分かりました。
(日本人以外の方ですが、分かりやすい例かと思い、挙げてみました。)

  • フィンランド人の同僚
    日本語ペラペラです。電話で話すと、外国人と全然気づきません。
    アニメで日本語を学んだためか、日本の習慣とかも詳しいです。
    ボディランゲージも完璧です。お辞儀のタイミングや角度とか、猫背とすり足で歩くとか、なりきっているなと思わされました。
    でも、英語を話すときには別人になります。背筋も伸びます。声も1トーン低くなります。自然にそうなる感じです。

  • タイ人の取引先担当者
    仕事でタイに行った時によく会っていた得意先の方です。
    私とは英語で話しました。堂々とした態度で、しっかり握手するところから会話が始まります。すごく低い声です。まるでアメリカ人です。
    同じ人なのに、タイ人の同僚と話すときにはほとんど別の人です。声も高くなり、顔が柔和になります。ボディーランゲージも、タイ人独特の柔らかい感じになりました。

「ネイティブレベル」とは?

上の2つの例から、こう言えると思います。
「ネイティブレベル」になるためには、言語の習得だけでなく、次の2つが必要です。

  • 文化への理解が必要。
    「サザエさん症候群」のような、学校で教えてくれない、しかしネイティブは誰でも知っているようなことを、すんなりと理解できますか?

  • ボディランゲージを習得する。
    コミュニケーションに占めるボディランゲージの割合は、じつは4割もあるという研究もあるそうです。
    ネイティブは、ボディランゲージを多用することで、コミュニケーションを円滑に行っています。
    異なる言語で異なるボディランゲージを適切に使い分けできますか?

「ネイティブレベル」になる必要って?

しかし、上のようなことは、ノンネイティブ同士のコミュニケーションには不要です。おたがいの文化が異なることを前提として会話しているからです。

英語圏に住むのでしたら、話は別です。
私が英語圏に住んでいた時には、英語独特の言い回しや現地の習慣などを知っておくことで、相手の考えが分かり、生活のストレスが減りました。

英語圏に住むのでなければ、英語コミュニケーションで私が言う「ネイティブレベル」になる必要はありません

英語圏の文化や彼らのボディランゲージのことなど、非英語圏の人はそもそも知りません。なので学ぶ必要もありません。
「ネイティブレベル」になるための努力を英語の習得に向けたほうが、よほど意味があります。

それで問題なく英語でコミュニケーションできます。

今日もビデオ会議がありました。相手はシンガポール人とインド人の方たち。皆さん声のトーンも母国語のときと一緒で高めですし、ボディランゲージも母国のままです。
(たとえば、インドでは「はい/イエス」で首を左右に動かしますが、英語を話しているときでも母国語で使うこのジェスチャーをします。)
発音も、母国語由来のアクセントが入った、ローカライズされたものです。
それでも問題なく会話が成り立っています。話の意味も正しく伝わっています。
みんなが英語の単語を使い英文法に沿った英語を話しているので、会話が成り立つのです。

正しい英単語と英文法を使って英語を話すことができれば、ノンネイティブとして海外の人たちと互角にやっていけます。


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