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「ロータスと散華」〜「八朔の荷葉香」続きです



・「はちす」が蓮になった

今回の組香のテーマ は蓮でしたが、実は私、蓮の花の「はちす」の部分の形、ちょっと苦手でして…

花びらの重なりはとても好きなのですが、
上から見た真ん中とか、花が散った後に種になるところが。

ここが「蜂の巣」に似ているので先ほどの歌にあったように「はちす」と呼ばれているそうです。で、はちす→「はす」となりました。蜂の巣に似ていると警戒されて種を無事に落とせるからでしょうか。

睡蓮は似ているのにはちすの部分は無いのですよね。似ているようでも植物の系統としては、かなり離れているものらしいです。
どちらも「ロータス」なのですが…


・インドとエジプトのロータス


ロータスといえば、インド。蓮は国花です。ヒンドゥー教の女神の花、仏教でも仏陀の花、極楽浄土の花とも言われますよね。

蓮の露が玉になるのは、「ロータス効果」と言って、工業技術にたくさん応用されているそう。カップヨーグルトの蓋の裏にヨーグルトが付かなくなるようにしたのも、このロータス効果だそうです。意外と身近なところに使われてるんですね♪

一方、エジプトのロータスも有名ですよね。こちらも国花ですが、睡蓮になります。

睡蓮は夜花を閉じて睡(ねむ)り、朝開くこと、形も太陽を思わせるので、太陽神の象徴の花として重んじられたそうです。

睡蓮の方は花が水についていて、葉に切れ目があり、露は玉にはならずに広がっちゃうんですよね。

古代エジプトでは死者にかける睡蓮の花びらで作った首飾りがあり、ツタンカーメンもつけていたものが出てきています。残っているのすごいことですよね。

そういえば、ツタンカーメンのお話もお茶会で出ていました。ロータスというのは、どちらも生と死を繋ぐ神聖な花としての歴史があるのですね。

・戦時中の「散華」

「散華(さんげ)」をご存知でしょうか?蓮の花びらをかたどったきれいな紙で、お寺でいただいたことがあります。

元々は蓮の花びらをまいて仏様の供養をすることが散華なのですが、今は蓮の花びら型の紙をまくことが多くなっています。

その散華ですが、蓮の花びらが撒き散らされる様が戦死を象徴的に表し、特に若い人の戦死を「散華」と言ったということを、後日先生と玉砕のことをお話していて教えていただいたのです。

戦時中は「玉砕」と「散華」は、共に戦死を美しい言葉に置きかえ使われていたのですね。

蓮をテーマにした組香「荷葉香」が、8月に行われる深い意味を香りとともに気付かせてくれているのかもしれません。」先生からそのように伺い、改めて、香道の奥深さを知ることとなりました。

実は、荷葉香でこのようなことを綴ることになろうとは全く思ってもみませんでした。やはり日本にとっては8月は特別な月。少し重い内容となってしまいましたが、気づかせていただけたこと綴ってみました。お読みくださりありがとうございました。


日本固有の睡蓮「ヒツジグサ」に会いに行った記事もよかったら♪


七月の星合香の記事です。


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