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七夕の「星合香」〜香道初心者しほりが綴ってみました


過去の旅記録を投稿し始めましたが、今時のことも少し…

前回の北海道で火山やカルデラ湖のこと書いたのですが、こんなところで繋がってるとは…

・とっても貴重な香木「真那賀」と香道の言葉たち

 

憧れておりましたお香の会に、昨年秋より何度か参加させていただいています。

「星合香」(ほしあいこう)

この美しいお名前は、七夕に因んだ今月の組香の名前です。組香というのは、香炉をまわして聞き、どんなお香の組み合わせかを当てていく遊びです。

お香は嗅ぐではなく、「聞く」ので、「聞香」と言います。

さて、本日のメインゲストは、この小さな黒い粒「真那賀」様!

粒のように見えますが、香木の一片です。

なんと、6年ぶりに焚かれることに。それだけ上質な真那賀は入手できないそうなのです。

マラッカからやってきた「真那賀(まなか)」
洒落ではなくて…お香では「六国」と言って、産地により香木の種類が分かれており、マラッカの真那賀なのです。

今回は3種類のお香を焚いていただき試香した後、本香では、3つの香が回り、どの種類が来たか当てるというもの。

こちらのお香会は「和の香りと親しむ会」ということで、初心者向けなのですが、先生は初心者だからということなく、いつも貴重な上質のものを惜しげなく焚いてくださるので、他の2種類もそれは芳しい香りでした。

私は、たまたまお正客席になってしまい、一番最初に香炉が回ってくることに…

「真那賀」が試香で回ってきますと、たしかに今までとは違うタイプの香り。酸味が立っているように感じました。先生があとから「モカ」と仰ってましたが、コーヒーなら、まさにモカ。

お香は「五味」といって、香りだけど、どんな味か?を聞いていきます。

これまで酸味は感じたことはなかったので、やはりなかなか無いものなのだなと思いました。

他の二つの香も、「華やか」「ゴージャス!」という感じで、一生懸命香りの印象をここで覚えるのです。

香道具。蒔絵や白蝶貝が美しい。香炉は青磁。

・灰手前〜小さな火山を手に⁉︎


ところで、香炉の写真をちょうど載せたので、見ていただくと灰が火山の形みたいですよね。

この中に香用の小さな「たどん」が入っています。火のついた炭です。

その上に灰を被せたあと、灰手前といって、火山型に灰を整えるのですが、これがとても難しいそうです。

ちょうどお正客席でしたので、今回は先生のお手前を目前で拝見できました。

本当はお正客席でとても緊張なのですけれど、今回はずっと先生のお手前に釘付けで。


帛紗さばきも、一つ一つのお道具の持つ美しさに、薄紫色の帛紗で清められていかれる所作も美しく、うっとり拝見しておりましたおかげで、いつもより緊張せず、

「香を楽しむ」ということに、少し近づけた気がしました。

ついつい当てにいっちゃうもので、力が入ってしまっていたのが、今回は少し抜けた感じです。

さて、火山の形になった香炉を私たちは手に載せるのですよね。火山を手に載せるなんてスケール大きい!それも何か意味がありそうな気がします。

灰の香りと香木の香りが混ざって、さらに良い香りとなるようになっているのだそうです。

・伽羅じゃなかった〜


ところが、本番…

最初に回ってきましたのが、「ゴージャス」と感じた伽羅(きゃら)と思いまして。

それが、実は「真那賀」だったということでびっくり!

試香の最後の香りが鼻に残るというのもありでしたが、

考えてみたら、たどんが時間が経ち、さらに熱くなっていたため、先ほど出てなかった香りが出てきていたということだったか〜と。

先ほど試香で聞いたのは、いわゆるトップノートで、最初に出てくるのが酸味で、その後から他の味も加わり、複雑で優雅な感じになった状態だったわけか…

実は前回の「水無月祓香」では、一つ外してしまったのですが、この香炉の熱さの差で香りが強くなっていたもので迷ってしまいまして。

違うものと判断した結果の誤りでした。

それと、香道のもう一つの大事な要素、和歌の影響もありました。


・「水無月祓香」〜香道と和歌


香道は、香りが文学的要素と合わさり発展した日本ならではの香りの楽しみ方です。

毎月テーマの歌があり、6月の「水無月祓香」では、

「風そよぐ ならの小川の 夕暮れは
みそぎぞ 夏のしるしなりける」

百人一首にもある有名なお歌でした。

ちょうど5月の旅行の時、上賀茂神社の小川の辺りで歌碑を発見しまして、「ここがならの小川だったのか!」とびっくりしました。

奈良ではなく、楢の木の「なら」で、ならの小川という地名と楢の掛詞ですが、なんと上賀茂神社だったとは!

そういうことがあったので、お香の間もその爽やかな風景とともにあったように感じていました。

組香は毎回ルールが変わりますが、この回も3種類のお香がどのような順で回ってきたか?を当てるものでした。

さらにテーマの和歌に因んだ言葉と回った順の組合せがリンクしていてます。

それが書いてある紙を見ながら、

「この順で来たな。」と思ったものの言葉を書くという、優美な遊びなのです。

で、先ほどから風景を思い出していました「賀茂」を思わずを選んで書いちゃったのです。

正解は「夕暮れ」で、それも迷ったのですが、「賀茂」という言葉ににつられました。

実はあの辺りで不思議な体験をしたこともあり、それに引っ張られているのかも…ですね。

最後に先生がお歌を披講なさいます。

朗々としたお声で歌を節をつけて歌ってくださるのですが、素晴らしい波動に包まれて、あの「ならの小川」で禊なさっている古の神官たちが蘇ってくるようでした。


・「星合香」のお歌と「渡し守」

 

さて、「星合香」のお歌は、

「久方の天の河原の渡し守
君渡りなば 楫かくしてよ」

彦星が帰らないように楫(かじ)を隠してよ、天の川の渡し守さん!という織姫の気持ち、可愛いですよね。実際は久しぶりに来てくれた愛しい人のことを歌った歌なのでしょうね。

組香の後は、季節のお菓子でお茶会。

そして、お答えは「渡し守」=最初だけ違う香でした。

答えとしては合ってたものの、せっかくの「真那賀」を違うものと思って聞いてしまったとはもったいない…(泣)

と思ってましたら、先生が香炉を残しておいてくださったので、終了後に皆さんと芳香を楽しませていただきました。

はぁ贅沢♪

今回はお正客席で正解ということで、お歌や組香を先生が書き上げられた大きな記録紙もいただけるというラッキーでした。

そして「渡し守」⁉︎

考えてみたら、今、上古からの海人族のこともいろいろ調べているところですので、川や海を渡す人「渡し守」で記録紙いただけるというのも、何かご縁かな♪と二重にうれしい結果となりました。


・五感を超えた何か


会では、季節のしつらえやお茶会のお菓子なども端々までお心遣いいただき、いろいろな角度から自然と五感が働くようしていただいています。

そして「香を聞く」ということを続けていくことで、「五感を超えた何か」にも出会っている気がします。

あんなにちっちゃな香木の一片でもすごいものですから、ここまで残ってきたのでしょうね。きっと昔の人はもっと何かを感じ取っていたのだろうなと思えます。

香木をめぐる歴史的な出来事もありましたよね。今は本当に良い香木が少なくなってしまい、とっても高価なものになってしまっているそうです。

でもそんな貴重なものを焚いてくださり、こんなすてきな会を開催してくださる先生には、本当に感謝しております。

次回はもっと楽しみたいですね♪

そうそう、旧暦の七夕は8/4だそうですよ☆

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