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好きなミュージシャンについて語るための、ゆるフォーマットを考えてみた

仕事柄、noteを書く人の相談にのることが多いのだが、こんな悩みを聞くことが多い。

「自分の好きなことについて、何か書くのって難しい。どこから取り掛かったらいいかわからなくって」

たとえば、大相撲を好きな人が「大相撲のどこが好きか」について書いたテキストを読んでみたいと僕は思う。それは「カレーの食べ歩き」についてでも「バスタオルへのこだわり」でも同様だ。

誰かが、好きなものについて熱っぽく語るさまが好きだ。その人の価値観を知れるようで、どんどん話してほしいと思う。しかし、書く側からすると、そう簡単にはいかないようで。

・見知らぬ読者に、何に興味を持たれるのかがピンとこない
・同じようなファンからの目線が気になる
・情報を正確に伝えねばという気負い
・誰に向けて書いたらいいかわからない
・語れるほど詳しいわけでもないという不安

この辺のことで、書こうとする気持ちにブレーキがかかってしまうのだと。

でも僕は、そんな人に対して、パーソナルな編集者として向き合うとしたら、聞いてみたい質問がいろいろと浮かんでくる。

たとえば好きなミュージシャンについてだったら、こういうのとか。

好きなミュージシャンについて書くための、ゆるフォーマット

1.いちばん最初、好きになったきっかけはなに?

2.勘でいいんだけど、生涯でいちばん聴き込んだアルバムはどれ?

3.過去に出してたCDの全部から1つ選んで、そのアーティストにサインしてもらえることになりました。よかったですね。どれにサインしてもらいますか

4.このシーンに合う曲を、直感で、1曲どうぞ「予定のない休みの日の朝、しとしとと雨が降って、二度寝からゆっくり起きたところ」

5.現地にいなくてもいいんだけど、これまでに見たライブで、心が動いたときの光景で、ふと思い出したやつ、1個だけ、教えてほしいし、そのとき、どんな顔してた?

質問の意図はこう。

1.自分にしか語れない「好きになったきっかけ」を書くのがいいと思います。なぜなら、そのアーティストのどこがすぐれているかを語ろうとすると、評論家でもない限りは、荷が重くなるはずなので。本人の記憶にある、事実としてのきっかけをききたい。

2.自分にとってベストなアルバムを1枚選ぶのも、わりに骨が折れるので、勘でいいから1個、びゃっと挙げたいところ。なんで?というのも書けたらいいけど、無理はしなくてよさそう。勝手に筆がのるとしたら儲けものですね。

3.アートワークも、良し悪しを語ろうとするときりがないので、いったん「サインをもらえる」という、謎のシチュエーションを設定してみた。乱暴にでもいいから選ばせて、なんでこれ選んだんだろうね?というコンボでどうにか。

4.これについては「チルな雰囲気の曲を」とかで思いつくならそれでもいいんだけど、具体的なシーンに基づいていたほうが、書いた後の読者への届き方がぜんぜん違ってくる気がしたので。

5.ちょっとハードルが高いけど、これだけ聴いてみたいくらいの質問。現地でも、映像ででも構わないから、演奏したり歌唱してるところで心がぐっと動いているその人にカメラを向けてほしい。

🐘🐘

以上が、フォーマットでした。セルフ編集術の一つとして、今後、自分が書く時の参考にするかもしれない。

ここまで書いてみて、僕が編集者として質問するのは、そのミュージシャンのことを知りたいわけでも、沼へ入っていくための正解を知りたい、というわけでもないと気づいた。その人自身の偏愛っぷりを知りたい、というのが一番の動機なんですよね。

好きなものについて語ってる人が"目が座ってる"さまを眺めるのが、本当に好きなんです。その心の中で熟成してきたものを、ずるずると引き出して一緒になって眺めてあれこれ雑談したい。

そのためのとっかかりとして、好きなものを自分の力で引き出して、晒してみることを、みんな気軽にできるようになればという想いがつよくある。

🎸🎸

以下、追記です。
フォーマットをつかって書いてくださったnoteたちです。

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